babyちゃん(娘)の三者面談が終わった。
次は、高校3年生になるのだ。

進路について、今のところの
第一志望、第二志望、第三志望をあらためて
うかがって、わあ、と思う。

３つとも、私が受験した学校だ。
国公立なので、前、中、後期
三つしか受けられないらしい。
志望順位も、わたしのときと同じだ。
なぜ、こんなことになってしまったのだろう。

言わせてもらうが、わたしはなにも
進路に関して、自分の通ってきた道を、
おすすめしていない。
合格まで、も、合格してから、も
卒業してから、も。
なかなかのいばらのみち、だったからだ。

同じみちを行くのかなあ。
まあ、自分の決めたことならば
それ以上何も、言うことはない。
がんばれ、というしか。

担任が、
今のところ、大丈夫でしょうとは言えないの
ですが、滑り止めを受けない場合、
浪人も考えていますか。
と聞いてきたので、
わたしは

行きたい学校に行ってほしいから
それもアリかと思う。

と言った。
babyちゃんは、うーん。と言った。

田舎はあんまり浪人する人がいないから
ひとり、おいてけぼりを喰らうかんじ
がするのだろう。

わたしが大学に入ったとき、
２０人のクラスの、3分の2は
1浪または2浪して入った人達だった。
普通なのだ。浪人なんて。
ちなみに夫は2浪経験者だ。

むしろ、わたしなど、現役で入った、
何も知らない世間知らずなこども、
という扱いを受けることになった。

浪人経験者は口をそろえて
浪人はたのしかった。
いいもんだった。
と言った。

うちはお金がなかったので、
選択肢が国公立しかなく、３つともだめなら
浪人という選択肢もなかった。
かといって、ダメだった場合のそのさきは
何も決めていなかった。

あとになって親に白状されたが
美大なんて受かるはずないやーん
と思っていたらしい。
なんかしらんが受かってしまったと知り、
担任の先生に、

受かると思ってなかった。
お金がないんですけどどうしたらいいですか。

と泣きついたらしい。
どうかしている。

ちなみにわたしが大学に行くために作った
借金を全て完済したのは去年の事だ。
44歳までかかって、全額自分で返した。
(えらいなあわたし)

おい親。
受かるはずないやーん
と思っていたくせに、なぜその先は
ノープランだったのか。
田舎で、家事手伝いでもさせるつもりだった
のですか。

とにかく、落ちたら後がないのはうすうす
感じていたから、わたしは必死だった
わけだが、
浪人したひとの話をきくと、

またそれもよしだわな。
人生に、そんないち年があってもいいよな。

と思えるのだ。

とにかく高校は卒業する、というのが
今の日本の当たり前なので、
18歳まで、ずうっと間をあけずに
何かに所属する。
小学生、だったり、中学生、だったり
高校生、だったり。
それが肩書きになるわけだ。

やっとその「所属」がおわり、
はい、この先はじゆうです、
と言われたら。
はたらくもよし、勉強するもよし、だ。

そのなかに
なにもしなくてもよし、
という選択も、じつはある。
あんまり選ぶひとはいないだろうけど。

その選択肢もある、ということ自体に
18歳の時点ではなかなか気づかない。
それもありか、と思えない。

わたしだって、45さいの今なら、
それもありやね、
と思えるが、当時は、何かに所属しないなんて
ありえない、と思っていた。
だからbabyちゃんの気持ちもわかる。

今のわたしなら、
18歳くらいで、一回ゆっくり
立ち止まってみたっていいやん、
と思える。

浪人生も、ニートも、それもひとつの所属、
になるのかな。
所属しない、ってじつはとても
難しいことなのかもしれない。

どこにも所属しない
に、ちょっと憧れがあります。

まてよ。

ホームレス
放蕩者
アウトロー

もすべて、「所属」になるのだとしたら
もしかして何にも所属しないって
不可能なことなのか。
おそろしい。

ミスターシャチホコが和田アキ子のモノマネをするときのセリフに、

「何をしている人なの？」

というのがあるけど、
やっぱり、
何をしている人なのか？
を知って、人は安心したいのかもしれない。

しるか。
そんなもん。

わたしは人生のさいごには、
「何にも所属しない人」
になり、
「何にもしていない人」
としてしにたい。
今持っている肩書き(所属)など
ぜんぶゴミ箱に捨ててもよい。

そうなったらそうなったで、

「何もしていない人」

という所属に入れられてしまうのか！
うんざりだなーもー。