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JR北海道 車内誌の連載が最終回 1500文字という文字数との闘いを振り返って

JR北海道の特急列車に置かれている車内誌『The JR Hokkaido』。その中で、道内各地で独自の活動をされている人に取材をする「人と大地に魅せられて」という連載を4年間担当させていただきました。

最終回の3月1日発売号では、かごあみをされている「かごあみ絲」さんを取材しました。
この原稿を書き終わり、編集部にメールで送信した後、窓の外を見ながら、涙がジワっと出てきました。
この連載は、自分にとってはなかなか難しい設定で、どう頑張っても風がスーッと通るような感じに仕上がらず、何か言い足りなくて、何か言い切れない歯痒さみたいなものがずっとありました。

難しい設定の一つは文字数。
最近、ウェブの執筆の仕事が多いので、文字数はそんなに大きな制限がなく、普通に書いていくと、本文は2800文字くらいで着地します。
印刷媒体は文字数の制限が必ずあって、この連載の場合は約半分の1500文字。
15文字詰め100行となります。

私の感覚で言うと、ちょっと長くてちょっと短いと言う中途半端な字数。
例えば600文字くらいなら、角度よく飛び込みをして一つのエピソードでスッと終われます。
あるいは2800文字くらいであれば、ある人の人生について、初めから現在までで大切なトピックスを丁寧に入れていくことができます。
1500文字という字数は、3エピソードくらいを語る感じかな?と思います。

なのに私がある人に取材するときには、文字数が多くても少なくても、子供の頃から現在までを一つ一つ辿っていくというやり方をとるので、聞いた内容は半分以上は入らないという事態になっています。

1500文字で終わらせようと考えて原稿を書き始めると、窮屈になってしまうので、まずは自由に最後まで書いてみるのが第1稿。
膨大に溢れている原稿をチマチマと削っていって目標の文字数まで詰めていくのですが、そのときにリズムの良さや風通しの良さのようなものが失われていくのを感じます(新聞調みたいになっていく)。

そして、最も頭を悩ませるのは、最後の3行。
2800文字くらいのウェブの記事は、写真も豊富で、その間を文章がおぎなっていく場合も多いので、不思議に最後にまとめなくても、スーッと終われる感じがするのですが(読む過程を十分に楽しんでもらえればいいと言うような感じ)、1500文字だと、そうもいかないよなーと思ってしまいます。
私の感覚だと、1500文字だと最後の10行くらいで急降下していって、3行で途端に終わるっていう気がするんですよね。。。
途端に終わっちゃうので、気の利いた終わりの言葉を入れたくなってしまいます。ただ、これは本当に難しくて、原稿が終わった感じにするような常套句的な文はあるけれど、それを入れてしまうと自分の本当に思っていることと、ちょっとズレたものになってしまうことがしばしばです。
なので、まとまってなくてもいいから、自分の思っていることに近いものを選んでいくのですが、だんだん何を自分が思っているのかも確証が持てなくって、ぐるぐる回って苦しむんだけど、結局イマイチで、締め切りが来てメールするっていうことが多く、、、、、その感じは4年間、変わらなかったなあと思います。

さらには、一度だけお目にかかって2〜3時間話したくらいでは、何か確証を持ってかけるというところまでは至らないことも、最後の3行が書きにくい要因だったと思います。
私の住む街から、本当に遠い場所まで取材に行けたことは、とっても刺激的な出来事だったけれど、あと3回くらいお目にかかってから書ければ違ったかなあとも。

なので、もし新しい媒体で連載ができるようなことがあれば、取材したみなさんのもとにもう一度行ってみたいと思います。
3回くらい書いて、だんだん良くなっていくのを目指したいなあとも思います。

3月1日、連載の最終回が発行された日。
小さなビールでささやかな乾杯をしつつ振り返りを書きました!!!
取材にご協力いただいたみなさん、連載を読んでくださったみなさん、ありがとうございました!!!




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