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【フェムテック通信#22】「女性版骨太の方針2023(原案)」に提示された、女性の健康課題

首相官邸において、2023年6月5日に開催された「第70回男女共同参画会議」で、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2023(女性版骨太の方針2023)(原案)」が提示された。

女性の健康課題についても、詳細に掲示されているので、抜粋して紹介する。

日本政府の方針を知ることは、ビジネスを展開する上で非常に重要な観点である。フェムテック事業に興味がある方はぜひ参考にしてほしい。

1.女性版骨太の方針の概要・歴史

 女性の活躍と男女共同参画に向けた政府の方針をまとめたもので、2015年に初めて策定。女性が社会的・経済的に自立し、自己実現を図ることができる環境を整備することを目指している。

具体的には、以下のような取り組みが掲げられている。

・女性の活躍推進に向けた法制度・制度の整備
・女性のキャリア形成支援の充実
・女性の就業環境の改善
・男女共同参画社会の実現

「女性版骨太の方針」は、その後、2018年に改訂され、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2020(女性版骨太の方針 2020)」として発表された。
そして2021年には、「女性活躍・男女共同参画の重点方針 2022(女性版骨太の方針 2022)」が策定され、今後も女性の活躍と男女共同参画に向けた政策が進められることが期待される。

2.フェムテックの利活用(経済産業省)

「女性版骨太の方針2023(原案)」の21ページに、フェムテックを利活用し、企業、医療機関、自治体等が連携して行う実証事業への支援を引き続き行うことが掲げられている。

フェムテックを活用することで、女性の健康管理やライフスタイルの改善を支援し、女性が社会的・経済的に自立するための環境整備を進めることを目指している。

具体的には、フェムテックを活用した実証事業による効果測定や、生理休暇制度の普及促進のための方策の検討などが挙げられた。

今年度もまもなく、「フェムテック等サポートサービス実証事業費補助金」の採択があるため、政府としてフェムテック事業を推進していく動きが進んでいる。

3.健康経営優良法人認定制度(経済産業省)

健康経営優良法人認定制度は、従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する企業を認定する制度である。

この制度は、女性の健康課題に関する設問を充実させることで、女性の健康支援に取り組む企業が社会において評価される仕組みづくりをより一層進めていくものである。

また、男女ともに女性の健康に関する医学的・科学的な知識・情報を入手・理解・活用する能力(ヘルスリテラシー)を高めることも重要であり、国が率先して取り組むため、国の職員を対象に、研修など様々な機会を通じて、こうした能力を高めるための情報を周知していくとのこと。

健康経営優良法人認定制度基準
 1.経営トップのリーダーシップとコミットメント
 2.健康経営のための組織体制と仕組み
 3.健康経営の取り組みと効果

健康経営優良法人ランク
 ・大規模法人部門
 ・中小規模法人部門
 ・健康経営銘柄

健康経営優良法人のメリット
 ・認定ロゴの使用
 ・認定企業向けの各種支援
 ・認定企業への優遇措置

健康経営優良法人認定制度は、企業の健康経営を推進するための有効な制度である。

健康経営優良法人の具体例
・従業員の健康診断結果を分析し、健康リスクが高い従業員に対して個別の健康管理プログラムを提供
・健康経営に関する研修を定期的に開催し、従業員の健康意識を高めている企業
・従業員が健康的に働ける環境を整備するために、オフィス内に健康的な食事を提供するカフェテリアや、運動ができるスペースを設けている企業
・従業員が健康的な生活習慣を身につけるために、健康情報サイトや健康相談窓口を提供している企業

従業員向けの福利厚生サービスなどを検討している事業において、この制度は知っておくべきと言える。

3.「女性の健康」ナショナルセンターの創設(厚生労働省)

女性の健康に関するナショナルセンターとして国立成育医療研究センター に研究の司令塔機能をもたせ、最新のエビデンスの収集・情報提供を行う。

「女性の健康に関するナショナルセンター」とは、女性の健康に関する研究、教育、啓発を行うことを目的としたセンターで、2023年4月に厚生労働省が創設した。センターでは、女性の健康に関する研究を推進し、その成果を社会に還元することを目指している。
また、女性の健康に関する教育や啓発活動を行い、女性の健康意識を高めることにも取り組んでいる。

センターの創設により、女性の健康に関する研究や教育が進み、女性の健康意識が高まることが期待される。

4.スポーツ分野の女性参画拡大(文部科学省)

女性アスリートが抱える健康課題等への支援体制の整備や理解促進、指導現場におけるハラスメント行為等の根絶。スポーツ団体における女性理事 の目標割合の設定、その達成に向けた具体的な方策等の取組の促進を行う。

例えば、女性アスリートの育成・支援では、女性特有の課題に着目した調査研究や、医・科学サポート等の支援プログラムを実施している。

最近では、部活動選手の月経を把握するアプリも出てきており、スポーツの分野でも、フェムテックが大活躍しそうだ。

5.まとめ:企業や地方自治体、その他の関係機関の連携が必要

「女性版骨太の方針2023(原案)」では、女性の活躍と男女共同参画を実現するために、企業が女性の登用・昇進の促進、育児や介護との両立支援、ハラスメント防止や、女性が働きやすい職場環境の整備、女性のキャリア形成を支援する制度の導入が必要であり、その一助となるのがフェムテックサービスである。

政府の方針もチェックしながら、フェムテック事業を進める上での参考にしていただけたらうれしいです。