metanoteシリーズ

“metanoteシリーズ”とは、noteにてオリジナルストーリーを、 印象的なシーン…

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“metanoteシリーズ”とは、noteにてオリジナルストーリーを、 印象的なシーンの作画やイメージトラックと合わせて楽しんでいただく連載企画です。 皆さんのイマジネーションでオリジナル作品が完成します。是非、ご期待ください。

マガジン

  • 『今こそSCREAM!!-season2-』

    “SCREAM!!”で歌うことに辿り着いたマリンだが、一歩踏み出せないまま高3になっていた。同じ高校のあみと出会い、これからに光が差したと思うけれど……。マリンに刺激を受けた本村はあるステージに立つが、それをきっかけに学校を辞めることに!? 二人は、リアルな世界で思い描く自分になろうと模索する。

  • 今こそSCREAM!!

    “metanoteシリーズ”の最初のオリジナルストーリー、 『今こそSCREAM!!』という作品になります✨ 約2年間、誰もが感じてきた自分を表現すること、 人と繋がることができないコロナ禍が舞台、 今を叫ぶ!!青春ファンタジーです🍀

最近の記事

【最終話〜ボーナストラック〜】-『今こそSCREAM!!』-

マリンたちが卒業して数年後、春――。 本村は教師をしながらラップで気軽に英語を学べる動画を配信していた。 学校側も公認だ。 放課後、教室で配信用の撮影を終えた本村は、駅へと向かう。 地下鉄の九段下の出口で高島が待っている。 「待たせてごめん」と本村が言うと、 「全然大丈夫です。いつもなかなか外に出ることないんで、人間観察してました」と笑った。 「締め切りは大丈夫なのか?」と聞く本村に、 「どうにか間に合わせました。今日は外せないんで」と高島は話しながら、歩いていく。 桜の

    • 【第28話】-4人をつなげた場所-

      ステージを降りるマリンと本村を、生徒たちの大歓声が迎えた。 「先生、ヤバいですね!」「人格変わり過ぎ」 「なんで辞めちゃったんですか、戻ってきてください」 と囲まれるなか、本村は友人らしき男の姿を探したが見つからない。 マリンを見ると、彼女もその歌声に興奮した生徒たちの中心にいた。 生徒たちからようやく少し解放されたとき、高島とあみがやってきた。 二人とも、何も言わなかった。ただ少しだけ微笑んで、誇らしそうだった。 「先生」とマリンがやってくる。 キョロキョロと周りを見回

      • 【第27話】-今日のことを、忘れない-

        歌舞伎のお面をつけた男がマイクに向かった瞬間、ああ、本村だ。 とマリンはすぐにわかった。 その声はアキの時と同じようにどこか安心感があったけれど、あの時よりさらに頼もしく、力強かった。 ラップを披露した後、間奏になると盛り上がる客の前でそのお面をスッと外す。「え、本村先生だよ!?」「なに、なに!? 今のラップ本村先生?」 生徒たちが騒ぎ出した。 再び一緒にステージにあがったマリンは、本村の思いを受けとっていた。 「学校を辞めた先生だけど、このステージに立ってくれているのは

        • 【第26話】-もしかしたら……彼を信じて-

          「先生、文化祭のステージに一緒にあがってください」 高島から本村にそう伝えてもらったものの、マリンは半分後悔していた。 「唐突すぎるよね、それに先生はああいう形で学校を辞めたわけだから、きっとあまりいい感情じゃないはずだし、そこに文化祭に出てって言ったって」 閃いた時には、めっちゃいいアイデア! これで本村ともあみとももう一度……。 そう舞い上がってしまったのだけど。 高島からメッセージが入りドクンっと緊張する。 【やっぱ無理だった。でも、応援してるってよ】 というふき

