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34、リコピンの話の続き

リコピンの話は前回致しましたが、今回はその中でも生活習慣病との関係について書いていきます。リコピンの血中濃度が高いほど、心疾患や血管の病変、がんといった生活習慣病へのリスクが下るといった研究結果が報告されているという話は、前回の文章の中で書きました。今回はその辺りをもう少し掘り下げてみたいと思います。

おさらいをしておきましょう。リコピンはフィトケミカルの一つで、カロテノイドのグループの一種です。緑黄色野菜の赤や黄色といった色素ですが、これ等は人間の身体の中で合成することが出来ません。したがって、食品を摂取することで取り入れています。

そんなリコピンですが、活性酸素を処理する能力が非常に高いということで注目を集めています。この抗酸化力が詰まる所、体の老化現象を予防または抑制してくれるんですね。生活習慣病はその結果として予防につながるということなのだとか。

例えば癌を例に挙げてみます。本来の細胞はそれぞれDNAが存在しますから、キチンとした情報を受け継いで発現させて、正常な細胞になって体を構成するパーツとしての役割を果たします。ところが活性酸素が悪さをするとDNAが傷ついてしまって、正常な情報を発現させることが出来なくなります。いわゆる「癌化」ですね。こうなると癌化した細胞は周囲の細胞や組織の事を考えずに(?)、無秩序に増殖していきます。

細胞が癌化する理由としては他にもあるでしょうが、活性酸素による癌化のリスクは見逃せませんよね。そうなると、抗酸化力が強ければ活性酸素を除去してくれますから、それなりに安心が出来るわけです。活性酸素が出来る理由としては紫外線やストレス等も上がっていますが、今の時代の生活でこれらを避けることはほぼ出来ません。それだけに、より抗酸化力に期待が集まるわけです。

この活性酸素は、よせばいいのにいろいろと悪さをして、体のあちこちで老化現象を引き起こします。血管で起きる老化現象が「動脈硬化」といったところでしょう。動脈硬化を起こすと血管が硬くなって、しなやかさが失われます。それによって血圧も高くなりますし、血管壁に脂質成分が沈着すれば動脈の内径が細くなって血流が悪くなることも考えられます。脳や心臓でそんなことは起きて欲しくありません。

他にも、血流が悪くなると体温を血流に乗せて運ぶことが難しくなってきますから、体温も少し下がり気味になる可能性があります。それはそのまま免疫力の低下につながるかもしれません。考えていくと、いろいろな弊害が出て来そうですね。

更に、こんな話もあります。動脈硬化やそれによって引き起こされる循環器や脳の疾患、あるいは糖尿病や肥満といった代謝性の疾患に共通して生じている事として、慢性の炎症が挙げられます。これ等は全部生活習慣病であり、食生活が大きく関わっている疾患です。内臓脂肪がしっかりとたまっている状態ですね。そして気になる事は、内臓脂肪がたまると慢性の炎症が起きやすくなるという研究の報告があるのだとか。

こういったことにも、トマトをはじめとするリコピンが有用だという研究結果がいろいろと報告されています。過ぎたるは・・・ですから、トマトの食べ過ぎはよくありませんが、それでも調理の方法に工夫を凝らすなどして、リコピンとしてしっかりと摂取しておきたいものですね。

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