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Vol.3 【問題提起】学校現場の働き方改革は誰のため?「中学生も立ち上がっていいんだよ」のお話

12月30日からたくさんnoteの記事を読ませていただき、毎日刺激を受けているHANABIです。やはり、noteで配信される一人ひとりのお話は、今の日本社会の現実を様々な角度から表しているものばかりで、中学校教師という枠を超えて、人として勉強になっています。本当にありがとうございます。

今回は、HANABIとして無視できない話題を取り上げます。

それは、全国各地の国立大学法人の附属学校園(全てではないですが)の問題から明るみになりつつある、働き方改革が見失っている(目をつむっている)内容についてです。

今から書くことは、あくまでも、外部から見たボク個人の視点からの記述になります。しかし、一応附属学校園に何年も勤めたことがある立場として、中学生のみんな(特に附属学校園の在校生のみんな)に気づいてほしいことを綴っていきます。

SDGsの根幹にある「誰一人取り残さない」の「一人」は、学校という狭い社会において、一体誰のことを指しているのか?そこを問う内容です(決して誰かを傷つけるような内容ではないのでご安心くださいm(_ _)m)。

教育改革は、何も大人が主役に立つのではなく、あなたたち中学生も主役になれるし、ならなければいけないです。この状況を黙って見守るのではなく、自分から考えること・動けることはいくらでもあるということを問題提起していきます。

HANABIのnoteを覗きにきた皆さんに、有意義な時間を提供することができれば幸いです。そして、HANABIのつぶやきなので影響力は限りなく小さいですが、ほんの少しの人でもいいです。中学校現場の状況をシェアしていくことを通して、未来を担う若者たちの環境を真剣に考えていただく機会になればいいな・・・と思います。

「教員の働き方改革」の功罪

2020年の夏から始まった、国立大学法人の附属学校園(以下、附属学校園)に対する労働基準監督署からの是正勧告。2021年の冬には何校もの附属学校園に是正勧告が行われ、2022年に入ってからは東海地方の学校で残業代の未払いを数億円支払う状況になった。

こういった教員の残業問題については、noteにもいくつか紹介されているし、ボクも「そうなんだよな~」っと納得のいく記事ばかり。具体的な法令や教員の現状については、次の記事が詳しいのでぜひ参考にしてほしい。

上に挙げたnoteの特徴は、児童生徒の視点を見失っていないところ。実は、教員の残業問題が話題になるとき、教員のサービス対象(あえてこの表現にする)である児童生徒が置かれた状況が書かれないことが多いように思う。

さて、ここから核心に迫る。

附属学校園に対する労働基準監督署からの是正勧告の記事が出たとき、そこに書かれる記事の主語は、必ず大学本部やそこに勤める教師。
では、是正勧告を受けた後、そこの附属学校園で頑張っている児童生徒が置かれた状況はどう変わったのか?また、あらゆる教育活動を制限された児童生徒の気持ちは、一体どんな変化が見られたのか?
記事によく出てくる「関係者」という人は、この状況をどうして説明しないのか?

すごく不思議なのが、何らかの考えや思いがある児童生徒の声が消されている又は聞こえてこないこと。これは、民主主義の根本を教える学校組織として、非常に危険な兆候では?

そして、中学校に関しては、ここから一気に部活動改革が始まっていくことが予想される。
タイミング的に、この問題を根拠にして、スポーツ庁が推進する部活動の地域移行のモデル化をいろんな場所で進めていく一歩になるということ。しかし、現状として、部活動が学校から地域移行できる土台が出来上がっているところはほとんどないし、もちろん、その議論に主役であるはずの中学生や保護者は関わっていない。全てにおいて「関係者」と称される大人が中心にいる。

中学生である君たちと一緒に・・・

中学生のみんなに知っておいてほしいこと。note上に書けることとそうでないことがあるんだけど、今のボクが書けるのは次の2つ。

①全ての先生が、部活動をやることに否定的ではないということ。
②全ての先生が、大学本部・教育委員会がやりたいことに言いなりになっているわけではなく、頑張って君たちのことを声に挙げているということ。

まず①について。

「教員の働き方改革」というと、すぐに話題として挙がるのが部活動。

部活動「を」するのか。部活動「で」どうしていくのか。この言葉の峻別ができる教師であれば、部活動を負担に思うことは少ないのではないかと思う。家庭的な事情がある教師については、よっぽどな職場でないかぎり、ある程度考慮されている状況がある(その分、ある一人の教師がその過重な労働を背負うわけで、それはそれで大きな問題)。しかし、その事実は包み隠されて、単なる「部活動=ブラック」というレッテルを貼られる

どうしてそこまで部活動をやり玉にあげるのか?

