メルボルンの片隅で

詩/写真日記/ショートストーリー

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マガジン

  • 【自作詩集】 霧の森〜記憶を彷徨いながら〜

    オーストラリアに来てからの風景や心情を綴った詩 心から消し去ることのできない想いなどの書き殴りの詩

  • 写真日記/写真

    メルボルン周辺(ダンデノン丘陵/ヤラ・バレー/モーニントン・ペニンシュラ)のスナップ写真と呟き

  • 11月なのに何故か9月なUSAの旅

    2022年11月に行ったアリゾナ、ニューメキシコ、ユタの旅を写真を添えて詩、エッセイで綴ってます。

最近の記事

【詩】漂う

夢を越え 宇宙を越え 時空を越え あてもなく漂う どこに行きたいのか わからなくて 空気や 水や エネルギーのように 引き寄せられるままに 彷徨い続ける 「何処に行きたい?」 僅かな記憶の欠片から 悲しい音色だけが流れる 安らかに留まれる場所が 見つかるまで…

    • 【詩】祈り

      全ての経験は 祈りに代わる 楽しかった経験 嬉しかった経験 『素晴らしい経験をありがとう』と 笑顔で魂に語りかける 美しい記憶は 内なる世界を 愛に満ちた 優しい場所にしてゆく 悲しかった経験 怖かった経験 『大丈夫安心して』と 手をひき 愛に満ちた 内なる世界に 連れていく 私とわたしが出逢う場所 何人も何事も 評価する事なく 素直な心情を 受け入れ抱きしめる 魂に微かな光が宿り 悲しみと恐怖の 輪郭が薄れ 暗闇を照らし 平穏が蘇る 要らなくなった過去の

      • 【ショートストーリー】クリスマス・プレゼント

        <登場人物> 彩(5歳ぐらい) 彩のお母さん (美咲:彩の妹) エリ(5歳ぐらい) おばさん(エリちゃんのお母さん) おじさん(エリちゃんのお父さん) エリ: 彩ちゃん、もうサンタさんにプレゼントのお願いした? 彩: サンタさんって? エリ: 彩ちゃん、サンタさん知らないの? サンタさんはね、クリスマスにプレゼントを持ってきてくれるんだよ。 だから、欲しいものを紙に書いてサンタさんへのおやつと一緒にクリスマスの靴下に入れておくんだ。 彩: そうなんだ… エリちゃん

        • 【写真日記】スローシャッターで撮る波

          朝から夏らしいお天気になると前日の予報で言っていたので、朝からモーニントン・ペニンシュラのフリンダースに気分転換を兼ねて行ってきた。フリンダースは、夏の夜(と言っても条件が調った時のみ)にオーロラが観測できる場所として、また潜水すれば竜の落とし子に出会える場所としても有名である。 今朝の海辺までのショートウォークで、夏恒例のフレンドリーな小蝿達に遭遇してしまった。いきなり口の中に入ろうとしてきたので、「ふぅー!!」と吹き出したが、あれよあれよという間に小蝿に囲まれ、抵抗もで

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        • 【自作詩集】 霧の森〜記憶を彷徨いながら〜
          35本
        • 写真日記/写真
          11本
        • 11月なのに何故か9月なUSAの旅
          11本

        記事

          【詩】願望

          大脳辺縁系が正しく機能していません 扁桃体が急激な負の感情を放出したため 海馬にダメージを齎したようです 取り出せるだけのデータをバックアップして 大脳辺縁系を削除できますか それとも トラウマになっている過去の悍ましい記憶を 大脳皮質から取り出して 書き換えることは可能ですか どちらでも構いません やって頂けたらと 半分AIになっても良いんです 感情はもう必要ありませんから AIが人間の感情を持ったら…という記事はネット上でよく見かけますが、人間から感情を取り除い

          【ショートストーリー】小さいおじさん

          重い雰囲気のストーリーが続いたので、今回はめちゃくちゃ軽いノリで。 意識が戻った時には、サンドストーンでできたアーチ型の凱旋門に張り付けられていた。詳細は覚えていないが、不当な理由で捕まったのだ。納得がいかない私は泣きじゃくりながら、 「フェアじゃない!」 「フェアじゃない!!」 「絶対にフェアじゃない!!!」 と徐々に声を大きくしながら叫んでいた。 すると突然 バシッ! 隣から誰かが私を叩いた。 「あれ?」 意識がふと現実に戻った私は、 隣で寝ている颯太に叩

          【ショートストーリー】小さいおじさん

          【詩】霧雨の降る街

          鉄の扉を両手で開くと 霧雨に包まれた街が 視界に広がっていた 小高い丘の上に建つこの家からは 街全体を見下ろすことができる あの頃は 雨に濡れたグレーの街が 湿り気を含んだ黴臭さが 私を陰鬱の果てへと押しやった 変わらぬ信念と祈りを大空に掲げ 見知らぬ敵から身を護り 傷つきながら森を彷徨い戦い続けた 希望に向けて最後の光の矢を放つ 悲しみの果てに築き上げた 魂のディストピアは 燃え上がる炎と化し崩壊した 霧雨の降る街は 静寂な潤おいに包まれた 何物にも変え難い 安

