言葉の力: やる気を引き出す心理的メカニズム

笠原彰　とちぎスポーツ医科学センター協力心理相談員　プロメンタルコーチ　作新学院大学教授

2023年9月13日 12:49

「口ぐせ」は、私たちの脳とやる気の関係において重要な役割を果たしています。考えてみてください。「きっとできる！」という自己肯定的な言葉と、「ま、いいか」という受け入れの言葉。どちらがやる気を引き出すでしょうか？

「きっとできる」という言葉は、自分を励まし、やる気を引き出す効果があります。しかし、過去にこの言葉を信じて行動し、結果的に失敗した経験がある場合、この言葉は逆効果となることも。そのような場合、過去の失敗を思い出し、やる気が減退する可能性があります。

一方、「ま、いいか」という言葉は、困難な状況や失敗を受け入れ、気持ちをリセットするための言葉として機能します。この言葉は、自分を守るための心のスイッチとも言えるでしょう。

日常生活で「疲れた」「しんどい」という言葉を頻繁に使うことは、心や体の不調を示すサインかもしれません。このような言葉が無意識に出る場合、その背景にある原因を探ることが大切です。

最後に、グチについて考えてみましょう。グチを言うことでやる気が上がるか、それとも下がるか。脳科学的には、グチは必ずしもやる気を下げるものではないと言われています。グチは、現状に対する不満やストレスを発散する手段として機能することが多いのです。

笠原彰心理学的考察：

口ぐせや言葉の選び方は、私たちの心理状態や感情を反映するものです。ポジティブな言葉は自己効力感を高め、やる気を引き出す効果がありますが、過去の経験や現状の環境によっては逆効果となることも。言葉の背後にある感情や経験を理解することで、より効果的なコミュニケーションが可能となります。

また、グチやネガティブな言葉は、ストレスや不満を発散する手段としての役割を果たしています。これは、現状の環境や状況に対する適応の一環とも言えるでしょう。しかし、過度なグチやネガティブな言葉の使用は、周囲の人々の感情ややる気に影響を及ぼす可能性があるため、注意が必要です。

最終的に、言葉の選び方や口ぐせは、自己認識や自己理解の手段としても利用できると考えられます。自分の言葉や行動を振り返ることで、自分自身の心理状態や感情を理解し、より良いコミュニケーションや人間関係を築くためのヒントを得ることができるでしょう。

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