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20時半から30分間の公園記

その日は先輩に「今日は19時までには帰りますよ!」と急かされ、結果20時にはなったのだけどいつもより早く仕事を切り上げてきた。

家が職場から徒歩圏内なので、退勤後、急ぎもせずにただ身体の力を抜いて下り坂をダラダラ歩いて帰るのが好きだ。しかも翌日が休みとなれば尚更だ。早く寝る必要もない。のんびりは非常に性に合う。

しかし職場の人たちの殆どが職場の前からバスに乗るので、なんだか自分ひとり歩いて帰りますというのが面倒で、誰かと帰りが一緒になる時はいつもバスに乗っている。そんなこと気にせず歩いて帰れば良いのにね。

まぁそんな話しはさておき、その日はバスに乗って帰ったので、バス停から家まで、いつものダラダラウォークロードとは違う道を通ることになった。コンビニでじゃがりこを買い込み、歩きながら食べている…疲れてんなぁ自分。

大き目の公園の前を通りかかる。

いつもは横を通るだけだが、なんだかこの時は土の上を歩きたくなった。公園の中にあえて入って歩く。土の上を歩くだけで、コンクリートとは違うエネルギーが足の裏から伝わってくる気がする。例えそれが人工的に設えられた土だとしても。

翌日は休みなので、少しベンチにでも座ってゆっくりしてみることにした。

こうしてこの公園でゆっくりするのは、かれこれ昨冬ぶりだろうか。購入した『ダンスマガジン』をわざわざ寒空の下で読み耽ったのを思い出す。


空が広い。神戸の良いところは空が広いところ。星が見える。しかしこの日は月は見えなかった。

子供連れの3人家族がキャーキャー言っている。滑り台を何周も何周もしているお子様。楽しそうだ。私も混ざりたい。まーぜーてー。

「あと1回ね!」お母さんが言う。そうだよ、もう21時近いんだから、いい子は寝る時間では?でもこうやって子供にとって遅い時間に遊ぶのってなんだかワクワクするよね。私も子供の時大人の飲み会に付き合って夜中まで遊ぶのが密かな楽しみだった。

向かい側のベンチにはカップルが座っていた。楽しそうに何か喋ってる。

私はというと疲労で頭がまわっていないもんだから、ただケータイを弄って、無心にじゃがりこを食べているだけだった。

辺りが静かになったので「あ、家族連れ帰ったんだな」と思っていたところに、今度はリズミカルな音が聞こえてきた。ん?と思って顔を上げると縄跳びを飛んでいる方がいらっしゃった。偉いなぁ。こんな遅い時間に運動して。素晴らしい。私はこんな時間にぐうたらじゃがりこ食べてるよ!

その近くには地べたに座っているバンドマンらしき人が。ギターを抱えたまま座り込んでいた。疲れたよね、わかる。私も疲れたもん。と、勝手に疲れていると決めつけて脳内会話。

偶には公園でこうやってゆっくりするのもいいもんだ。冬の寒さも、春の花粉も、夏の酷暑も無い今の時期、最高に過ごしやすいもんね。夜、秋の虫の音を聞くのも風情があって良い。しばらくここでボーっと過ごせるわぁ。

そんな感じでぐるぐる思考に現を抜かしてたら、ぶ~ん。うわ。蚊だ。秋の蚊は強力だから要注意だ。しかも今私めっちゃ汗臭いし。絶対刺される。帰ろう。

ってことでそそくさと退散した、そんな30分間の公園記。




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