見出し画像

劇場版ドラえもん 父と私のツールド・コウミンカン

優しい父

私の父は、私の自宅から車で1時間の所に暮らしています。
特別急ぎの用でなくても、顔が見たいからと車を走らせ、お米やらお菓子やらを持ってきてくれる子煩悩!?な父です。
コロナ渦の時も、電車に乗るのが抵抗ある私の為に、嫌な顔もせずに、むしろ喜んで車を出して送迎してくれる優しい父です。
実家から通勤していた頃、残業で遅くなってしまい、終電がなくなってしまう事も多々あり、タクシーで帰ろうとすると、普段あまり話す時間が無いから丁度良いと、自分も朝が早いのに車で迎えに来てくれる寛大な父です。

いつでも車を出してくれるアッシー君のようになってしまいましたが、他の事でも全力で私を甘やかしてくれます。
お互い歳をとって、いい歳になりましたが、まだまだ子離れ、親離れできない仲の良い親子だなと、つくづく思います。

今日は何を書こうかとテーマを探していると目に入った#映画館の思い出で
蘇った父との苦い思い出。
それについて少々お時間を。

ドラえもんの映画を見に行こう

私の幼少期、地元の公民館で少し古い映画を、通常より安価で公開している事が、年に1~2回ありました。
皆様の地元はどうでした?
今もあるんでしょうか?
実際には映画館の思い出ではないんですが、大目に見て下さい。

KEEP LEFT!!!!!

小学校3年生くらいの頃、季節は覚えていませんが、父が近くの公民館にドラえもんの映画を見に行こうと誘ってくれました。
ドラえもんの映画が見れる!と意気揚々に二言返事で了承した私は、父と一緒に公民館へと自転車を走らせ向かいます。
風よけになって前を引く父、その父の後輪ギリギリに付いて最大限にエアロダイナミクス効果を狙っていた私。
その様は、まるで青八木さん・手嶋さんのチーム2人のようだった・・・
か、どうかは覚えていませんが10分もすると、公民館の入り口手前までやってきました。
もうGOALが見えた私は、先程までの緊張?から解き放たれ、油断したのか
路面のギャップにハンドルを取られて落車してしまいました。

アシストとして前を引いてくれた父に申し訳ない
エースとしての役目を果たせない
今年が最後かもしれないのに

と、そんな事は全く考えていませんでしたが、落車直後にアシスト・・・
ではなく父に目をやると、落車に気づいた父はこちらを見ていました。
目が合います。
目が合ったんです

当然のように、私は父からの気遣いの言葉を待っていた気がします。
大丈夫?怪我はない?痛かったね
そんな言葉を無意識に待っていたと思います。
が、一瞥して父は前を向き自転車を走らせました。
一言も発せずに
そんな父の背中を追おうと、私は慌てて自転車を起こし、痛みと恥ずかしさに耐えて再度、自転車に跨り、必死にクランクを廻します。
それから先、あまりに慌てていたのか、はたまた恥ずかしかったからなのか、痛みのせいなのか、父と合流してから映画が始まるまでの事は、あまり覚えていません。

劇場版の剛田さん

開演に間に合い、楽しみにしていた映画が始まります。

ここで突然ですが、毎週放送のドラえもんと、劇場版ドラえもん
どちらが好きですか?
私は後者です!
ドラさん自体は通常運行ですが、剛田さんが別人?と思うくらいに
優しい?から♪
普段がアレのせいで起こる、ギャップという魔法
まんまと私も、その魔法に掛かってしまったようです!

その時に見ていた映画の内容は詳しく覚えていませんが、相も変わらず剛田さんは見事な魔法を使い、私の心を捉えます。
魔法に掛かり、酔いしれたまま、映画版では絶対的勇者になる野比さんとの活躍に、ココロ躍らせたりと楽しんでいたのですが、ふとした瞬間に落車した際に見た父の顔が浮かびます。
時間に関しては厳しい父、それ以外で怒ることも多少はあれど、基本は優しい父。

あれ?劇場版の剛田さんは、いつもより優しいのに、劇場版?の父はいつもより優しくないじゃん。

と思ってしまった瞬間から、映画の内容は全く入ってこずに、落車直後の事ばかりを考えてしまう有様。
何をもって普通か?という定義付けは置いておいて、家族や友人、なんだったら目の前で倒れた人がいたら、大丈夫(ですか)?と声を掛けたり、心配したりしますよね?普通。

なぜ優しい父は一言も発せずに、一人で先に行ってしまったのか?
何かは言ったが、私が聞こえなかっただけなのか?
起こさずとも、先に行かずに待っていてくれても良いのでは?

