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ドイツ歌曲の話 詩人の恋 Dichterliebe #1

シューマンの詩人の恋。Dichterliebe

16曲からなるこの歌曲集は、いわゆる歌曲の年、1840年に作曲された。歌曲の年というのは、その年にシューマンが堰を切ったように138曲以上(!)の歌曲を書いた年、だから。

「リーダークライスop.24(ハイネ)」「ミルテの花op.25」「ケルナーの詩による12の歌曲」「リーダークライスop.39(アイヒェンドルフ)」「女の愛と生涯op.42(シャミッソー)」そして「詩人の恋op.48(ハイネ)」はすべてこの1840年に書かれた。

作品番号こそ離れているが、詩人の恋は、リーダークライスop.39と同時期に作曲されたらしい。リーダークライスは複数の詩人の詩に作曲され、作曲する過程で歌曲集という形になっていったのだが、詩人の恋は最初からチクルス(組曲)の形にする構想であった。

これはハイネの詩集「Buch der Lieder 歌の本」の『Lyrisches Intermezzo 抒情挿曲』から取られている。65篇あるうちから16篇(最初は20篇であった)に作曲され、詩の順番が一部変更されてはいるものの、第一曲の「Im wunderschönen Monat Mai 美しい5月に」と、終曲の「Die alte, bösen Lieder 昔のやくざな歌」の位置付けは変えていない。詩集の冒頭と、結びの詩がとられている。

詩人についてはまた項を改めるとして、この詩集はある詩人が恋に落ち、そして失恋し、恨み苦しみ、最後は諦念へ、という、ひとつのストーリーになっている。そういう意味では「美しい水車小屋の娘」と同じ、歌物語、Liedernovelle というものらしい。私のリサイタルシリーズは「歌物語」と銘打っており、おっ!と膝を打った次第。

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