見出し画像

ソーシャルゲームの運営とその闇 #4

前回の記事はこちら

前回までにあるユーザがガチャで入手した武器がどう作用して、次のガチャに繋がるかをお話しました。今回はその辺りの細かいユーザ感情を。

あくまでゲーム開発者、設計者のこうあって欲しいという前提になります。ただ、制作サイドとして望む流れというものを理解して頂ければと。

実際はもっと負の感情に溢れているのは制作サイドとしても理解していますので…あくまで理想論としてお聞き下さいm(_ _)m

ガチャで入手したという大前提

尊敬される武器があるとします。それを手に入れるにはガチャからのみだとすると、単純にお金で解決した強さではなく、毎日ログインを欠かさなかったり、デイリーキャンペーンをこなしたりして魔法石(便宜上、ガチャをするためのゲーム内アイテムを魔法石と呼称します)を手に入れた結果なのです。

まぁ中にはお金で魔法石を購入して一気に解決!というのもありますが…

少なくともガチャというシステムで手に入れたのは間違いありません。ガチャはご存知の通り、確率で入手となります。尊敬される武器が欲しくても簡単に入手出来ない、真似出来ないというのが根底にあるのです。

ログインも欠かさないし、キャンペーンもこなしてるけど、ガチャ数回分の魔法石しかないなぁ…これじゃああの武器は手に入れられないかもしれない。そんな葛藤が生まれます。

その武器が尊敬されていればいるほど。

欲求は強さだけではない

強い武器であればみんな欲しがるかというと、そうではありません。露出の高いキャラであったり、夏休みやクリスマス、お正月などのイベント時にのみ手に入る特別衣装などもガチャ欲求につながります。要は希少性です。

あの人、サンタ衣装のあのキャラ使ってる羨ましいなぁ、自分もそんな羨望の眼差しを受けたい。これは単純な武器やキャラの強さとはまた違う欲求です。

そしてイベント特有の今しか手に入らない、という思いも加わります。これに強さも備えていれば欲求は加速するでしょう。

次の年の夏休みやクリスマスなどに去年のガチャを復刻するものもありますが、一年も経てば強さがインフレしており、ガチャをするメリットが見た目のためだけになっちゃってますが…

それらを意識させるためのゲーム設計

強い武器を手に入れたらフレンドに、このユーザの武器のおかげでこんなに楽だったんだ!って分かってもらう必要がありますし、可愛い衣装を手に入れたら、すごい目立ってる!しかもゲーム内の露出も多い(肌の露出ではなく)

これは当然マネタイズにガチャを選択した時点でたくさんの大人が必死に考えます(笑)

ゲームUIだったり、戦闘後のフレンドの表示だったり、ですね。

ソーシャルゲームが流行ってから10年、今は…

完全に上記が薄れています。ソーシャル性を利用したゲームだったものが本格的なコンシューマのようなゲームが増えてきたからだと私は考えます。

ゲームUIはオシャレである必要がありますし、ゲームシステムも単純に仲間と協力!ではなく戦略性や細かい数値の上で成り立つゲームが増えてきました。このこと自体は悲観することではないです。

ただし、ゲームシステムが本格的になるほど、単純な強い武器というものは出せなくなりました。それだけでゲームのバランスが取れなくなってしまうからです。

まずガチャを引いてもらうためにはパッと見て分かる強さが必要です。皆が攻撃力100の武器を使っているなら150せめて120くらいはないとガチャを引いてまで手に入れたいと思えないからです。

そしてガチャは定期的に更新されます。今回も目立つためにガチャ引かなきゃ、前回はだめだったから今回こそは手に入れたい!こんな思いが芽生えます。よし、今回は10連引くために5000円課金しよう、ダメだった…確率的に次の10連で手に入るかもしれないから、もう5000円…ダメだった…次の10連で確率としては1つ出る確率だから最後に5000円…こうなっていき、最後は課金するのに疲れてしまうのです。

お金がもったいないというのも大前提としてあります。手元には何も残りませんし…ただ、それ以上に課金という操作に疲れてしまうのです。

そしてガチャに関する問題は他にもあります(景品表示法のこと以外)それについては次回お話します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?