見出し画像

『神奈川沖波裏』をIllustratorで模写してみた。 ドビュッシーとラヴェルを聴きながら

神奈川沖浪裏my

北斎の富嶽三十六景、神奈川沖浪裏をAdobeのIllustratorでトレース模写チャレンジ。昔ながらの版画好きとしては、デジタルの表現がもどかしく、和紙や木版の摺ムラなどの質感を求めてしまう。PC起動後、または切る前と、思い立っては、眺め、5分10分と少しずつ加筆(といってもマウス🖱)、まるで写経のように向き合うこと数週間。題名と署名(左上の文字のところ)が手付かずでしばらく放置していたのですが、思い立って文字系も再現。摺師の方達もこんな気持ちになったのかな...  多くの西洋の名だたる画家達が北斎の浮世絵に影響を受けその作品に反映させ、作曲家ドビュシーやラヴェルは、この絵を鑑賞して、インスピレーションを得て交響曲を作曲したという。それならばと交響曲『海』や『洋上の小舟』など、ストリーミングしながら浮世絵を眺めトレース。
 
『神奈川沖浪裏』は、知赤富士、黒富士と呼ばれる「凱風快晴」(がいふうかいせい)「山下白雨」(さんか・はくう)と共に『三大役物』と呼ばれ最も人気の高い作品。北斎は富士山に特別な思いがあったに違いない。3点とも1831年という記載があったので、北斎が70歳ぐらいの時に描いたと思われる。激しい波の表現躍動感、大波の向こうに囲い込まれたような形で遠望されている富士山のたおやかな存在感に魅せられる。

先週、初めて両国のすみだ北斎美術館にも足を運んだ。『神奈川沖浪裏』を含む作品や、多色刷りの木版の解説も興味深かった。輪郭線、空の色、船の色、空のぼかし、なみのきろ、5〜6枚の色版を使い制作される過程が見れた。そして北斎さん、意外と長生きで、没する間際まで精力的に絵筆を手にして描き続けていたというのだから、かっこいい。

首都圏の美術館は、休館してしまっているけど、一枚の絵や、作家を掘り下げる楽しみはいつでもどこでも!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?