オニキス

大事なものに気づくのは
いつだってそれがなくなってからで
そうなってからじゃ遅いって分かってても
やっぱり近くにあるときには
それが当たり前で気づけないものなんだろう。

ずっと変わらないものなんてないのに。

数え切れないほどの思い出があって
数え切れないほど助けてもらって
まだ何一つ恩返しもできてないのに
会いたくても会えない人になってしまった。

生きてくれていたらそれでいい。
どこかで笑ってくれていればいい。

ただ、話してほしかった。
今度は私が力になりたかった。

まだラーメン奢ってもらってないし
バターチキンカレーも食べてないし
私が幸せになるまで見届けてもらってない。

まだ私はあなたに何も返せてない。

優しい人だけが損をする世界で
真面目な人ばかりが馬鹿を見る世界で
誰よりも優しくて真面目で
自分より他人のことを考えていて
本当に精一杯生きている人だと思った。

私が死にたいくらい辛いときには
一番に話を聞いてくれて
一生懸命考えてくれて
本当に沢山お世話になって
同じくらい迷惑も心配もかけたけど
あなたがいなかったら私は今きっとここにいない。

それくらい感謝しかなくて
なのにそこにいるのが当たり前で
ありがとうもごめんなさいも
恩返しもちゃんと出来ないまま。

もっと気にかけたらよかった。
無理矢理にでも話を聞けばよかった。

今まで見たことないくらいに落ち込んでいたのに。

何もしてあげられなかった。
いや、違うな。
何もしなかったんだ。

またちょっとしたらいつもみたいに笑ってるって
勝手に思ってたんだ。

大丈夫?って聞かれたら
大丈夫って言うしかないのなんて
自分でちゃんと分かってたのに。

もう会うことはないかもしれない。
けれど、どこかで、生きていて。

もう辛い思いをしないように
頑張りすぎて抱え込まないように
ただちゃんとご飯を食べて眠って
笑ってくれていたらそれでいいから

誰がなんと言おうと
あなたは私の恩人だから
結果が何であろうと
私はあなたに助けられたから

ただ、ありがとう。
それだけ。

私にできることはもう何もないかもしれないけれど
誰も知らないところでもずっと元気でいて。

またいつかどこかで。

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