        【最終話〜ボーナストラック〜】-『今こそSCREAM!!』-

        マガジン

        • 『今こそSCREAM!!-season2-』
          27本
        • 今こそSCREAM!!
          16本

        記事

          【第25話】-教師のままでは無理だったこと-

          「先生、文化祭のステージに一緒にあがってください」 高島を通じて、そうマリンから連絡をもらった本村は迷った。 普通に考えたら、辞めた学校の教師が文化祭に出るなんてありえない。 それも、辞めさせられたわけじゃないとはいえ、晴れ晴れと去ったのではない職場だ。 どんな顔をしてそのステージに上がれというのか。いや、無理だろう。 マリンには謝っておいてもらうよう、高島に伝言を頼んだ。 「そりゃそうですよね。伝えときます」そう返信があった。 マリンとのSCREAM!!でのことを本村は時

          【第25話】-教師のままでは無理だったこと-

          【第24話】-夕陽のチカラ-

          放課後、呼び出された高島は、隣のクラスのベランダに行った。 「なに、用事って。またあの話?」 そこにいたのはマリンだった。 最近肌寒い日が増え、今日は風が強いのもあって彼女も制服のジャケットをしっかりと着込んでいる。 あれ以来マリンと高島は、時々放課後に話すようになっていた。と言っても話題はいつも本村のことで、高島は本村の連絡先を知ってることもあり、本村をもう一度学校に戻したいと思っているマリンは、時々高島を呼び出しては作戦を練っているのだ。 そこに関しては高島も同じ気持

          【第24話】-夕陽のチカラ-

          【第23話】〜若者の光〜

          「先生――!」息を切らしながら、マリン、高島、あみが駆け寄ってきた。 屋上を走ってくる三人の姿を見ていると、彼らには何かまっすぐな光のようなものが宿っているように感じ、本村は目を細めた。 「先生、なんで……」 「あんなのウソなのにどうして辞めちゃうんですか!?」 どうして、と聞かれると明確な答えを返すことはできないが、無理やり辞めさせられたわけではないのは確かだ。 さっきまで重く曇っていた空の隙間からは、暖かい光が滲み出していた。 フッと笑みがこぼれる。「なに笑ってんです

          【第23話】〜若者の光〜

          【第22話】〜友情にかかった雲〜

          学校から帰宅したモリヤは、いつものようにお手伝いさんに挨拶をして自分の部屋に入った。 広い部屋で制服から着替えた頃、ノックの音がしてお手伝いさんが 「おやつです」とケーキと紅茶を持ってきてくれたが、それには手をつけずにそのまま外に出た。 「留学ってなんだよ、なんで言わないんだよ」 ひとり言を超えた声で口に出しながら、高級住宅地を歩く。モリヤは譲れない世界を持った本村のことを羨ましく思っていた。 自分には確かに、中学時代から友人が多かった。でも実は大きな隠し事をしていた。モリ

          【第22話】〜友情にかかった雲〜

          【第21話】〜懐かしい風に吹かれて〜

          本村はかつて自分が通っていた高校に来ていた。 小学校ならともかく、高校なんて卒業当時から背丈はそんなに変わってないのに、なんだか母校がミニチュアのように感じるのはなぜだろう。 今までだって、毎日学校に通っていたのに。 職員室に行くとちょうど中から記憶にある顔の教師がひょっこりと顔を出した。挨拶をすると「懐かしいだろ」と校内に入ることを許してくれた。 職員室を出ようとすると、「そういえば、モリヤと仲良かったよな? アイツ家は継がずに、IT の会社起業して大成功したらしいぞ」

          【第21話】〜懐かしい風に吹かれて〜

          【第20話】〜何を思いながら空を見上げていたんだろう〜

          お互いの名前を教えあったところで、「マリン」という声に振り返ると、あみが走ってやってきた。 久しぶりに話すし、ほんとだったらなんて言おうとか気まずさもある状況なのだけど、この緊急事態でむしろ二人の状況はさておき、あみも自然に合流した。三人で校長室を背に歩き出す。 「本村先生を探す」マリンがいうと、「どうやって?」と二人。 そうか、と本村のことを何も知らないことに気づく。 トボトボとグランドを歩きながら、マリンはふと空を見上げた。 やっぱり空は灰色で、今にも落ちてきそうなほど

