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#映画感想文285『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!』(2023)

映画『ミュータント・タートルズ ミュータント・パニック!(原題:Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutant Mayhem)』(2023)を映画館で観てきた。

監督はジェフ・ロウ、脚本はセス・ローゲン、エバン・ゴールドバーグ、ジェフ・ロウ、ダン・ヘルナンデス、ベンジー・サミット。声優としてジャッキー・チェンが出演している。

2023年製作、100分、アメリカのアニメーション映画。

『ミュータント・タートルズ』といえば、その昔、テレビ東京で放送されていたと思う。なぜ、亀人間の4人組が巨悪と闘い、人助けをしているのか、よくわからずに見ていた。子どものときは、アニメが放送されていれば、テレビに流していたので、とりわけ面白かったという記憶はない。

しかし、今回の映画は予告の映像から、アートっぽくて、どうにもこうにも美しかったので、必ず行こうと心に決めていたのだが、なかなか時間が合わず、もたついていたのだけれど、そろそろ公開が終わる映画館も出てきたので、急いで観に行ってきた。

ミュータント・タートルズを作り出したのは孤独な博士。その技術を盗もうとする組織に襲われ、研究資料と命が奪われる。その混乱の中、地下道に落ちたのが亀たちの検体であり、その亀たちの入っていた溶液に触れたネズミも変異体として生まれ変わる。動物が人間に変異しており、人間にとって、彼らは異形の存在である。タートルズは人間社会の情報を過剰に摂取しながらも、拒絶されることを恐れ、実際に拒絶されたりする。

原題は『Teenage Mutant Ninja Turtles』とあるように、10代の少年たちが主人公である。彼らは今の時代を生きており、BTSも好きだし、アデルも聞く。この引用に次ぐ、引用といったメタ的な作品で、遊び心に満ち満ちている。

本作の敵であるスーパーフライ(同じミュータントのハエ)は、人類の絶滅を企んでいるのだが、いざ地球上の動物たちをミュータントにしよう、とする段になって、仲間から裏切られる。4人の少年たち(タートルズ)が、「人類は嫌な奴らだけれど、何も殺すことはないんじゃない?」と進言すると、スーパーフライ側のミュータントたちが、「俺たちも別にそんなに殺したくない」と言い出し始めてしまう。そこが新鮮でもあった。そこから、スーパーフライは自らとほかの動物たちを変異させ巨大化して、ニューヨークの街の破壊を始める。

すると、「別に俺たちが止める必要なくない?」と逡巡し始めるのも、若者らしい。「歴代のゴジラシリーズなら軍が動くはずだよ」と言い出す始末。

最後は『進撃の巨人』からのヒントを得て、スーパーフライを撃破するのだが、確かに彼らの動きは、立体機動装置で動く調査兵団のようだった。中盤の肉弾戦は、ジャッキー・チェンの香港アクションそのものであった。

続編も作られそうな感じなので楽しみだ。複数の人間がわちゃわちゃ会話をしているのってそれだけで楽しいのだな。

ラストで「『AKIRA』全巻読まなきゃ」とオタクの子が言っており、オタクがオタク賛歌として作った映画でもある。

TV Bros.のジェフ・ロウ監督インタビューが面白かったので、おすすめしたい。


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