志磨

暇人の戯言 よくギター弾く 人並みに恋をします

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  • お気に入りのやつ

    自分が気に入ったやつ置くだけ

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案外常識人

自分はつくづく変な人間なんだと、ここ数日で怒涛のように気付いた 朝起きてすぐ、頭の中には音楽が流れている 曲のタイトルを当てれば満足したかのように音の再生が止まる さながらイントロドンである 街に出ると色々な店舗がありロゴが目に付く それを見ているとなんだか空白を埋めてみたくなったり、等間隔に直してみたくなったり、線を歪めて繋げてみたくなる もどかしい 近所に行きつけのTSUTAYAがある 昔からその店に行き漫画やらアニメやらCDを発掘していた私だが、毎回視界に入るだけ

    • 夢の中

      うまく息ができなくなる。 喉の奥に石でも詰まっているような心地がした。 言ってしまった。 ついに心の奥にしまっておいた言葉が、冗談と称して滑り出して刃物になってしまったのだ。 本来であればスッキリするはずなのに、彼女がつぶやいた言葉を見てどんどん黒いものが溜まるばかり。 こんなことになるなら、もう少し早く嫌いだとでも言っていれば良かっただろうか。 いや、無理に決まっている。 だってそうすれば彼女は泣いてしまうだろう。 ただただ謝るばかりのロボットのようになってしまうだろう。

      • ゆめうつつ

        月明かりの射す路地裏に 静かにゆっくり座り込む。 耳鳴りが止まない。友達のねずみと2人きり 頭の中から消えない 鈴の音のようなあの子の笑い声と 毎晩耳に鳴り響く 雨の音のようなあの子の泣き声。 何も出来ないまま春が来て 冬が終わった1年前。 高い所から他界した 嘘だと思った去年の話。 あの時に助けたいと胸を張って言えていたなら。 あの子は隣に居ただろうか。 今も隣で生きていただろうか。 強く鳴り響いてネズミの声も聞こえない夜。 ただうずくまり、呟き続ける懺悔の言葉。

        • 幸せを司る貴方

          愛しい人を見る度、痛みと共にパパラチアといわれる宝石が目からこぼれ落ちる。 そういう病にかかっている私の恋人。 神聖なような、藤の花が良く似合うようなそんな人。 朝、彼より後に起きると必ず枕元に宝石の屑だけが落ちている。私が知らない間に、痛い痛いと泣いているのだろう。 完全に治すことの出来ない病で、2ヶ月に1回症状を和らげるためだけの目薬と飲み薬を貰いに今日も通院する。目薬を差しても宝石は止まることがなく、ただ痛みが無くなるだけである。 私はもう彼が流す宝石の煌めきを見たくな

        案外常識人

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        • お気に入りのやつ
          3本

        記事

          修復不可能

          この恋は修復不可能である。 久しぶりに出会った君を見て思った。 出会ったというよりは見つけたと言うべきか。 白い油性ペンみたいにこびりついて離れないのに 色の着いた紙になにかを書いても その書いたなにかが分からないくらいの 不思議な透明感を持った君が泣きながら目の前を通る。 君と出会ってから別れるまで 僕が君の傍から離れるまでの間 1度も僕の黒に染まらないまま この恋が実らないまま、僕だけが君の白に塗り潰された。 私の心はとっくの昔に真っ黒に染め上がってた でも誰にも見

          修復不可能

          失格

          人は本当に悲しいとき、涙が出ないのだと知った 実感がなく、ただ心に穴が空いてるような 嫌な感覚しか残らないそんな夜を歩いてた。 不意に気配がしたから後ろを振り向いたけど 誰もいないことぐらい分かっていた。 もう居ないはずのその顔を思い浮かべてたら 閉まった店のガラスにその顔が写ってた。 どうやら幽霊になって出てきたらしい 恨んでるのかな僕のこと 成仏したら消えるならいつまでも恨んでて欲しい それならもう離れることはないはずだから なんて考えさせる君は幽霊失格だよ いつま

          記憶

          知らない場所のはずなのに、 どこか懐かしい気がして立ち止まる。 最近よくこのようなデジャヴが起きる。 でも今回はいつもとは違う懐かしさなのだ。 いつもは「来たことあるかも」というぼやっとした雰囲気でしかなかったものが、今回は「来た事ある!」と確定したもので、無いはずの記憶を思い出す。 大事な人との外出のようで、私はとても楽しそうにしている。 食事や服などの買い物を楽しんだり 靴底を汚せば汚す程記憶が溢れかえってくる。 思い出すとは言ったものの、隣にいる大事な人の顔だけはそこ

          小説

          拝啓、愛しい人。どうしていますか その書き出しから始まる手紙を自分は もう1ヶ月くらいだろうか、1日に1枚。 その記録を止めることなく書いている。 ポストに投函することもなく。 誰かに手渡しする訳でもない。 ただひたすら、いつの間にか傍から 居なくなっていた顔の思い出せない彼に宛てた手紙を手の動くまま。 日記のように書いている。 彼は歌やギターが上手く新聞配達の仕事をしていた。 そこまで鮮明に覚えているのに なぜ顔が思い出せないのか。 2人で歩き回った街並みをまた 今度は1