          【第20話】〜何を思いながら空を見上げていたんだろう〜

          【第19話】〜きっとそれは真実じゃない。〜

          マリンは学校へと走っていた。 本村が学校を辞めるらしい、と聞いたからだ。 理由はまだよくわからないが、本村はどうやらライブハウスに出演していたらしい。あみの知り合いも関係していたようで、そこから噂が流れてきたという。 本村とのことを知らないあみがマリンに連絡をくれたのは、ショッキングなニュースだったのもあるし、しかも理由がちょっと予想外かつ、身近だったこともあったようだ。 でも、もしかしたら、マリンに連絡するちょうどいい理由ができたと思ったのかもしれない。と、思いたい。

          【第19話】〜きっとそれは真実じゃない。〜

          【第18話】〜浮かんだのは、あの人の顔〜

          マリンは、部屋で何度もあみの作った二人の曲を聴きながら、考えていた。 どうやって、「他人が一方的に言ってることなんて関係ない」とあみに伝えるかを。 二人で公開した動画に中傷のコメントを書いたアカウントに行ってみると、過去にあみとつながりがあったようだった。それがどんなものだったのかはわからない。 だけど、あみをよく思ってないというだけでなく、はっきりと悪意が伝わる表現で、あみの過去の作品にもコメントしていた。 そして攻撃的な表現で、少しでも多くの人にインパクトを与える、とい

          【第18話】〜浮かんだのは、あの人の顔〜

          【第17話】〜開きたくないアルバム〜

          「もう一緒にできない」 そうマリンに送ったまま、一方的に連絡を閉ざしてしまったあみは、それからずっと後悔していた。 やっと見つけた仲間だったし、マリンの歌は、ずっと探していた自分の世界を広げてくれる魔法のようだったのだから。 だけど、「どういうこと?」「ちゃんと話し合おう」「全然納得してないから!」マリンからメッセージが入るたびにどう返していいかわからなくなってしまい、途中から見ることもできなくなってしまった。 本当はすぐにでも返信したかった。 「ごめん、マリンさえいいな

          【第17話】〜開きたくないアルバム〜

          【第16話】〜「学校を辞めよう」躊躇うことなくそう思った。〜

          “高校教師、生徒を深夜のライブハウスに無理矢理連れ出す――!” そのニュースはあっという間に校内外で噂になった。 なぜ、悪意はこんなに人を惹きつけ、力があるのだろう。と高島は思う。 本村のライブ出演と高島の話はそれくらい、驚くべきスピードで、どんどん歪曲されながら広まっていった。 本村たちの校長室でのやり取りを外で聞いていた生徒が、SNS に拡散したのだ。創作を足し、インパクトのあるニュースに仕立てて。 そこに、二人のライブハウスでの写真が現実味を加えた。 あの時、ステー

          【第16話】〜「学校を辞めよう」躊躇うことなくそう思った。〜

          第15話〜「ごめん」のその先〜

          マリンは【ナガセアミ】というタイトルと音符のアイコンが表記されたメセージ画面を見ては、深くため息をついた。 数日前、突然あみから届いた、「ごめん、もう一緒にできない」とだけ書かれた吹き出しをじっと見つめる。 何度もメッセージを送っているが返事がない。 最初の何回かは既読もついていたが、今はもう見てもないのだろうか、既読にもならない。完全にマリンからの一方的なメッセージ画面になっている。 一回だけ、マリンがしつこく電話をかけたりメッセージを送った後に返事がきた。 「ごめん

          第15話〜「ごめん」のその先〜

          【第14話】〜近づく雷鳴〜

          校長室にやってきた高島は、仰々しく額縁の中に飾られた校訓をぼんやりと見ていた。 『強い心、自律、友愛』 「なんで呼ばれたかわかりますか?」 ぼんやりと口の中で校訓を読み上げていた高島に、校長がそう話しかけた。 特に真面目な生徒というわけでもないが、これまで目立たない地味な生徒であったことは自覚している。というより、入学がコロナの最初の緊急事態時と重なった自分たちの学年は、正直目立つ生徒、というのもそんなにいないような気がする。 だとすると、わざわざこんなところに呼び出され

          【第14話】〜近づく雷鳴〜