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全国の書店員さんを信じて

この帯の付いた本を購入してみた。

一度、こういう派手な帯の本を読んで、「ダメだこりゃ」と長介さんになったことがあったので、読み始めで、
「もしかしたら、あの感じのヤツか?」
という警戒モードが発令された。
が、結論からいうと杞憂だった。オビの感想にあるように、「ページをめくる指が止められませんでした」なのだった。

『君の膵臓をたべたい』住野よる著(2015年双葉社刊)

桜はらはらの表紙がタイムリーであります。

まずは、タイトルが衝撃的で話題性はばっちり。ばっちり過ぎて訝ってしまうのね。とんだくわせものかも…と。
いやいや、さにあらず。物語の組立てが巧みだ。筋書きにも無理矢理なところがなく、自然で、納得のいく流れなので、ぐいぐい読んでしまう。

主人公の男子高校生の独白は、誰しも共感してしまう部分もあるし、特に昨今流行りの「コミュ障」(っていうんですよね?)の若者の気質と、そこにうまーくコミットしていく女子高生とのやりとりに苛立ちを感じないのが、おばさんにも読める所以かな。

主人公のお相手の女子は不治の病であり、でも、闘病ものとはいえず、やはりこの作中で使われている「共病」という言葉がしっくりくるお話である。

小中高生が主人公の話を読むと、どうしたって「親は?その時親は?」という思いが湧いて宙をさまようのだが、その思いもきちんと回収できて、その点でも読後感がクリアだった。

この後、職場の「ご自由にお読みください」コーナーに置く予定。(図書館だと150人待ちとかなので)きっと多くの人がありがたがって借りていくであろう。そう思えば、お役に立てる買い物だった。

#読書 #書評 #君の膵臓のたべたい #住野よる #本屋大賞