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なぜ研究は難しいのか? 1/2

本記事は、スライドを作る以前に、
「そもそも研究が難しすぎる!!」「コツが全く分からない…」
と感じている、研究を始めて間もない学生や、苦手意識を持つ方に
是非読んで頂きたいエピソードです。


1. 研究デキる人、デキない人

修士までの経験を振り返って一言でまとめると、
最後まで研究には慣れることはなかったな、と感じるほど
難しかったという印象が強く残っています。

とにかく難しい、周りとの落差がヤバい、と感じてしまう方は、
まだ研究のスタートラインに立っていない可能性があります。

さて、研究をごく当たり前のようにこなせる人間と、やがてハードモードに突入してしまう人間の違いは何なのでしょうか?

結論をいえば、前提を疑って、仮説を立ててから、それを検証していく。
という行為に、日頃から馴染みがあるかどうか?
が最大のポイントだと考えています。


何故こういう理屈になるのか。実は思い知らされるきっかけとなった出来事がありました。


2. 教授からのある一言

それは、私が研究室を移籍し、居酒屋で私ら新入生の歓迎会をしてもらっていた時のこと。

教授と研究偏差値70くらい(当社比)の優秀な学生の2人に、あるテストをされたことがあります。

教授はテーブルの焼き鳥串を手に持ち、「このお肉はどうやって串に刺さっているのか、なぜ振っても落ちてこないのか、この現象を説明できるかい?」と聞いてきました。(ラボの専門に関わる内容です)

それを見ていた隣の優秀君も、「フム、それは確かに大事ですね」
と教授の真意を一瞬で汲み取っていた様子。

私は酔いを一気に醒ましてその場で頭を振り絞り、

「焼き鳥の肉が落ちないということは、落ちないように店員が肉を刺しているからでは!」 
とセクシーに答え、

それまで好奇の眼差しだった2人に酷くがっかりされた経験があります。
さて、この質問に答えるには、どうすればよかったのでしょうか?


3. 研究者の思考パターン

彼らの質問は、私への嫌がらせとも取れるものです。しかし、こうした質問を自然としたくなる人間の立場に立ってみると、悪意は無く、純粋な動機に過ぎないのです。

それはまず、遊びや趣味などの日常のどのシーンであっても、自分の好奇心を向ける対象を探すことに始まっています。


常日頃から、

「同じ焼き鳥でも横に剥がして食べやすいものと、
そうでないものは何が違うのだろう?」「そういえば何故、肉は焼くと色が変わるの?」
といったミクロな視点から、前提への疑いを持っていることです。

ひとたび気になれば、場所や時を選ばず考え、検証します。そのために必要な情報を調べ、自分の考えを改めると、一つ賢くなることができます。

ここまでの手順を踏めば、このように話が進みます。
「そういえば肉を刺して焼く前は抜け落ちそうなのに、焼いたら落ちないよな」
「ふむ、焼くとタンパク質が変性して身が締まるらしいから、つまり刺した棒を覆っている肉が締め付ける力が強くなるってことなのかな」

きっと質問をした教授は、勉強になる話をしつつ、最後下ネタで笑いを取りたかったのだと思います。私は、知らないうちに笑いにつながる展開を失っていたのですね。

さて、彼らはこうした視点で日常生活を送る中で、数秒前までの自分が持っていたバカな考えや間違った先入観に気付き、日々アップデートしていくことが何より楽しい!という好奇心に溢れています。

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