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【散文】かみさま。

 8月の終わり頃、夏風邪を拗らせた。夏の暑さにやられての不調は数えられる程度経験がある。昔国語の教科書に載っていた「夏風邪は拗らせると面倒よ」という主人公の母の言葉が脳裏に蘇った。
 中々熱が下がらず、酷くは無いが面倒な倦怠感に過換気症候群を彷彿とさせる発作も起き、Covid-19の可能性も浮上した。検査結果は陰性。元々抱えていた精神病の名残だろうと診断を受け、主治医とカウンセリングもした。精神的にもかなり不調だったが、その不調の原因は面談を通した自己分析である程度解決し、精神面は回復。

 だが、次の問題。一昨日から徐々に肘・膝から先に違和感を覚えている。力が入りにくい。指先の感覚が薄く、手首をぶんぶん振ると戻ってくる。歩いていると膝から下の感覚が微かに無くなり、歩きにくさがある。そして何だかすぐに疲れるような気がする。今日が休みで良かった。

 今日は外に出るのがたまらなく億劫で、用事は家で済ませられるように手を打って完遂した。5時半に気持ちよく目覚め、愛しのぬいぐるみを綺麗にしてあげたり、洗濯等の家事をやったりといったやるべき事と、趣味や料理といったやりたい事がきちんと出来て、中々に満足度の高い一日である。鬱陶しい痺れを除けば。

 夕方。風呂に浸かって症状について調べていたら「多発性硬化症」という全く知らない病が目に留まった。詳しく調べれば調べる程、現状と重なりまくる。心当たりがあり過ぎる。今日はやけに食欲が旺盛で、珍しく一日に4食も食べた。これは脳が少しでも何か栄養を摂れとメーデーを出していたのだろうか。笑

 僕をとても可愛がってくれているひとから連絡を頂いた。「早期発見が鍵になる」と。正直とてもありがたく、嬉しかった。仮にこの病に罹っていたとしても、現時点で不安は金銭面のみ。こんな若僧の身を案じてくれたことが、ただただ嬉しかった。

 身体がきついのは勿論しんどいだろうが、心が腐敗していくよりは遥かにマシである。これは経験則。
 8月末の精神不調はそれはそれは地獄だった。7月に再就職が決まり、生まれて初めて髪を思いっ切り染めた。基本的に定時で退勤出来る職場で、好きな服を着て好きな髪形で、仕事に向き合って自分の課題を解決し、それがそのまま成果に直結して褒められる。人によっては当たり前だと感じることかもしれないけれど、新たな人生を歩み出した僕にとっては新鮮で、充実した日々である。
 環境が一変した事で、一時的に突発的なメンタル不調に苛まれることはあったものの、精神的苦痛はだいぶ快方に向かっている。心がやられると何故生きなければならないのかというところまで抉られ、捨てようにも捨てられず、何処に向ければよいか分からない刃物を自分に向け続ける日々になってしまう。まずは心を確かに構えなければ。

 まぁただの早とちりか気のせいか、はたまた一時的な不調であればいいなぁと思う節はあるけれど、何より悶々とするのはやっと一つ大きな病を乗り切った先にまた次が来るんかい、ってとこ。昔から長生きは出来ないだろうなって思ってたから今更どうこう足掻くつもりも無いし受け入れるだけなんだけどね、やり残して悔いを抱えて逝っちまうのは御免なので。とにかく思い至ったら動こうそうしよう。

 今月は原神で推しのピックがあったり、DEZERTのライブがあったり、何か色々の結果が出る。少なくとも今月中までは頼むよ、かみさま。独り身の俺が抱えるもんなんてそんなに無いから、今抱えてるものだけでも後腐れなく愛していきたいんだよ。

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