          【詩】霧雨の降る街

          【短編】シャーブルックの森①〜木彫り人形の想い〜

          <登場人物> 私(ナキア) 風(カイル) 木彫りの人形 (アーティスト) 今日もまた、いつものようにカメラを持ってシャーブルックの森に出かけた。最近は自分の心の投影というより、森の皆んなと会ってお喋りすることが楽しみとなっている。 「最近声を出さずに会話することに慣れてきたみたいだね。」 「そうね。声を発せなくても大分自然の声が聞こえてくるようになってきたわ。もちろん、森から出て君と別れると、何も聞こえなくなっちゃうんだけどね。」 「うん…」 「あ、君も私がつけ

          【短編】シャーブルックの森①〜木彫り人形の想い〜

          【詩】自己愛

          いつもと同じように 鏡の前に立ち 指でゆっくりと 唇をなぞりながら 口紅をつける 長年愛用している ピンク色の口紅 初めて買ったのは いつだっただろう あの頃の私と今の私 ふふっと笑みが溢れた 目尻と口元にできる笑い皺 祖母譲りの頬骨 悪戯に知識と知恵を 詰め込んだけど 瞳の奥に棲む私は あの頃と変わらない 今にも壊れそうな 脆いガラス細工 自信がなくて不安で いつも「これで良いのかな?」と 緊張している 何も変わらない なにも ラジオから ビリー・ジョエルの J

          【ショートストーリー】獣コブ

          これは、どこにでもある普通のお噺 鏡に映るある美しい少女の左の頬には 獣の形をした大きなコブができていた。 母に訊いた。 「どうして私の頬には獣の形をしたコブがあるの?」 「そんなのないわよ。気のせいよ。 いつもあなたは美しいわ。」 友達に言った。 「私の頬にくっついている獣の形をしたコブが怖い。」 「そんなの見えないよ。きっと夢で見たのよ。」 鏡を見ないでコブに触ろうとしたけど コブが見つからない。 ある日森に流れる小川で水面に顔を映すと、 獣はまだ少女の頬に

          【ショートストーリー】獣コブ

          【詩】ザデスの神

          とある作者様に捧ぐ詩 昨晩からザデスという神が この辺りを彷徨(うろつ)いている ハロウインは終わったというのに 不気味な格好をして 最初はその容貌がゆえ 怯んでいたが そいつが近くを通る度に 私の中にある特定意識が 薄くなっていくのに気づいた 「こいつは一体何者なんだ?」 微かに聞こえた呟きは 「82回もチェスやらせるとは…」 全く意味がわからない。 また会えると良いのだが… ありがとうございました。

          【詩】ザデスの神

          【詩】ボトルの破裂

          先日夢と現実の狭間でウトウトしていた時に見た 不思議な光景を書いてみました。 バン! 空中で グラスボトルが 音を立てて 破裂した 破片の一つ一つが 繊細で柔らかな 虹色を放ちながら 放射状に広がっていく 破片を見ていると 重なる懐かしい感情が あちこちの毛穴から 込み上げてくる その様は スローモーションで やがて破片が緩やかに 形を変えながら 空間に漂うモレキュラーと 溶け合っていくのが見えた 透明に近い色になった頃 眩い白い球体が飛び出し ゆっくり天に向かっ

          【詩】ボトルの破裂

          【詩】傷跡

          眠れぬ夜 微かな月の光が 忘れていた傷跡を 薄らと照らした そっと指で触れてみる まだ痛い この傷跡が 完全に消える時が くるのだろうか こぼれ落ちた涙で 傷跡を撫でた すると突然 月明かりの方から 柔らかな声がした 「一人で我慢して苦しまないで いつでもあなたを見守っているから 痛みを優しく抱きしめて 星となって輝くまで」 あ… 月の妖精 ありがとう😌✨

          【写真旅行記】見守ってくれるサワロ達

          アリゾナ州に行くとあちこちに植わっている(生えている)サワロ達を見てホッとする。サワロは、大きなサボテンの一種🌵(写真参照)。よくメキシコやアメリカの砂漠地帯で撮影した映画やドラマで見かけると思う。大きく空に向かって伸びてはいるが、形が愛らしというか、フレンドリーというか…いつも癒されてしまう。 アリゾナに到着すると 「いらっしゃい。待ってたよ。」 と迎えてくれる。 他の州にロードトリップに行く時は 「気をつけて行ってらっしゃい。」 と言ってくれる。 ロードトリップから

          【写真旅行記】見守ってくれるサワロ達

          【詩】生きる

          何かを食す 美味しくても 不味くても 食べたものは お腹の中で 消化され 血肉となり 骨となり 体を温め 生きる力となる 余分な物は 形を変えて 排出される 何かを経験する 楽しくても 辛くても 経験した事は 脳のどこかで 消化され 知恵となり 優しさとなり 心を養い 愛となる 余分な感情は 夢となって 排出される

          【写真】ピオニー・ファーム(モーニントン・ペニンシュラ)

          芍薬(ピオニー)の季節が来た。 大好きなピンク色の八重ピオニーが開花して、今日から売り出すとインスタグラムで知り早速行ってきた。改装して以前より駐車場も販売所も拡大。ガーデンも一段と綺麗になっており、散策を楽しんで来た。 カメラ:Canon EOS6D レンズ:24-105mm f4 L IS USM / 85mm f1.2

          【写真】ピオニー・ファーム(モーニントン・ペニンシュラ)