そこまで「時間外労働」を気にするのであれば、従来当たり前に思われていた学校カリキュラムを再構築することの方が、より現実的なのではないか。最近、下の記事にあるような研究成果が注目されている。部活動の話と並行して、50分(ないしは45分)授業の見直しも検討していくというような議論が、どうして本格化しないのか?中学生のみんなは、その点についてどんな考えがあるかな?

次は②について。

これはどんな職種でも同じ状況が生まれているかもしれないんだけれど、互いの立場からの意見を共有することなく、一方的な形で仕事を進められることが、特に学校現場では多いように感じる。

そこでのちょっとした不満・不安が徐々に積みあがっていくと、精神的にまいってしまう教師が出てくる。特に、児童生徒のことを第一に考えていただいている教師に多い傾向があるのかな・・・(ただし、ボクのいた職場ではね)。

やっぱり原点に戻ると、「一体、誰のための教育活動なのか?」にたどり着く。ボクたち教師は、自分のためではなく、将来を担う君たちのことを考えた仕事をしなければいけないんだな。その当たり前のことが置き去りにされているのが、今の「教員の働き方改革」の大きな問題点。

教師のための働き方改革だけでは、誰も納得しない。教師とともに、もっと児童生徒が担う未来を尊重した改革をしていく方向性を見つけていきたい。

それではどうしたら良いの?っていう質問が出てきそうだね。

答えはシンプル。遠慮するのではなく、誰かに君の正直な気持ちを打ち明けてみてはどうかな?だって、もうすでに君と同じ同級生がこんな活動までしているよ?

やっぱり、対話を通して新しいことにチャレンジしていく姿勢って素敵。

一人で動いてもいい。

身近な友人たちと動いてもいい。

学級・学年単位で動いてもいい。

SNSを第一歩にして動いてもいい。

身近にいる先生にも、きっと君の話に耳を傾けて協力してくれる人がいるかもしれないよ!

学校現場のSDGs(目標4)の現状は?

『Sustainable Development Report 2021(持続可能な開発レポート)』の日本の評価を見てみると、世界的に見てもSDGsの目標4が達成されているという話になっている。でも、ここまで問題提起してきた内容を考えてみると、果たしてその評価は妥当だと言える?

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出典:持続可能な開発ソリューション・ネットワーク・ベルステルマン財団『Sustainable Development Report 2021(持続可能な開発レポート)』から抜粋.

近年、特に新しい学習指導要領が全面実施されてから、どの学校でもSDGsを取り上げた学習を行うことが増えた。しかし、単にSDGsの要素を含んだ学習内容に触れて、発表させて終わりという傾向があることも否定できない。

SDGs「を」学んでいる君だからこそ、SDGs「で」学んだ知識・技能を使ってみよう。そうすると、自然と、君自身の見方・考え方が変わっていく。そして、周りの人たちの価値観も少しずつ変わってくるかもしれない。この感覚を持つことが、学校という狭い社会を変化させるきっかけになるかもしれないよ!

今回問題提起した内容を、ぜひ中学生である君たちも一緒に考えてみてほしい。与えられた環境のなかでもがくのではなく、身近にいる先生たちと一緒に学校を変えることができるんだよっていう事実を知ってほしい。

そうすれば、「教員の働き方改革」の中身に、「君たちの存在」もある程度考慮してくれる内容に変えていけるかもしれないよ。だって、主役は君たちなんだからさ!!ただし、具体的なアイデアを考えていく必要はあるよ!

少なくとも、ボク自身は一緒に頑張っていくつもりだよ。そういう考え方を持っている先生がいるっていうことも、頭の片隅に入れてくれると嬉しいな。

それじゃあ、これから一緒に、学校づくりをしていきましょう!そして、このnoteを読んでいただいた大人の方々も、真剣にこの問題に向き合っていきませんか?

*最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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中学校社会科教師のHANABIです!学校教育の現状、中学校社会科の面白さ、自分の生徒・卒業生や全国にいる中学生へのメッセージ、時にはHANABIのプライベートまで、いろんな角度から掘り下げて綴っていきます!!SNS初心者ですが、よろしくお願いします(*^▽^*)