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活版印刷 : インドネシアの素晴らしい印刷会社に名刺をオーダーしてみた

活版印刷 is cool 

先日、 活版印刷 にて名刺を作成いたしました。
それがカッコイイのなんのって。今回はそのお話です。

ウチは印刷会社といってもラベル・シールの印刷専門の設備なので、名刺はネットプリントで頼んでます。自社の設備でもやろうと思えばできるんですが、破格なんですネットプリント。良い紙を選定しているのにもかかわらず、オンデマンドで200枚が1500円(1枚@7.5円)。どうしてこんなに安いの?しかも3日で出来るってんだから、もう…出る幕ないですよ。そんな状態なものですから名刺の注文を受けても、外注ですよ。(お客さんにも外注と伝えます)

先日、名刺が底をついてきたし、他のスタッフの分もついでに頼もうかと聞いたところ。
「俺も残り50枚くらいです。ところで次回は、活版で名刺を作りたいとか言ってませんでしたっけ?」よく私が半年以上前に言った事を覚えているなと感心した数秒後、活版印刷への意欲がメラメラと再発。

そうだっだ!そうだった!活版で名刺作ろう!そういうの作りたい!

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活版印刷とは、樹脂や亜鉛で作られた凸版で、用紙に圧をかけながら印刷するアナログな印刷方法。厚手の紙に印刷と同時にデボスやエンボスの立体感を楽しめるのが特徴。版が不要なオンデマンド印刷機が市場をジワジワと広がりを見せる中、活版印刷は手間と時間がかかったり、後継不足という背景があり日本の町工場から消えかけています。

経済産業省の示す下記グラフからわかるように30年弱で事業所数が10分の1にまで減っています。(経済産業省 平成26年工業統計表 品目編より)

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が、しかし!数年前アメリカで「活版印刷のアナログ感がクール!作ってる奴らもこれまたクール!」というリバイバルが起こり、活版印刷が再び脚光を浴びています。(良かった!)

海外では、活版印刷のことをLetter Press(レタープレス)と言います。現在、レタープレスとデザインをセットでビジネスを展開しているクリエーターが世界中で活動しています。彼らは、何十年も前に生産が終了したドイツのハイデルベルグ社やアメリカのヴァンダークック社製の活版印刷機を用いて、時間と手間をかけながら、自分たちのデザインを自分たちのペースで作っている(ここが素敵)。

しかも、彼らの作るオリジナル印刷商品はファッション的な要素も含んでおり、かつインダストリアルな工場は印刷会社のイメージを一新してくれています(もっとやって!)。

レタープレスはブルックリン、カリフォルニア、ポートランド、ロンドン、ベルリンといったクリエーターの活躍しやすいエリアでは非常に盛ん。

タトゥーがガッツリ入ったお兄さんや、いかにも芸術志向っぽいお姉さんがSNSで「この作品を見て!」という調子で発信しています。彼らは写真を撮らせても一流。

どのクリエーターも趣味と仕事が調和しライフスタイルに発展しているというのが感想。いやぁ本当に素敵です。

百聞は一見にしかず。私がもっとも影響をうけたレタープレスの印刷会社を紹介します。

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Swell Press
swellpresspaper.com
Swell Press instagram

スウェルプレスは、Britt Rohrさんがカリフォルニアで運営されているレタープレスの印刷会社。彼女はグラフィックデザインとタイポグラフィーのセンスに加え、卓越したカラーコーディネートセンスを持っています。側面印刷に選定されたネオンカラーが、群を抜いて美しく、デザインによっては1枚1枚丁寧に水彩の絵の具なども使用していたり(その発想は無かった!)、レタープレスのワークショップもやったりしています。

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どうですか?どれも素敵ですよね。Instagramの投稿を見てわかるように、彼女の投下するデザインやプロダクトには、どこか誠実な人柄を感じるんです。このブログで紹介したいとメッセージを送っても「はじめまして、もちろんいいわよ!あなたの努力で幸運を掴むわ。気にかけてくれてどうもありがとう!」といった感じでした。現在、月に決まった数のプロジェクトを受け付けていて、しばらく予約でいっぱいだそうです。

というように、彼女のような優れたクリエーターから多大な影響を受け、次回は活版印刷で名刺を作るんだ!などと思いながらも日々が経ち…。先日、スタッフの一言で思い出した次第であります。

スウェルプレスは予約待ちの状態だったので、ここに頼んでみようかなって印刷会社には目星をつけておいたんです。

モノクロのイケてるWEBサイトとプロダクトのセンスが良かったので覚えている。ブックマークつけといたんだけど、どこのフォルダに…え〜と。名前を、え〜とキュ…キュブ、そうKYUB!お国は世界人口ランキング4位のインドネシア!

