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【ショートストーリー】クリスマス・プレゼント

<登場人物>

さやか(5歳ぐらい)
彩のお母さん
(美咲:彩の妹)

エリ(5歳ぐらい)
おばさん(エリちゃんのお母さん)
おじさん(エリちゃんのお父さん)


エリ:
彩ちゃん、もうサンタさんにプレゼントのお願いした?

彩:
サンタさんって?

エリ:
彩ちゃん、サンタさん知らないの?
サンタさんはね、クリスマスにプレゼントを持ってきてくれるんだよ。
だから、欲しいものを紙に書いてサンタさんへのおやつと一緒にクリスマスの靴下に入れておくんだ。

彩:
そうなんだ…
エリちゃんは、何でもよく知ってるね。

彩は家に帰ってからお母さんに聞きました。


彩:
ねえ、お母さん、サンタってなーに?
エリちゃんが言ってた。
プレゼントくれるの?

お母さん:
サンタさんはクリスマスにプレゼントを持ってくるけど、
うちには来ないわよ。


彩は勘の良い子供だったので、お母さんのその一言が何を意味するのかすぐにわかりました。

クリスマスの朝が来ました。
彩はお母さんと妹の美咲と一緒にいつものように朝ごはんを食べていました。すると誰かがドアをノックしました。お母さんがドアを開けると、エリちゃんが興奮した様子で立っていました。


エリ:
彩ちゃん、すぐにうちに来て!
サンタさんがプレゼントを置いていってくれたの。


彩は、「エリちゃんがクリスマスプレゼントを見せびらかしたいのかな?でも、どんなプレゼントか見たいな。」と思いながらエリちゃんの家にいきました。


エリ:
これ見て!
サンタさんからの手紙も一緒に置いてあって、一つは彩ちゃんのだって!

彩:
え?

エリ:
彩ちゃんのお家には煙突がなくて入れなかったから、エリのプレゼントと一緒に置いていく、って。彩ちゃんに渡してね、って書いてあったの。


そこには、エリちゃんへのプレゼントの赤いリカちゃんのお家と、彩へのピンク色のリカちゃんのお家が並べて置いてありました。


エリ:
美咲ちゃんへのプレゼントもあったんだよ。
これ!


それは、何とも可愛い熊のぬいぐるみでした。


彩:
おばさん、これ本当に貰ってもいいの?

おばさん(エリちゃんのお母さん):
サンタさんが「彩ちゃんと美咲ちゃんに」って置いていってくれたんだから、持って帰りなさい。

彩:
ありがとう…

彩の家族には手の届かないリカちゃんのお家。
一生持つことはないと思っていたので彩は驚きと喜びで胸がいっぱいになったのですが、申し訳ないという気持ちもあったのです。


おばさん:
すぐに持って帰って美咲ちゃんに渡してあげなさい。

彩:
うん。


彩はぬいぐるみとリカちゃんのお家を持ち階段まで行くと、階段横の書斎にエリちゃんのお父さんが机に向かって何か書いている姿が見えました。彩はお医者さんのおじさんに声をかけるのは怖かったのですが、勇気を持って声をかけました。


彩:
おじさん…

おじさん(エリちゃんのお父さん):
あ、彩ちゃん。こんにちは。

彩:
こんにちは。
あのぉ、クリスマスのプレゼントありがとうございました。

おじさん:
何のことだい?

彩:
リカちゃんのお家とぬいぐるみ。

おじさん:
あー、サンタさんが置いていってくれたらしいね。
良かったね。

彩:
ぁ…


おじさんはニッコリ笑ってそれだけ言うと、また机に向かい仕事に戻りました。


彩:
(おじさん、ありがとう…)


彩は胸から何か熱いもの込み上げてくるのを感じ、涙が溢れてきました。



彩:
(こんな温かい気持ちになれたのは生まれて初めて。
クリスマスって温かい。
リカちゃんのお家はずっと大切にしよう。)


彩は泣きながら家に帰ったのでした。



<完>






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