菊谷めぐみ

考え事が好き。美味しいものと甘いものと音楽がないと無理。読書も大好き。もぐら会

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マガジン

  • 電動車椅子に乗っている日常

    もぐら会で書くエッセイをまとめるマガジンです。 ただの雑記とも言います。

最近の記事

キャッチボールをしてみたい

人と接するとき、どこかでいつも予防線を張っている。嫌われても傷つかないように。 こんな風に思っていたのはいつからなのか、もう思い出せない。 車椅子で生活をしていると様々な悪意に出会う。悪意とまではいかなくても、無意識に世界に私が想定されていないことを意識する。入り口が階段だけの飲食店やお店、狭くて他の人に気を遣う電車やバスなど。私が子どもだった20年ほど前はまだ乗車拒否もあって、公共交通機関を使うことが怖かったのを、よく覚えている。今だって表だって言われないけれど、面倒な顔

    • 10年前の私に伝えたい、ありがとうとごめんなさい

      あなたへの手紙に何を書けばいいのか、たくさん考えたけど、いまいち判然としません。過去から未来に手紙を託すことはいくらでもできるけれど、未来から過去に向けて手紙を託すことはある意味過去へのお説教みたいになってしまってそれ自体が暴力的であり、私もあなたもそういう言葉が大の苦手だからです。それでも久しぶりにこうして文章を書いているのは、今しかあなたに伝えられないことがあるのではないか、と感じているからです。 少し私の自己紹介をします。27歳の社会人9年目、電動車いすに乗りヘルパー

      • 障害とともに生きる私の、魂と肉体

        魂と肉体、どちらを優先して生きてきたかと言われると、肉体と答える。 もちろんそうではないこともあったけれど、私はほとんど無意識に私の身体を常に気にしている。車いすでも行けそうなところ、脳機能に障害があり手足や体幹に麻痺があって、マルチタスクと整理整頓が絶望的で、人より体力が少なくてもできそうなこと。 こんな発想になるのはある程度仕方ないような気がしてくる。現実問題としてできることには限りがあるし、普通の人と100%同じ生活、例えば同じ時間で同じだけ仕事をこなすとか、階段しかな

        • 終わりのことばかり考えていた私が、終わりに思いを馳せなくなった。

          私は、始まりとともに終わりを考えてしまう少しめんどくさい生き物だ。楽しみにしているイベントがあって、あと何日!とカウントダウンしている時ですら、それと同時にそのイベントが終わるときや終わった後のことを考えている。イベントなら、ああ終わっちゃう。卒業なら、もうすぐこの生活も終わりだな。友人たちとの食事でさえ、いつかみんなでご飯を食べなくなってしまうかもしれない、と考えていた時期もあった。ここまで行くと我ながらなんだか考えすぎだと思って笑えてしまう。 でも、最近ふと気づいたことが

        キャッチボールをしてみたい

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        • 電動車椅子に乗っている日常
          14本

        記事

          私が彼女を連れていく

          ファンタジーと聞いて、最初に思い浮かんだのは、「ドラえもん」だった。とはいえ、私は小さい頃からドラえもんを観ていたわけではないため、秘密道具もそんなに数を知っている、ということもない。パッとイメージできるのは歌に出てくるタケコプター、どこでもドアとかタイムマシン、あと数個連想できたらいい方である。そのくらい見たことがない。 このテーマをもらったとき、ふと、今の私の生活を就職したてのときの私が知ったらきっと驚くだろうな、と思った。当時19歳、社会人1年目。仕事に慣れることが大

          私が彼女を連れていく

          電動車いすに乗って生活する私が「一人暮らし」を見つけるまで

          私は12月初旬に生まれて初めての一人暮らしを始めたばかりだ。電動車椅子で生活しているため、家事援助や身体介護など、ヘルパーさんを毎日夜に2時間頼みながら生活している。初めてに囲まれた暮らしはとても楽しい。当たり前だが、ヘルパーさんを頼んでいる時間帯以外はすべて一人の時間である。今まで実家や施設にいて、人と過ごしている状態が当たり前だった私にとってはそれだけでとても嬉しい。 でも、一人暮らしを始めて3日くらいで気づいたことがある。それは、生活の中でなにをするのか(なにをやらな

          電動車いすに乗って生活する私が「一人暮らし」を見つけるまで

          不自由な中で見つけた、私の自由

          自由と聞いたとき、私には同時に不自由が思い浮かぶ。 車椅子で生活している私にとって、なにも気にすることなく、本当に自由に選べることはめったにない。私の自由にはいつだって条件が付いている。車椅子でも不自由なくアクセスができる立地だとか、建物のつくり、介助者がいなくても問題ないかどうかなどなど。そういう類のことを気にするのは私にとってはもはや日常で、そういう確認を取ることも当たり前だ。 時々面倒になって、どうしてただご飯が食べたいだけなのにこんなに苦労するんだ、と落ち込むこともあ

          不自由な中で見つけた、私の自由

          高校の夏スカートを着続けられなかった私との決別

          いたずら心と聞いたとき、私が一番持ち合わせていないものだと思った。 自分で言うのもおかしいが、私は真面目だ。 決められたルールからはみ出るとそわそわするし、これくらいいいや、という考え方があまりできない。 だから、高校時代、校則に違反して先生に怒られてまで髪を染めたり、地味な冬服とは異なるチェック柄の夏服のスカートを、指定期間外の冬もはいてみたりすることを、私はしなかった。 夏服のスカートは好きだったから、冬も履きたいな、と思ったことがないわけではなかったし、髪を染め

