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「自分の仕事は特別だ」と思いたい心理

先日、とある会議に参加し、プロジェクトリーダーの人の発言が気になった。

「うーん、その仕事は彼らには、すぐにできないと思いますよ」

わたしは心の中で「え、誰でもできると思うけど」と思いながらも、黙って聞いていた。新参者だし、目上の人の面子を潰してはいけない。

その会議が終わってから、ちょっと考えてしまった。自分の仕事を一段上に見せたり、他人の能力を低く見積もりたい、という心理は何なのだろう、と。

芸術家や芸能人の仕事は、そういうものだと思う。パフォーマンスや訓練というのは、一朝一夕で身につくものではない。技術職、職人系の仕事にも言えることかもしれない。でも、単なる事務職の業務で、そうそう難しいことなんてない。というか、誰にでもできるように設計してルールを作るのがリーダーの仕事で、それに白旗をあげたら、無能の烙印を押されても仕方がない。その人はそのことに気づいていないようだったし、自分たちの仕事、つまり既得権益を守りたかったのかな、と穿った見方をしてしまった。

仕事とは、基本的に誰でもできるように、いつでも次の人に引き継げるようにマニュアル化、平準化しておくべきで、業務の属人化は失策に過ぎない。

自分を特権的な立場にして、この仕事は簡単じゃない、と言いたい気持ちはわかる。舐められたくない、という心理が働くのも理解できる。ただ、それが度を越えると、単なる世間知らずになってしまう。

仕事はしょせん仕事だ。大企業に勤め、100億円規模のプロジェクトを動かしていたとしても、その役割は与えられたもので、あなたのお金じゃない。

自分の仕事をキラキラさせたり、過剰な意味付けをして人生を彩るのも悪いことでないが、疲れるなあ、と思う。もちろん、ビジネスの場だと、表現が大袈裟になるのもわからなくはないのだが、簡単な仕事を難しくしたところで、誰も得しないんだよなー。

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