また好きな人ができた。
本当にあたしってやつは何度失恋したって懲りないんだからしょうがないやつだ。
だけど好きだって自覚しちまったんだから仕方ないじゃないか。
悪口のセンスがずば抜けて良くて決してかっこよくはないけど愛嬌のあるあいつが好きだって気づいちまったんだ。
彼女ができたんだって言われてショックを受けたあの時から、いやきっとそれより前からあたしは恋してたんだろう。
彼女の不満をため息まじりに話すあいつにそんなに嫌なら別れちまえよって言ったのは決して意地悪じゃない。
彼女とお幸せにってちょっとは思ってた。
だけど幸せじゃないなら別れてよとも思った。
そしたら少しはあたしに振り向いてくれる可能性が増えるかもしれないから。
あたしの顔が大好きだって言うくせにあたしを好きとは言わないあいつにあたしはあなたが好きよって言っちゃった。
嬉しいって言うくせに俺も好きなんて絶対言わないあいつからの通知をずっと待ってる。
つまんない駆け引きなんて苦手なことしてないで好きだから付き合ってって言っちまえばいいのにな。
言えねえよな。
異性としても大好きだけど同時に大事な友達でもあるから。
その関係が壊れてしまうくらいなら友達でいることを選びたいんだ。
そのくせ他の子と付き合ったらなんて想像するだけで胸が詰まって涙が出そうになる。
あいつがあたし以外の誰かに特別な笑顔を向けるのが嫌なんだ。
一度失恋したつもりだったけどもう一度降ってきたチャンスが勘違いならあたしは今度こそ泣いちゃうから。
あいつの隣にいられる特別な席はあたしがいい。
別にセックスなんていらない。
お金もサプライズもいらない。
ただ隣にいてほしい。
おはようもおやすみも一番最初にあたしが聞きたい。
たったそれだけを望んでるんだ。
だけど、もし、あいつがあたし以外の子を選んだとしてもそれであいつが幸せならいい。
あたしを良い奴だって言って彼女に紹介なんかしちゃってもいいさ。
あたしは仲のいい友達でいれたらいいよ。
それでも側にいられるなら文句なんてない。
これを愛と呼ばずに何と言う。
君が思ってるよりずっとずっと君を大切に思ってるよ。大好きだよ。
願わくば君が同じ気持ちでいてくれたらこれ以上ないくらいの幸せだけど、そんな期待はしないでおくよ。
だから今までどおり仲良くしてくれよ。