          高校の夏スカートを着続けられなかった私との決別

          普通ってなに?〜車椅子に乗っている私に、あなたのことを教えてください〜

          2020年3月中旬、私は会社を1週間休んだ。 診断名は腎疾患となっていたものの、それ単体ではないことは私にもわかっていた。 だいぶ前から、会社に通勤することが苦痛になっていたし、3月の年度末の忙しさと負の感情が相まって疲れてしまったのだ。 別に、業務内容が嫌なわけではなかった。高卒で障害者雇用として働き始め、今の部署はもう6年目。 自分の担当している業務の面白さは見えていたし、他の部署の業務も担当してみたいという気持ちもあった。 なのになぜ、行きたくなくなって会社を

          普通ってなに?〜車椅子に乗っている私に、あなたのことを教えてください〜

          大人にうらやましがられたくなかった10代の私へ

          学生の頃、大人に学年を聞かれ、答えるとよく言われる言葉があった。 「○年生かぁ。良いなあ、今を大事にするんだよ。何でもできるから。」 「うらやましいなあ、私もその頃に戻りたい。」 こんな風に、大人は学生を羨ましがっていたように思う。 私は、そんな言葉を聞くたびに、まただよ、と感じて思っていた。 何でもできるのは、大人の方ではないか、と。 この言葉を一番よく聞いたのは高校生の時だった。 バイトができない高校生の私に比べ、大人は働いていてお金もあるし、親に許可を取る

          大人にうらやましがられたくなかった10代の私へ

          「障害者は頑張っている」という感情から抜け出せない私たち

          親切という言葉は、「相手の身になって、その人のためになにかをすること。思いやりを持って人のためにつくすこと。また、そのさま。(goo辞書より引用)」という意味らしい。 車椅子を使用して生活している私は、親切に囲まれて生きている。 毎朝決まった時間の電車の乗降介助をしてくれる駅員さん、コンビニで私の会計を手伝ってくれる店員さん、言葉は交わさずとも、見守ってくれる地域の方々。 おそらく、挙げればきりがない程、私は多くの人の親切に助けられて生きている。 そのことはとてもあり

          「障害者は頑張っている」という感情から抜け出せない私たち

          働きたくないと働きたいの間で

          働きたくない。というか、もう何も考えたくない。 仕事と私、がテーマなのに何を言っているのかと思うけれど、これもある意味正直な気持ちだ。 私にとって働くことは、親から経済的に自立することと、人の役に立つことだった。 高校を卒業してそのまま就職して、5年と少し。 親から早く離れたくて就職することを選んだ私は、身体障害のこともあり、就活は難航すると周囲から心配されていたのにもかかわらず、自分でも驚くほどあっさりと就職先を決めて、障害者枠で働き始めた。 働き始めた頃、私は張

          働きたくないと働きたいの間で

          弱さと私

          よく言われる言葉がある。 「めぐみは、しっかりしているね。」 「めぐちゃんは、アクティブですごいね」 そう言われるたびに、違和感を感じることがある。 その言葉で、自分の気持ちを言えなくなることがある。 悩んでいること、できないこと、悔しいこと、悲しいこと、頑張ったこと。 それらを無視して言われているように感じることが、少し前まで、よくあった。 私には、「しっかりしている」自覚も、「アクティブである」という自覚も、最近まで本当になかった。 アクティブである、とい

          選挙当日の休業について思うこと

          パタゴニアという会社が参議院選挙の投票日に合わせて直営店を休業するらしい。 この会社のことは何も知らないのだけれど、この話を聞いたとき、私の頭の中は、 「なんでそこまでするの?期日前投票あるじゃん」 という疑問でいっぱいだった。 そもそも、期日前投票が選挙日当日になんらかの事情で投票に行けない人のための制度なのに、それを使わずに、投票日だから休みね、投票行こうね!という思考に少しモヤモヤしていた。 でも、TwitterやFacebookで拡散されて良い取り組み!って言わ

          選挙当日の休業について思うこと

          恋が教えてくれること

          恋の効果はなんですか?ともし人に尋ねられたら、私はなんと答えるのか。 ここ数日の考え事はそればかりだった。 その人にとても会いたくなることだろうか? 普段はあまり聴かないラブソングにとんでもなく共感してしまうことだろうか? 可愛くなりたいと思うようになることか? どれも事実だけれどしっくりこないな、と思いつつ、なぜだろう?と考える。 少しでも会いたいと思うのに。 普段は聴かないバンドを聴くようになるのに。 可愛いと思うものに対する財布の紐はゆるむのに。 恋の

          恋が教えてくれること

          もぐら会の懇親会

          今日はもぐら会の懇親会に参加した。 知らない人がたくさんいる飲み会が苦手だったので、少し緊張していた。 それでも参加したのは、やっぱり行ってみたい!が勝ったから。 大好きなライターさんの言葉に惹かれた人たちだから、きっと行ったら楽しいだろうと思っていた。 最初は緊張して、あんまり喋れなかったけど、一回喋ってしまうと全然緊張しなかった。 むしろ喋りすぎてうるさいのでは?と思うくらい。 みなさんとても素敵な方たちだったし、言葉についてたくさん話せて嬉しかった。 やっぱり言葉は

          もぐら会の懇親会