将棋2__2_

【まくら✖ざぶとん】⓽⓽『将棋指し』

えー、千里の道も一歩から、と言う通り、一席一席と積み重ねてきたまくらもついに九十九回目を迎え、節目も節目の百席が目前のそんな折、奇しくも九十九からという数字がちょうど話題を呼んだ将棋界、新旧の天才こと羽生善治藤井聡太がそれぞれ王手をかけたタイトル通算百期と公式戦通算百勝をかけた対局に臨んだってことで、九十九席ゾロ目の回は将棋ネタ。

プロデビュー二十九連勝で世間を騒がせた藤井神童百勝達成はこれまでの勝率を見れば時間の問題、まさに必至だったが年内にあっさり突破して羽生竜王の持つ最年少記録を大きく更新、対戦相手をバッタバッタと斬り捨てていくさまたるや向かうところ敵なし、破竹の勢いは衰えることなく邁進中。

片や勝てば百期到達だが負ければ無冠、まさに天国か地獄の竜王戦であえなく防衛失敗して四半世紀以上ぶりに無冠となったのは羽生帝王、対戦相手を震え混じりに詰ませること詰ませること、詰み上げてきた二千対局のうち千四百勝の数字と史上初となる永世七冠の称号は彼が打ち立てた金字塔。

盤上で対決せずとも前人未到の記録に挑むことでしのぎを削る先人後進、盛者必衰の理をはねのけて将棋界の王将に君臨してきた羽生帝王と百戦錬磨の猛者たちをしりぞけて将棋界の将来を背負って立つ藤井神童。これで立場は同じ挑戦者だが、もとより二人の高飛車は将棋盤の上だけ、香車の如く一進不乱に将棋道を究める棋士道精神

今や将棋界は八大タイトルを五人以上で分け合う群雄割拠の戦国時代に突入、そこに捲土重来を期す羽生帝王に虎視眈々と高みを見据える藤井神童が割って入る、ってのはほんの一手先を読んだだけ。二手先、三手先ならきっと名人戦や竜王戦で将棋盤をはさんで向かい合っているはず。

先を読みつつ目の前の一局を戦い目の前の一手を指していくのが将棋。
高みまで登りつめるためには、盤上での攻防同様、一歩一歩が大事、つまりは一歩千金ってことで、お後がよければすなわち落としもよいはずで、お年もよろしくなりますように。よいお年を。

えー、「一字千金」という故事ことわざもありますが、【まくら✖ざぶとん】を〈①⓪⓪⓪文字前後の最も面白い読み物〉にするべく取り敢えず①⓪⓪⓪作を目指して積み上げていく所存、これぞ「千字千金」!以後、お見知りおきを!!