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17. 天下みな美の美たるを知るも(てんかみなびのびたるをしるも)


常に物事は相対するものがあって成り立つ


以前、ある朝4時頃に目が覚めてしまい、何となく付けたテレビでやっていたのが「暴れん坊将軍」という時代劇の再放送でした。

そう言えば幼い頃、祖母の家に行くといつも祖母が見ていたのを思い出し、しばらくの期間、何話も見続けていました。そしてそれはかなり色々な意味で衝撃的なものだったのです。

何が衝撃的だったかと言うと、


①ドラマの内容が勧善懲悪でシンプル過ぎる
松平健さんのイケメン度、カリスマ度が想像以上
③衣装やセットや小道具などの作りこみが丁寧すぎる
④女優さんの肌が透き通っていて美しい

その中でも①のドラマの内容が勧善懲悪すぎました。そのストーリーはほぼ毎回決まっていて、大体は以下のようです。


〈町で何か事件が起きる。そして町の人が松平健さん(徳川吉宗)のところに助けを求め、松平健さん(徳川吉宗)が悪者をやっつけて町に平和が戻る〉



あれ?このドラマってこんなに内容が浅かったっけ?と拍子抜けしてしまったくらいです。しかしわかりやすいストーリーのシンプルさに、何か忘れていたものを思い出させる、そんな気持ちにもなりました。



悪役がいるからこそ主役が引き立つ


そしてこのドラマの勧善懲悪とは、まさに「老子」が伝えたい「天下みな美の美たるを知るも」(美しさと醜さは表裏一体)に相当すると言えます。


それは、悪役が邪悪な性質を持ち、社会や周囲に敵対的な行動を取ることで、主人公の善や正義がより際立つものです。


それは相対するものがあって、物事が成立しているということであり、老子はこれを強調しています。


現代での例で、芸能人の不倫や不祥事を叩きたくなるのは、私たちが非現実の人間関係の中で、善人になり悪人を切ろうとしているのです。

なぜなら現実の人間関係ではないが故に、自分がリスクなしで簡単に善人になり、悪人を叩けるからです。

と言うわけで、善だけで世の中は成り立たないのです。そう考えると、むしろ悪役をありがたいとすら思ってしまいませんか?自分は何も努力していないのに善人になれてしまうのですから。


相対するものの例を挙げてみます。

①美しい と 醜い
②天  と 地
③男  と 女
④上  と 下
⑤高い と 低い
⑥長い と 短い  
⑦綺麗 と 汚い
⑧有る と 無い
⑨生  と 死

このように相対するものがあって初めて物事が成立するということは、私たちは片側だけや良いところだけ、また、おいしいところだけを不自然に得ようとすることはできないということがわかると思います。


人生においても、良いことと悪いことは切り離せない


そういう意味では人生においても、良いことと悪いことは必ずセットになっているということが言えます。良いことの裏側には必ず悪いことがあるのです。

そういった意味では、たとえ悪いことが起こっても、次には良いことが起こる前兆だととらえることができますよね。

そしてまた良い時には調子に乗らず、また冷静に次の悪いことに備えられるようにできれば良いですね。


おまけに

松平健さんの「暴れん坊将軍シリーズ」再放送どこかでやっていたら是非一度見てみてください。おすすめです。

昭和の古き良き時代のテイスト、緩やかに時間が流れている感じ、丁寧なものづくり、自然の美しさ、生き方のシンプルさ。

きっと失いかけている何かを感じずにはいられないでしょう。

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