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職員の休憩時間を確保する!

はじめに

先生方の学校では、職員の休憩時間はどのように設定されているでしょうか?ぼくの経験上、多くの学校では「昼休憩20分」「放課後25分」のように、分割して休憩時間を設定していました。
しかし、この「昼休憩20分」が実際には休憩時間になっていないのではないかと思い、勤務校においても実際に大きく舵取りをしていった経緯があります。今回は、そのことについて記事を書いていきます。これをお読みの先生方で、もしご自身の勤務校でも同じような状況だった場合は、ぜひ校内の働き方改革を進める上での参考にされてほしいと思います。


根拠となる法令

職員の休憩時間を見直すにあたっては、まずその法的根拠から押さえておく必要があります。具体的に、労働基準法第34条が公立学校教員においても適用されています。

 使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
② 前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
③ 使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

労働基準法第34条 公立学校職員の勤務時間、休日及び休暇に関する規則第1条

要点をまとめると以下のようになります

① 7時間45分勤務の場合、45分の休憩時間を設定しなければならない。
② 労働時間の途中に与えないといけない。
③ 一斉に与えないといけない。
④ 休憩時間は自由に利用できなければいけない。

『休憩時間』と『手待ち時間』

次に、ぼくがお昼の時間が職員の休憩時間になっていないと思う理由について説明します。その際に重要なのが『休憩時間』と『手待ち時間』という2つの時間です。以下、簡単に概要を説明します。

①『休憩時間』とは

休憩時間とは「労働者が休息のために労働から完全に解放されている時間」のことです。完全に解放されているとは、つまりどのような状況に合っても、その時間に労働が課されることはない自由な時間帯のことを指します。

②『手待ち時間』とは

手待ち時間とは「労働者が完全に労働から解放されておらず、待機している時間」のことです。完全に解放されていないとは、つまり手は空いているものの、何らかの仕事が発生したらすぐ業務に取り掛からなければならない状態のことを指します。

この2つの定義を踏まえた上で「昼休憩の時間は、休憩時間になり得るのか」について考えてみたいと思います。

子どもがいる時間は休憩時間になり得ない

昼休憩は、子どもたちの休み時間を充てていることがほとんどだと思います。つまり、子どもが学校にいる状態ということです。
これを踏まえて先生方に質問ですが、休み時間に子どもたちのトラブル等があったとき「休憩時間なので対応できません」と言えるでしょうか?
学校は、子どもたちが校内にいる間は健康安全に過ごせるよう配慮する必要があります。安全配慮義務というものです。仮に、子どもたちが休み時間にケガをしたとして、それを認知していたにも関わらず対応しなかったとしたら、社会通念上、それは「安全配慮義務違反」と見なされる可能性が高いと言えると思います。

以上のことから、子どもたちの在校中は、何かがあった場合はすぐに対応しなければいけない時間として「休憩時間」ではなく「手待ち時間」として認識すべきだと思います。

法律に合わせて、適切な休憩時間の確保を

以上を踏まえ、ぼくは「子どもが校内にいる時間帯に、職員の休憩時間を設定することは適切でない」と主張します。これは、個人的に休憩したいから主張しているのではなく、法律を守べきという、至極真っ当なことです。
こう主張すると、多く聞かれるのが「他の時間に休憩時間を設定したら、学校が回らない」という意見です。しかしそれは「学校を回すためには、法律違反をしても仕方ない」と主張しているのと同義です。そして、それは法治国家では絶対に認められません。
ぼくら教育公務員は、法律の下で適切な労働をしなければなりません。その大前提を、絶対に忘れないでほしいのです。

代替案(下校後に休憩時間をまとめる)

では、どこで職員の休憩時間を確保するのかという問題が残ります。ぼくの案としては、子どもたちの在校中はダメなので、必然的に「子どもの下校後」ということになります。

例えば、子どもたちの総下校時刻が15:30だとしたら、5分余裕を持って『15:35~16:20』を職員の休憩時間と設定するなどが考えられます。
※職員の休憩時間は労働時間の途中に与えなければならない(労働基準法第34条)ため、退勤時刻に合わせた時間の設定はNGです。

もし「16:20からしか職員会議等が入れられないとしたら、時間がとても間に合わない」というのなら、それは休憩時間ではなく、放課後の時間を確保するために別の時間を削減する必要があります。例えば、朝の学習の時間を削ったり、子どもたちの休み時間や授業間の時間を短時間にするなどが考えられます。この工夫の仕方は、各学校の実態に応じて考えていく必要があります。日課表の工夫については、文部科学省が出している『働き方改革事例集』の中にも多くの事例が載っていますので、ぜひこちらも参考にされてください。

おわりに

職員の休憩時間に限らず、こうした学校単位での働き方改革を進めるために必要なのは、とにかく「知識」だと、個人的には考えています。
現在、ぼくは『定時退勤がちサロン』というオンラインサロンを運営しており、2024年3月現在、150名を超える先生方と一緒に、情報交換をしたり勉強をしたりしています。入会自体は完全に無料のものです。もしこうした働き方改革のコミュニティに興味があれば、運営者のアカウント(こちら)までご連絡ください。
一緒に、働きやすい職場の実現を目指しましょう!

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