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ブルーバレンタイン ※元気なときに観てください

数年前、レンタルした映画を再度見返したくなる、ということは、それほど素晴らしい作品だった、ってわけだ。

男女の始まりから終わりまでを追った物語。
ライアンかっこいいー!っと浅はかな理由でこの作品に手を出してはいけない。精神状態が安定している時でないと、この映画は見てはいけない。私と約束してください。それほど、ブルーバレンタインってのは、しんどいストーリーなのだ。

医学生のシンディーは複雑な家庭で育ったため、男性経験は豊富だが、愛を疑心暗鬼している。
引っ越し屋のディーンは高校を中退した過去がありフラフラしているようたが、遊び心を忘れない陽気な性格。
ディーンはシンディーに一目惚れし、精一杯アプローチをする。
ディーンがシンディーをバスの中で懸命に口説くシーン、2人でジョークを言い合うシーン、ウクレレを弾きながら歌い、夜の街で踊るシーン、、、幸せがひしひしと伝わってくる。

この物語は、過去と現在を行き来している。
かわいい子どもに恵まれ、一見微笑ましい現在。しかし、ディーンのジョークにシンディーはくすりともしない。出会った当初は、ディーンの一言ひとことに笑っていたのに。
上手くいってないんだな、ってのがなんとなく伝わる。

過去のターン。
シンディーに妊娠が発覚し、ディーンは家族になろう、と決意し、2人は結婚する。しかし、シンディーの子どもは恐らくディーンの子ではない、多分、元彼の。
おいおい、、シンディーそれはハッキリしなよ、とツッコみたくなる。

現在のターン。
シンディーは正看護師としてバリバリ働いている。
一方、ディーンは仕事は一応しているが、朝から酒を飲む生活を送っている。
ディーンは浮気せず、子どもにたくさんの愛情を注いでいる。しかし、出会った当初と変わっておらず、フラフラした印象。
2人に明らかなズレが生じている。

過去のターン。
医学生であり、将来有望であるシンディーと自分は釣り合わない、と弱気なディーン。
しかし、ディーンはこう言う。

誰も君に釣り合わないから、僕が立候補する

2人は幸せの絶頂だった。
このシーンで流れる『you and me』がぴったりである。


この作品の怖いところは、誰にも起こりうるリアルさ。
出会った当初は互いに愛し合っていた。
しかし5年後、2人は戻るにも戻れない関係になっていた。
愛を信じきっていた2人が、信じることを諦める、という現実があまりにも悲しく、観終わった後も体に力が入らない。
正直、友人や家族には簡単には薦められない。
だから、ここに残す。但し、鑑賞の際は、元気な状態で観てください。

恋愛とは勘違いのことである、と以前お話した。
勘違いを生涯信じ切ることは大変難しい。
だからといって、相手を選ぶことに慎重になりなさい、というわけでもないと思うのだ。いや、自棄になって男遊びすることが精神に良いとも言えないが。

恋愛という非常に曖昧な感情を信じる。
愛について模索するより、相手を信じるところから始めたい。

劇中で、ディーンが老人ホームに越してきたおじいさんの部屋の荷物を運び、装飾するシーンが好きだ。
昔はヤンチャしてたんだろうけど、いいやつなんだろうな、ってのが伝わってくる。


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