と、アレコレ考えてしまう始末。
映画は終焉へと進みますが、私の心は置いてけぼり。
結局、モヤモヤした状態で見たエンディングは全く覚えておらず、楽しみにしていた映画は幕を閉じます。

以上が私と父との苦い思い出です。

父は派手好き

よく似てる

以上を上司に話したら、笑ってました。
なんだったら爆笑してました。
普段から、家族の話をよくするので、上司のイメージでは

「君が落車したら、真っ先に駆けつけて『大丈夫?ダイジョブ?怪我はない?』って心配しそうなのにね(笑)結構必死にさ」

と、更に爆笑してました。
当時は、戸惑いましたが今では笑い話になり、なんだったら良いネタになっているこの思い出話。
頼んでもいないのに、爆笑していた上司が勝手に考察し始めました。

以下 上司考察 その時何があったのか!?

  • 子供は好きだけど、少し苦手という、ちょっとした矛盾

  • ワンパクでも良い、逞しく育ってほしい(丸大ハム)

  • GOAL直前にエースの落車というハプンっ!に対し、自分が一位通過しなくてはならないという使命感

  • 子供に見せたいではなく、自分が真っ先に見たいドラえもん

  • ツンデレ

勝手に考察を始めて、爆笑する上司
どうなんでしょう?この上司


当時はアレコレ考えていたけれども、数日すると忘れてしまい、時折思い出す程度のこの話。
爆笑し続ける上司を尻目に、再度考えていると

「結局さ、単純にテンパッてたんじゃない?普段から子供の面倒はみていたんだろうけど、慣れてはいなかったかもしれないでしょ?駐輪場は混んでたんでしょ?自転車を置くのに戸惑って時間に間に合わなかったらって、テンパッてたんじゃない?」

と、上司は言ったが、その程度で子供を置いてくか?と思ってしまう私。
勝手に考察上司は更に続けて

「お父さん時間に厳しいと言うか、きっちり予定通りに動きたい人でしょ?だから混んでる駐輪場見てテンパッったんだって。時間に間に合わない!ってさ。別にその程度の事なら子供の方が大事だと思うけど、悪気はないけどテンパッちゃって、そうなったんじゃない?君と良く似てるよ」

ん?似てるとは?どういう事でしょう?

「君もよくなるじゃない?落ち着いてやればいい事を勝手に焦って泥沼にハマる事あるよね?声を掛けても聞いてないし、聞いたかと思っても、そのまま猪突猛進で同じ事しちゃうアレ。」

確かに以前から、その点はよく言われていました。

「普段の君を見てると、お父さんのソレも想像できるかも。やっぱり良く似てるんじゃない?」

あーなるほど。確かにそうかもしれません。
父は私の事を、どうでもいいと放っておいた訳じゃなく、ただただ余裕がなく焦っていただけなんど、一応納得。
そう考えると、カワイイとすら思えてきたのと同時に、やっぱり親子なのだと実感しました。

「許してあげなさいよ。もう昔の事なんだしさ。まーとは言ってもオジさん(上司)だったら一生根に持つけどさ」

いやいやいや、許してますよ。
そもそも根に持ってません。
モヤモヤはしてましたけど。
あと、人には言うけど自分は無理ってなんですか?
どうなんでしょう?この上司。

とはいえ、頼んでもいない上司の勝手な考察に、長年のモヤモヤは少し晴れた気がします。
公民館の映画はまだやってるんでしょうか?
もしもまだやっているのなら、あの時のリベンジに、また父と二人で見に行ってみるのも面白いかもしれません。
その時は私がアシストで父がエースの役割。
エースの父がGOAL直前で落車した時、アシストの私はどうするんでしょうか?
苦い思い出を、良い思い出に上塗りできるのでしょうか?

劇場版?の私に乞うご期待です!

#映画館の思い出


この記事が参加している募集

映画館の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?