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HSCとか聞きたくない

こう言ったのは私から初めてHSCの説明を受けた時の夫である。

当時の夫の言い分はこうだ。

・アルファベット3文字で、まるで何かの病気みたいだと思った
・一人一人人間は違って当たり前なのに、「HSC」という言葉でひとまとめにするのはおかしい

と思って、否定的な返事をしたとのこと。

初めて聞いた言葉のうえに、しかも息子に対して妻がそれを言っているということに何か違和感や反発したい気持ちがあったのだろう。

私は息子と毎日朝から晩まで一緒に過ごし感じている違和感や人と違う点、育てづらさがあったゆえに調べに調べていきついた答えであり、その上、自身で少々の知識を持っていたため夫のこの開口一番のセリフには腹が立った。
息子の子育てを一緒にしたいからこそ、HSCという気質を夫婦で理解し、共有し、これからの子育てに活かしたかっただけなのに、出鼻をくじかれたからだ。

その時はもう話をするのをあきらめ、「二度とこの人の前でHSCという言葉を発するものか」と意地を張った。

その後どうしても夫に知ってほしいという想いがあきらめきれず、自分自身の勉強は続き、息子への接し方も工夫してみたところ、自分も息子も少しだけ穏やかでいらるシーンが少しずつ増えていった。

HSCの書籍を数冊購入して読みふけった。
中でも一番わかりやすく、HSCを肯定的に表現している本をみつけた。

息子のHSC気質を相談していた実母には、
「あなたが神経質で心配性だから子供にもそれが移っちゃったんだよ」
「細かいことを話しすぎるから子供っぽさがなくなっちゃったんだよ」と
母親の責任だといわれ、自分自身も自覚があったため、今の苦しさは自業自得なのだと思っていた。

・HSCは、持って生まれた性質です。育て方でなるものではありません。
・障がいや、病気とは異なります。持って生まれた「気質」です。
ですからHSCは「治す」ものではありません。このような性質を「自分らしさ」ととらえて、伸ばしていくことが、HSCの子育てです。

HSCの子育てハッピーアドバイス 明橋大二

この本を読んで、自分は心底ほっとして、気質のおかげで息子は繊細で敏感だったのだと腑に落ちたのである。

また当時は、息子は食事や生活の中で文句が多く、作った食事にも文句ばかり。こちらもせっかく作ったので「それなら食べなくていい」と突き放してしまっていたことが多々あった。そのたびに癇癪が収まらず、手が付けられなくて自分も一緒に泣くということがルーティンとなっていた。
それについても同様のシーンが紹介されており、まずは親が冷静になる、共感してあげる、できなかったことより、できることを認めてあげる、ことを実践してみたところ、本当に息子が癇癪がおさまったことは驚いた。
たとえHSCだろうと、そうでなかろうと、人に共感してもらい、優しく話しかけてもらうほうがよっぽど素直になれる気がした。

・安心できる環境だから、素の気持ちが出せるのです。
ですからこういう子につきあうのは、少し忍耐が必要です。
・子育てがうまくいっている証拠です。
少し時間はかかりますが、成長するうちに、逆に、優しさや豊かな感受性といった、その子の長所が発揮されて、素晴らしいお子さんに育つに違いありません。

HSCの子育てハッピーアドバイス 明橋大二

そのほかにも、「甘やかしているからそうなる」と外から言われることに傷ついていた私自身が、この本を読んで、本当に救われた。

それからは人目があるところで息子がどんなに号泣していても、癇癪起こしていても、「恥ずかしいから静かにして」と思うことなく対応することができた。
本に載っていることすべてをいつもいつも自分の中で参考にして対応していくと知らず知らずのうちに身についていった。

そうだ、これなら夫も数ページは読んでくれるかもしれない。
「この間は急にHSCとか言って驚かせちゃったよね」
「こんな本があって、すごく素敵なことばかり書いてあるから読んでみて」
と、家族団らんの時に明るく差し出すことに成功した。
夫も鬼ではないので、書籍を手に取り、ぱらぱらとめくり、漫画のページを見ていた。じっくりすべてのページは見なかったが、目次からザックリと目を通してくれた。「なるほど」といって、その日は特段その話題には触れなかった。

後日夫が癇癪をおこしている息子の対応の時
「そうか嫌だったんだね、じゃあ他に気に入るのがないか一緒に探そうか」と早速共感して接していた。

しかし、すべてはそうではなく、息子に対して厳しくきつくしつけることもある。私はいままでそれは息子にとっていやなことだと思っていたが、だんだんと、『世の中には優しい人ばかりではなく、厳しい人や理不尽なことがたくさんある。いつも寄り添ってくれる人ばかりではないということを息子が学ぶいい機会に違いない。』と発想の転換をして、落ち込む息子をそっとフォローすることを忘れないようにしようと思えるようになった。
実際夫はそのような考えて息子に接していることも後からわかった。
どのような形であれ私たち夫婦が息子を想う気持ちは変わらず愛情に溢れている。

子供には、何かをしたから素晴らしい、頑張ったからすごい!ということよりも、「生まれてきてくれてありがとう」「あなたが生きているだけでママは本当に幸せ」と毎日伝え続けている。
これからどんどん手が離れていくが、どんな時も心に寄り添いながら、いつもあなたの味方だよという心のメッセージを伝え続けたい。

と思っているが、ついつい日々の忙しさ、子供のわがままに腹立ち、むかつき、怒鳴ってしまう時もある。いや、怒鳴ってしまう時ばかりだ。

でも要所要所でこの本を読みなおして「そうだった」と反省し、また行動をすることで、何もしないよりかは良いのではないかと気楽に考えている。
たくさんの安心と、気づき、成長を助けてもらった本である。

もし子供が敏感で対応に悩んでいる、家族に理解が得られなくてつらい人がいたら一度読んでみることをおすすめする。

また、家族に読んでもらえなくても、自分だけは理解するというマインドで過ごすことが子供にとって、理解してくれる人が一人いるのといないのでは安心感が違うと思う。


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