見出し画像

【れぽ】ルーヴル美術館展 愛を描く

▷ ルーヴル美術館展 愛を描く

現在国立新美術館で開催されている「ルーヴル美術館展」に行ってきました。
毎度のことながら週末はどこも人が多くて大変です。
今回の展示はルーヴル美術館に所蔵されている作品の中でも特に「愛」をテーマにした作品を約70点集めたものです。
「愛の概念をどう描画されてきたのか」が見どころの一つです。


▷ルーヴル美術館

ルーヴル美術館は1793年に開館したフランス、パリの国立美術館で幅広い時代の作品が38万点以上も所蔵されています。
展示スペースもかなり広く、世界で最も入場者数が多い美術館とも言われます。

▷神々の愛

アモルという恋愛を司るローマ神話の神が愛を誕生させた瞬間を描いた『アモルの標的』に始まり、企画展の前半は神話などの伝承を題材とした作品が展示されていました。
今回の展示で私が特に驚いたのは、男性の神が女性の神を連れ去る表現はそれほど珍しくないということです。神々の恋愛には性別に関係なく、意中の相手をなんとしてでも手に入れたい、自分のものにしたいという欲望が強く関係しているようです。そのため男性の神は男性的な逞しさやしっかりとした筋肉などを生かした暴力的な力技で連れ去るという表現が多く用いられています。
反対に女性の神は男性のような力強さではなく、しなやかな身体表現と魔力や妖術を利用して意中の相手を自分の方に向かせるという表現が多く用いられています。

▷多様な愛

中盤から後半にかけては聖家族を題材とした家族愛や、田舎町の牧歌的な愛や街で育まれる自由な恋愛模様が描かれた作品、若者の愛などをテーマにした作品が展示されていました。
眠っている幼子のイエスと聖母マリアという表現は多くの絵画に用いられてきました。私はこれまで、可愛らしい我が子を優しい表情で見つめる慈愛の作品と思っていました。しかし今回の展示ではこのテーマの絵を、キリストを待ち受ける受難を暗示して憂いの表情を浮かべるマリアという見方が紹介されていて驚きました。同時にその見方もあるのかと勉強になりました。
また、後半の展示には線が細く筋肉量の少ない男性を描いた作品があり、それらは両性具有的な表現や思春期の理想的な身体としての表現などを意味するそうです。ローマやギリシャの美術というと筋骨粒々の男性というイメージがあったので、こちらも新たな表現を知ることができとても勉強になりました。

▷むすび

今回の展示には非常に有名な作品が多数ありました。
美術初心者の私でも何度か目にしたことのある作品も多かったのですが、今まで自分が思っていたのとは別の視点からの見方や表現技法を知ることができ、とても有意義な1日となりました。
美術上級者の方はもちろんのこと、私のような初心者でもルーヴル美術館に所蔵されている現物の作品の迫力を楽しみながら、その見方や表現の意味の一端を理解して鑑賞できる企画展でした。
少しでも美術に興味のある方にはとてもおすすめです。6月12日まで開催されているのでぜひ訪れてみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?