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【Memory of Movies】第8章 海外ドラマとの衝撃的な出会い『プリズン・ブレイク』

常に映画と人生を共にしてきた筆者は、中学生の頃に、あまりにも面白いものに出会い、衝撃を受けることになる。

あれは、マーベル映画『ファンタスティック・フォー』をレンタルした時のことだ。
当時、私は『スパイダーマン』から始まり、マーベル作品を漁るように鑑賞していたのだが、ふと、特典として収録されていた『プリズン・ブレイク』というタイトルに興味を惹かれた。
どうせ、お金を出してDVDをレンタルしてきたのだから、特典も視聴しないともったいないという貧乏性から、再生ボタンを押してみた。
まさか、これが人生を変えることになるとは知らずに…。


IQ200の天才が難攻不落の刑務所から兄を助け出そうと脱獄計画を立てる

『プリズン・ブレイク』は、無実の罪で死刑宣告を受けた兄リンカーン・バローズ(ドミニク・パーセル)を救い出すため、IQ200の天才建築技師である弟マイケル・スコフィールド(ウェントワース・ミラー)が、単身、刑務所に入所し、兄を救い出そうとする姿が描かれる。

中学生だった筆者にとっては、少し大人向けのように感じさせる演出やストーリーが気になるところではあったが、第1話を視聴して衝撃を受けたのを憶えている。
タイムリミットが迫る状況下で、迫り来る看守の目や囚人たちの度重なる嫌がらせを回避しながら、兄を脱獄させなければならないというハラハラドキドキの連続!
こんなに面白いドラマがアメリカにはあるのか!?と興奮状態になってしまった。
もちろん特典として収録されていたのは第1話のみで、続きを見るためには購入するかレンタルするしかない。案の定、夜も眠ることができないほどに先行きが気になって仕方なかった。

海外ドラマというものに触れるのが初めての経験だったため、どういうものかもハッキリしない中で、たまたま地上波で特集放送されていることを知り、続きを録画することに成功。
しかし、ここに思いもよらぬ落とし穴があった…。
なんと、録画できていたのはシーズンの折り返し地点にあたる13話までだったのだ。
 日本のドラマというのは、1クールおよそ10話ほどなので、海外ドラマもそれぐらいだろうと、そこまでしか録画していなかったのだ。
『プリズン・ブレイク(シーズン1)』の折り返し地点といえば、最初の脱獄プランが失敗に終わる、まさにその瞬間に終了する。
またもや眠れない日々の始まりだ…どうしたものかと悩み抜いた末に、結局、DVDコンプリートボックスを購入することを決意。めでたくシーズン1を見終えることができた。
しかし、こんなもんでは眠れない日々に終わりはこない…今度はシーズン2がどうなるのか気になり始めるのだ。

当時はレンタルビデオ店に長蛇の列ができていた!

ちょうどタイミング良くシーズン1を観ていたため、シーズン2リリースまでにそこまで時間を要することはなかったが、コンプリートボックス発売までは、まだ時間がかかる。
どうやらレンタルのほうが速いという情報を聞きつけ、レンタル開始日前日にあらゆるレンタルビデオ店に電話をかけた。
すると、当日はすぐに貸し出し中になってしまうという。ならばと、開店前に店へと向かったのを記憶している。

そこには、数人が列を作っており、皆、『プリズン・ブレイク』目当てだと悟る。
開店と同時にダッシュで陳列棚へと向かい、残っているディスクを手にした瞬間を今でも鮮明に憶えている。隣にいた男性客は他の店にも仲間がいるらしく「確保!」と電話をしていたのが、何より印象深い。
思えば、今となってはこんな経験もできないのだな…あれから十数年、海外ドラマは日本人の生活の中心となり、TV放送や配信のほうが先行し、DVD発売やレンタルは、ブームが去ってからということも多い。
海外ドラマの知名度が上がったことは嬉しいが、どこかあの頃が懐かしい。
 
筆者は、その後も『プリズン・ブレイク』だけでなく、『LOST』、『HEROES』、『ゴシップガール』といった海外ドラマにハマっていき、見事、沼の住人となった。
そして、2016年から海外ドラマライターとして活動を始め、2017年、待望の『プリズン・ブレイク(シーズン5)』リリース時には、憧れの『プリズン・ブレイク』の記事をいくつも書かせてもらえる機会をいただいた。

あの時、軽い気持ちで視聴した『プリズン・ブレイク』がその後の人生に及ぼした影響は計り知れない。
海外ドラマと出会えて、本当に良かった!この出会いがなければ、いまの筆者の人生がなかったと言っても過言ではない。
それだけ『プリズン・ブレイク』という作品は、我が人生に欠かせない存在なのである。

(文・構成:zash)

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