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BOOK 孤独の特権

「孤独の特権」曽野綾子

思えば
あの頃も この頃も
時間に追われていた
不安に 競争に 義務に 評価に
気が気ではなかった


病、老い、死 人は独り
老年の仕事は 孤独に耐えることだ

その時間の中で 思索する
老年と晩年の孤独を恐れ 身をよじるが 
その逆境による 忍耐の美は
霊魂を成熟させる
肉体を残して 一つになっていく
世界に向かうための
準備の自由時間

人間としての存在
ありのままの自分
神さまの前に 無力さを受け入れ
感謝し 祈り
天地万物に 身を委ねていく


 ひとりで行きなさい、そうすれば、
 神に裁かれるだけだ
 しかし人と行ったら、人間に裁かれる

 皆から見捨てられた神を私はお待ちする

 人は死ぬまで自分の実像を
 眺めることはできない

 不平等だ、理不尽だと思えることを 
 認められた人だけが
 本当に成熟した
 生涯を送ることができる

 許す許さないは
 人間の間のことではない
 人間が許しても
 神が許さないこともあるし 
 人間が許さなくても
 神がとっくに
 許していることもある