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黒にもクズにも屑にもなれない


そもそも生きづらいという感覚を抱いたのはいつからだっただろうと思う。

又吉直樹さんの、人間という本を完読した。

わたしが本や音楽といったその人の'作品'にまで触れたいと思う理由は、どのジャンルに置いてもそうだがその人のことをもっと知りたいからである。

その人から生まれた言葉、情景、描かれている人柄であったり服装、何に影響を受けてきたのか、そういった部分が垣間見えた時、その人の材料みたいなものが少しずつ紐解かれていく瞬間、とても嬉しくなってしまうのである。


自分はどんな材料で出来上がった料理なのだろう、そんな事を小さな頭でぼんやりと考える。


自分とは全く違う人間に、自分と同じ様なものをもしかしたらこの人は持っているのかもしれないと発見した瞬間、とても不思議な気持ちになる。

当たり前と言ってしまえば全部片付けられるような気持ちではあるが、どうしても'同じ'と'違う'の間に、'合う'が見つかると良い違和感になって浮き彫りになるのだ。


ここ最近、それを感じる。


生まれた感情をどうすることも出来ずに消化出来ないと泣いていたあの日々を思い出す。その矛先はいつだって自分に向いていた。いや、最早向くように仕向けていたのかもしれない。人を傷付ける言葉で解決してしまえる程自分に価値を見出せていなかったのかもしれない。

それがどうして人に頼れないのかは、相手に迷惑をかけてしまうだとか、余計な心配をさせてしまうだとか、借りを作るようで後ろめたいなど様々な言葉が頭を駆け巡ってはいるが、そもそも頼り方を知らなかっただけなのだろうと思う。若しくは、頼るという概念が無かった。これは、当時の自分にとっては弱さだったのかもしれない。


人間らしい、ってなんだろう。

人間味、といったりもするが何を持ってして人間らしいのだろう。
多くの割合はやはり感情なのかもしれない。感情のあるもの、複雑化した思考、自分の為に抱く感情もあれば人の為に生まれる感情も少なからずある。

欲望もそうだろうか。
手に入れたい、伝えたい、失くしたい、忘れたい、
そこに"有る"という事実だけで存在して居られることはどれ程美しいことだろうと、真っ暗闇に浮かぶ月を見て思う。
それらが特別心を動かさない時、自分は何処にいってしまったのだろうと耽る。

寒くならない冬の夜、たくさんのものが生まれては消えていく。

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