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自分の神様に。
雨が音を立てて降っていた。キツネは教会の椅子に座り考えていた。まだ見たい景色がある。知らないことがある。学ぶことがある。それは自分だけの事柄で他の意見や速度は関係ない。キツネは自分の神様に祈った。自分がいつも新しくいられますように。傷と泥にまみれながら潔癖でいられますように。
傷と泥にまみれながら潔癖でいられますように。
雨が音を立てて降っていた。キツネは教会の椅子に座り考えていた。まだ見たい景色がある。知らないことがある。学ぶことがある。それは自分だけの事柄で他の意見や速度は関係ない。キツネは自分の神様に祈った。自分がいつも新しくいられますように。傷と泥にまみれながら潔癖でいられますように。
映画「魔女の帰郷」
魔女はどこへ帰るのか。
映画「魔女の帰郷」
あなたの妄想の中だけで限定公開。
#魔女の帰郷
簡単に許されない人生を幸福と言う。
あの時魔女が僕に言った。「安心して。悲しいとかさみしいとか、それはあなたが本物に出会ってないだけ。本物に出会ったらそれどころじゃなくなるわ。あなたは自分の未熟さを知る。あなたは簡単に認められない。簡単に許されない。知ってる?簡単に許されない人生を、幸福と言うのよ。」
#魔女の帰郷
そして目の前には、波打つ緑と光の中のクロッカス。
この窮地を切り抜けるには、とキツネは思った。まずひとつとりかかることだ。ふりでもいいから。先を見過ぎない。自分の評価を急がない。人生も幸せも幻想だから、たぶんおれは駄目でも不幸でもない。あるのは、いまのおれのいまの気持ちだけ。そして目の前には、波打つ緑と光の中のクロッカス。
いのちってなに?
子ぐまが聞いた。いのちってなに?クマが答えた。偶然だね。そういう歌があるんだ。偶然生まれ、偶然出会い、偶然死ぬ。正解なんてないし、変わらないものもない。君はただ君の偶然に感謝すればいい。いつか君は誰かと仲良くなる。その子は、君の、いつも新しくて美しい偶然さ。大事にするんだよ。
魔女の帰郷。完。
#魔女の帰郷 シリーズは一度完結。でもこれはずっと書き続けそう。眠る前になでる本の製本の目処がたったら、「魔女の帰郷」の写真展とライブをやらせてもらう予定です。40枚くらい写真用意します。いずれ本にもしたいです。モデルとスタイリングのちひろさんに大感謝。写真は面白い。
封印された私の魔力。
「私は都会に帰り働く。やるべきことをやり、私は私を取り戻す。会うべきひとやものによって、私は私のはじまりの湖の奥底へとすすむ。私は都会にいながら森にいる。私は私に帰り続ける。封印された私の魔力を解き明かす。眠る前に時々、黒い森のさざめきと、あのギターの音が聞こえる。」
#魔女の帰郷
君の呪術の純度だけを。
クマは黙って働きながら、うたと詩と写真をつくった。自分の呪いを解くように。自分の呪術を深めるように。誰のためにでもなく。そうしている時だけ無心になれた。クマは他の感情に囚われそうになるとバルテュスの写真を見た。その度にバルテュスは言った。君の呪術の純度だけを深めよ。
膝をあたためるもの。
冷たい雨の夜、男は毛布に包んだ自分の心臓を膝の上に置いて、教会の椅子に座っていた。何かを好きになるこころなんてもういらなかった。でも心臓は雨に濡れた男の膝をあたためた。何かを好きになるこころで、冷えた身体があたたまった。男は毛布に包んだ心臓を大事にかかえ、教会を後にした。
心臓は息をするたびに。
雪の日の浜辺で男はちいさな心臓を見つけた。心臓はまだ弱く息をしていた。男は心臓を家に持ち帰り毛布にくるんで介抱した。心臓は息をするたびなにか小さな声で言っていた。男はその声を聞き取った時、思い出した。これは、おれが昔、捨てたおれの心臓だ。心臓は息をするたびに、好き、と言っていた。
甘い呪い。よみがえりの呪文。
#魔女の帰郷 は一応あと2回。だけど、あの森から一生受信し続けそう。彼女の手に負えない魔力は強いまま。
そして、物語を、本を、読むことは、甘く冷酷な呪いにかかること。よみがえりの呪文を唱えること。