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映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(2016)の感想

映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー(Manchester by the Sea)』を観た。

監督・脚本がケネス・ローガン、プロデューサーにマット・デイモン、主演はケイシー・アフレック。上映時間は137分とやや長め、2016年のアメリカ映画である。

第89回アカデミー賞で、ケイシー・アフレックが最優秀主演男優賞とケネス・ローガンが最優秀脚本賞を取っている作品でもある。

名作と言われているのは知っていたが、見るまで時間がかかってしまった。この映画のすごいところは、「救いはない。でも、人生は続いていく」という現実を描いているところにあると思う。

この結末を見れば、主人公のリー・チャンドラーは怒りと悲しみを抱えながら、生きていくのだろう。暴力衝動を必死に抑え、自分と他人を傷つけないように、なるべく他人と関わらないようにして暮らしていくのだと思わせる。

救世主は現れないし、誰も救ってはくれない。魔法はない。苦しみと痛みが癒えることはなく、常にそこにある。

ケイシー・アフレックの独特の話し方、ある種の間、そしてクマのある瞳が、役に活きている。

ただ、自分のお兄さんがしてくれたことを、お兄さんに返すことは忘れていない。

マンチェスターという地名から、イギリスが舞台の映画だと、長らく勘違いしていたが、アメリカが舞台である。

海辺の町から離れられない人は多い。海は魅惑的なのだな、と思う。ただ、主人公のリーは、その地元を離れ、ボストンに移住している。生きていくためには、生まれ育った場所を離れなければならない日も来るのだ、とも思った。


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