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あった!KYUB!モノクロで洗練されたサイトは相変わらずユーザビリティが高い。一目見てセンスがいいのが分かる。

よっしゃ!鉄は熱いうちに打て!コンタクトから矢継ぎ早に問い合わせメールを発射ッ。

Hi, nice to meet you KYUB.
My name is Kojima from japan.
Could you please make my business card?
and tell me about the price blah blah blah〜〜〜

すると、数分後返信きた。

>小島さん

KYUBのフェルディです、初めまして。
意味の間違いがないように、できるだけの日本語でお返事をさせていただきます。

私の質問:Please tell me about the price.
フェルディさん:値段はこのメールの返事をもらってから見積もりを作ります。

私の質問:Is paper pankastar 300 better?
フェルディさん:Panka Starもいいですが、小島さんはどんな紙がいいんですか?説明してくれたらおすすめできるかも。うちの会社が作ったものはここで見られますので、参考にもなれるかもしれません、作りたいものと似たようなものがあったらぜひ教えてください。
www.instagram.com/kyubstudio

私の質問:Can we read color of pantone warm gray 3? too bright?
フェルディさん:うちはpantoneインキを使いませんが、インドネシア製のインキを使い、ミックスし、pantone swatchは色のガイドとして色を合わせます。なので色の正確さは90−100%になります。薄すぎるかどうかは製作中に写真を送れますので、小島さん側も写真からチェックできます。それでも大丈夫ですか?

私の質問:Please tell me how to pay?
フェルディさん:日本からだとPayPalとbank transferしかできません。Bank Transferはお金が結構かかりますのであまりオススメしませんが。

何か変な日本語があったらお許ししてください。よろしくお願いいたします。

Best Regards,
Ferdi Trihadi

!!!!ッなんと…。
フェルディさん日本語が堪能!(つたない英語で申し訳ない)かつ親切で抜かりのない対応に感心した。

それから、紙の厚み、印刷方法、デボス加工のアドバイスを受けながら仕様が決定。良い物を作ろうとするフェルディさんのプロ意識に後押しされる形で仕様が決定。

材質:Materica Gesso 360 gsm (double)
印刷:活版2色(pantone312,warm gray 3)
オフセット1色(pantone312)
仕上:側面印刷1色(pantone312)
数量:400枚(200×2人分)

仕様はこんな感じ、いくらになるだろうか。
1日経って見積もりが送信されてきた。

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ふむふむ…400枚で22,400円ということは、1枚@56円。普段使ってる名刺の約8倍か。ちょっと予想を超えたけど、フェルディさん一生懸命やってくれたし、いいかな。早速発注し、PayPalで料金の支払いを済ませる。

納期は、2〜3週間でEMSで手元に届くとの事。急いでないので全然OK。

(それから3週間が経ち…)

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届いた〜〜!!!!
洒落た箱に入ってる。プラスチックの箱とは偉い違いだ。もってるなぁ〜KYUBさん。

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「おぉ!」開けてみると、ちゃんと側面印刷もされている。テンション上がった。
箱の内側はブラックになってる。洒落てる。

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いいねぇ。
分かっていたけど側面印刷は自己満ですね。
重ねてないと分からないのでここでアピールさせてください。

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warm gray 3も思ったより読みやすい。
Materica Gesso 360 gsmという紙質も気に入った。
さすがの名刺管理アプリも紙の質感までは保存できまい。
なにより、デボス(凹み)がガッツリ入ってる(これがやりたかった)。

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わかりますか?デボス。

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わかりますか?このデボス(興奮してる)深いデボスにお目にかかるのは初めてなので嬉しくて。

これ作れたら面白いな。作れるようにしようかな。スタッフに相談だ。

ここまで気分を上げてくれる活版印刷って凄いなと思いました。価格も高めだし、納期もかかりますが、生産性を追求してアナログがもつ味や渋みを忘れたくないですね。イケてる名刺を配りたい方は活版にて作ってみるのも良いかもしれません。安く・早く作れるようになったとはいえ、自身を紹介するビジネスのカードですからね。

フェルディさんご親切にどうもありがとう。Terima Kasih!KYUB!

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KYUB
www.kyub.co
KYUB instagram

ぜひ、WEBやInstagramでKYUBのプロダクトを見てみてくださいね。
きっと印刷というジャンルを見直す筈です。

テツヤでした。小島ラベル印刷という会社で働いています。ではまた。

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