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Special Thanks !(みんなのフォトギャラリー)

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みんなのフォトギャラリーから、みあんご!が撮影した写真を選んで使ってくださったみなさんのノートをまとめています。ありがとうございます!
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#創作

貪淫詩

イロイロと 色を食べてきました 今がよければ それで良いと 彩りのまま 欲望のまま 獣になることは 自然と交わる喜び 灰色が降りてきました 困りました グラデーションを知りました 経年変化を知りました 過去を知りました 未来を知りました あなたを知りました AIから人になりました

嘘つきのわたしへ

嘘つきのわたしへ 嘘つきのわたしへ 嘘ばかりついて 嘘でしたって言って それでよかったわたしへ 適当なことを書いて 適当なことを言って その場の空転に 身を任せている 気分屋で 気難しくて 自分の都合で笑ったり怒ったり泣いたりして 人を困らせて 次の日にはその事も忘れている 酔っ払っている間だけ 自由な麻痺を手にした気がする 本当のことを言いかけて 危ないと怯んでは はっと口をつぐんでいる 死ぬ前に一度だけ 本当のことを書きたいと なにからなにまで がむしゃらやって

Cadd9 #22 「光と影のコントラスト」

夏休みになると、樹は直とテルジとテツを連れ、毎日のようにナスノ家の近くの海を訪れた。当て所なくぶらぶらと浜辺を散歩するだけの日もあれば、釣りをしたり、一日じゅう泳いで過ごすこともある。 樹とテルジはよく潜りやクロールの練習をしたが、直は一度も泳ごうとはしなかった。ふたりが泳いでいる間、直は浜辺でテツと一緒に座ってそれを眺めているか、岩場で蟹やフナムシを観察していることがほとんどだ。 直とテルジが初めて顔を合わせたとき、直はあからさまに頬をこわばらせ、大人を警戒するそぶりを

【短歌】10/12

水色の空にたなびく巻雲は 秋が作った一瞬の彫刻 おはようございます。散歩のときに空を見ると、巻雲が浮かんでいました。以前調べたのですが、巻雲は秋によく見られるそうです。

新しい日がやってくる。そう信じて私は雨の中、海を目指して歩いた。雨の音、波の音。最高の眺め。これから私は海の奥深くに潜り込む。そうして海と一体化するんだ。 魚たちが私を包み込んだと思ったら去って行った。奥から巨大魚が目の前に現る。私はちょうどいい獲物かな。そこから先は覚えてない。

腹黒

ひとのヘドロを見るのがすきだ 知るのがすきだ 暴くのがすきだ ひとがひとを成している理由 綺麗事なんていいからさ 全部見えてるからさ そのへらへらした顔面の皮、全部引き剥がしてあげるからさ そのゆらゆらした腹の中、全部掻き出してあげるからさ 隠さなくていいんだ 隠そうとするから争いが生まれて 捻れてきて いつも自分じゃない気がして あなたの真実、わたしには見えてるよ だからさあ、諦めてわたしに見せてよ 誰にも言えないんでしょう? 自分でも忘れてしまってるんでしょう? 否、思い

【小説】螺鈿の髪留め

内海肇(ウツミ ハジメ)は蒸し暑い梅雨(ばいう)の中を、二本の傘を携えて歩いていた。一本は彼自身の傘で、今差している。もう一本は濡れてしまわないように、持ち手を握る拳を胸に当てるようにして庇っていた。さらには、細長いビニール袋をかけていた。それは、彼が勤める会社から発行されたポスターカレンダーを包んでいたビニール袋で、クローゼットの肥やしにしていたのを昨夜に思い出して、しめたとばかりに傘の防水にリサイクルしたのである。カレンダーは今年のものか去年のものか、はたまた一昨年のもの