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06、コルチゾールとストレス

コルチゾールと言えばストレス?

インターネット上でコルチゾールの話題を調べていると、ほとんどのサイトがストレスとの関わりを書いていました。ストレス以外の事をしっかりと書かれているサイトが、ほぼ見つからないといった状況、まるで添え物のような感じの記載です。

それほどまでにコルチゾールと言えばストレスといった図式が成立してしまっているんですね。コルチゾールってどんな分泌の流れになっているんでしょうか。内分泌の一つですから、それなりの順序があるのは間違いないのですが・・・。

以前にも書きましたが、コルチゾールはもともと分泌の量が一日の中で変化しています。朝方に分泌される量が多く、夜に少ないといったパターンを持っています。就寝によってリラックスしていた身体が朝の目覚めで活動を始めるために、身体のリラックス状態が覚醒状態に切り替わっていくためでした。

身体を覚醒させるため、別の表現をすれば適度な緊張感や多少のストレスにも対応できるように脳や身体を整えるといったところでしょう。布団から出た時に肌で感じる暑さ寒さといった気温であったり、時計を見てびっくり大慌てで飛び起きて身支度をしたり、そんな状況でかかって来るストレスへの対応も含まれているでしょうね。

日常的なレベルを超えた、負担になるようなストレスがかかってくると、身体の方はそれに対応するためにコルチゾールの分泌を増やしますが、ストレスを感じて直接分泌されるわけではありません。コルチゾールを含む副腎皮質ホルモンの分泌をコントロールしているACTHというホルモンの指示によって為されます。

ACTHは脳下垂体という場所から分泌されるのですが、下垂体は脳の一部が下にぶら下がったような形をしています。そのACTHは下垂体の真上にある脳の視床下部というところから分泌されるCRHというホルモンによって、分泌がコントロールされます。

CRHは脳がストレスを感じることによって分泌が始まりますが、コルチゾールが分泌されることでフィードバックされて、ACTHやCRHの分泌がストップします。そして脳に届いたコルチゾールは無害化されます。通常はこのような流れでコルチゾールの分泌が行われているのですが、慢性的に強いストレスがかかるとそうはいきません。

強いストレスが慢性的にかかってくると、コルチゾールは分泌されっ放しになります。CRHの分泌が止まらなくなるので、その先のACTHも分泌が続きます。そしてコルチゾールもその影響で分泌が続いてしまって、脳に届いたコルチゾールも無害化が間に合わなくなり、その結果として脳の萎縮が起き始めます。

それでも、ストレスが改善すれば脳の萎縮もストップして元に戻るとされているんですが、その度合いを超えてしまうと脳の萎縮は元に戻らなくなってしまいます。その萎縮が起きてとくに困る場所が、前頭前野だそうです。容積が縮小してしまい、その機能が低下します。

前頭前野は「脳の司令塔」と呼ばれる場所で、人間性に関わる重要な場所です。記憶や創造、判断、意思、感情、コミュニケーションなどの働きをコントロールしているので、むしろ鍛えて機能アップさせようというくらいの場所なんです。理性に直接関係しているんですね。ここが機能低下を起こしたら・・・、考えただけでも怖い話です。

「キレ易い」といったような表現が当てはまる人がいる場合、他の要因もあるでしょうが、感情の抑制が効きにくくなっていると考えられます。「強いストレスで、この人も大変だったんですね」、こちら側にそんなことを言ってられる余裕があるかどうか・・・。


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