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食器にチョコレート

 身の回りのものについて語るのは、ほとんど自己紹介だと思ってる。どうしてそれを選んだのか、選んだだけでなくずっと使っているのか。
 
 それは「気に入っているから」もあれば「過不足ないから」「単に惰性で」もある。どうであれ、ある物を使い続けることには、その人の価値観や生活がにじみ出る。
 
 例えば父は、30年以上おなじカップを使っている。陶器の、いかにも「お父さん向け」といった風情のマグカップ。柄は入っているが派手ではなく、厚みがあって重い。父は毎朝それでコーヒーを飲む。変わらないルーティーン。
 
 使う物を変えない人は、生活習慣を変えることもまた好まないんじゃないか。
 
 母親のほうは、家族の事情に合わせてライフスタイルを変えてきた人で、特に「これ」というお決まりの一品はない。そのつど好きな物を使う。
 
 介護していた祖父母もいなくなったいまでは、日々の気分で使う日用品を変えているだろう。紅茶を飲むときひとつ取っても、実家にはいろんなカップがあった。いまの生活を聞くと、食べたい時に食べ、寝起きしたいときにする生活らしい。
 
 自分はといえば、チェコ製(だったと思う)の陶器のマグカップをずっと使っている。実家から持ってきた。どうして家に来たかは知らないが、海外旅行好きだった祖父のおみやげかもしれない。素朴な花柄で、ちょっとふっくらした人のような丸みを帯びている。
 
 実家で使っている器がほぼ陶器だったので、食器=陶器だと思っている。去年、結婚した旦那さんは、100均一のプラスチック皿もそれなりに愛用するので、最初はカルチャーギャップを感じていた。彼が
 
「(プラスチックなら)カチャカチャ音もしないし、割れないし、いいやんか」
 
と言うのを「陶器には愛着がある」と言って押し切って使っている。

鶴の箸置き。自分と旦那さんの分で、折り鶴の折り目の部分まで再現されたのが細かくて気に入ってる。これも陶器。
母が作ってくれたお皿シリーズ。
左下に乗ったナマハゲのチョコは、メリーチョコレートが出しているご当地バレンタインチョコになる。地元・秋田のバージョンは、他の地域より若干おいしいという噂。食にはうるさい(特に米)県民性なので、まあそういうこともあるかもしれない。
ご当地チョコシリーズは、京都が五重塔と舞妓、名古屋はシャチホコ。


 上の写真でメリーチョコレートが出てきたのでちょっとこの話をすると、この会社はいま和菓子を意識した世界観で売り出しているらしい。甘味の世界の覇者になろうという意気込みかしら。

これですね。セゾン ド セツコ。
秋田から送られてきたナマハゲ入りチョコボックス、全体はこんな感じ。


 食器には、自分で買った物もいくつかあるけれど、大半がお下がりか頂きものだ。そういう人生なんだな、と思う。

 誰かが選んでくれたり、ひょんなところから自分のところに来たり。そういう物に囲まれて暮らすのは、つまるところ悪くない。

 今年のバレンタインは、母が贈ってくれたチョコレートを食べ、いちおう自分でも作って旦那さんと一緒に食べた。余談だけど、チョコというのはただ溶かして固めるとまずいので、生クリームを入れて作るほうがいい。

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自己紹介

本を買ったり、勉強したりするのに使っています。最近、買ったのはフーコー『言葉と物』(仏語版)。