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《日記》作家、千早茜作品について語る

昨年出会ってよかった作家ナンバーワンの千早茜さん。
すっかり虜な本の感想を、まとめてみます📖

『クローゼット』

「レースを見つめていると、一面に霜柱がたった寒い冬の朝を思いだす。庭に咲きほこる花々が時を止め、世界の欠片が白く凍りついたよう」

千早茜『クローゼット』

洋服と心の傷みに寄り添い、傷を抱えながらもそれぞれの自由に向かって歩き出す物語。

舞台は18世紀のコルセットやレース、バレンシアガのコートにディオールのドレスまで、約1万点が眠る服飾美術館(服好きにもたまらない描写がたっぷり!)。

一貫して「服も、人との関係も、自分の身体に馴染むまで手入れをしながら大切に扱う」というテーマを感じられて、機微が美しかった。ラストの数ページ、そんなことが起こるなんて、と息を呑むのですが主人公ふたりのやり取りの密やかなやり取りに救われました。

千早さんはどの作品でもジェンダーによる葛藤や不安を取りこぼさず描いてくださっていて、とても信頼できる…

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