          想い出

          知らない場所のはずなのに、どこか懐かしい気がして立ち止まる 僕以外の人が居なくなった世界で 僕は人を探している。 こんな所に人がいる訳ないけれど 少し歩いて探してみる 廃墟の女王と呼ばれているらしいホテルに来ている。 歩いて回って居たら僕は一つの部屋に吸い込まれる様に入って行く。 部屋にはベッドに寝てる人が1人。 額縁の中に入ったようなその部屋の人は既に衰弱死している様だ。 その人は想い人より先に亡くなって心残りだという。 彼女はラムネを握りしめて静かに語る。語り終わる

          想い出

          ずっと繋がっていよう。

          雪は懇々と降り駸々と積もる もう何月なのかも分からない。 私はバスの中で1人暮らしている。 遠い場所に居る貴方が隣に居たらと 毎日のように考える。 最近貴方との連絡が減った。 その代わりに憂鬱な感情と自分を責める 卑屈な考えばかりが増えた。 いつから暖かい日が少なくなり始めただろうか。 私としては冬が一番好きだ。 布団が恋人な貴方と距離が近くなるから なんて無駄な事を考えては溜息を着く。 あぁ、貴方の声が聞きたい。 今の世界はもう天気も気候も冬で。 いつの間にか私達以外の

          ずっと繋がっていよう。

          へんなの

          意図せず漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた 「なんだ私が可愛すぎるか?」 少しドヤ顔をして私に話しかける。 馬鹿らしい。そんなんじゃない。 そう返したら今度はムスッとした顔。 今度はふふっと笑ってしまった。 そしたらホッとした顔で此方を見た。 「よかった。今日初めて笑ったね」 ずっと見てたの?そう言ったら君は 「大好きだからね」なんて言う。 男のくせに可愛すぎる。へんなの。 腹が立ったから、脇腹をつついてやった

          へんなの

          恋文

          手紙が届いた。差出人の名前はない こんな手紙は何通も届いている。 中身を見るが何時も白紙で 切手も貼られていない。 こんな悪戯はもう見飽きた。 でもなにか書いてあるのではないか。 そう思いながら僕は 少し期待して封筒を開ける。 目を丸くした。書いてあったのだ。 女性らしくない字で書かれた恋文だ 初めて貰った恋文に心を踊らせているが、私には中学から9年間片想いしている人が居る、了承は出来ない。 読み返している時にふと、 書き手が女性では無い事に気が付いた。 一人称が私ではな

          少し小説を

          意図せず漏れた溜息に、傍らのその人が顔を上げた。 「何か心配事でも?」 心配しかないよ、これから時代が変わるんだから。 そう言ったら彼は「心配する事ないさ。俺より未来がある君が、なんで心配するんだ」と笑った。 私は自分の未来に心配してるんじゃないんだけど、 これは私の大切な思い出の話。 出会ったのは何年か前の出来事で、私は彼にいわゆる一目惚れをした。 出会ったと言っても大きな蜘蛛の巣の隅っこで。 彼を知ってからというもの、1日の中の7万秒位は彼の事を考えてた。 青い籠の白

          少し小説を

          挨拶と国。

          「頂きます」「ご馳走様」「おはよう」「おやすみ」 「挨拶」という種類の言葉で人と人を繋げていく。 本当に素敵だって思う。 偶に「嫌だなぁ」と思うけど、繋がる瞬間を目の当たりにするとやっぱり素敵に感じる。 前に挨拶がない国があると聞いたことがある。 ただいまがない。いただきますがない。 おはようの挨拶がないのも きっと別の意味で言葉を大事にしてるんじゃないか。 人生で喋れる言葉の数、文字数が決まっているなら。 そう考えて生きているなら。 最後の日に沢山の感謝を沢山の人に沢山伝

          挨拶と国。

          夢見る子供

          子供の頃の事覚えてる? 何になりたいとか 何をしたいだとか そうやって大きな夢 見つけては 目を輝かせてたあの日の事。 君は花屋さんになりたいって 僕に嬉しそうに言ってくれた 僕は優しい君の性格に なりたいって今も思ってる そんなあの日2人で約束した たった一つの大事な約束 僕は今でも覚えてるよ 君はもう忘れてるかな 夕焼けを見るたび思い出すよ 可愛らしいあの夢を あの頃はいつでも一緒で 空き地で遊んだり 河原で遊んだり とても楽しい毎日で 日が暮れるのが早かった

          夢見る子供

          空想

          朝四時前の茜の空と 強い風はどこか悲しくて 僕の心を懐かしくさせては 寂しい気持ちにさせて 消えていく。 空にかかった泣きそうな雲と 茜やピンクの複雑な色は 夕方みたいに綺麗な空で あなたの様で惹き込まれる その中で僕は 風の様に吹き去って あなたの記憶にすら残らない 仕方ないよな 僕はまだ君を忘れずに この街で生きている もう分かりきったことなのに 捨て去れないんだよ 朝4時過ぎの茜だった空は 色も褪めて空色に変わった 僕はそれを見て ほっとしたけど やっぱり何処か