見出し画像

Vol.9 【0学期の今だから②】「を」と「で」のちがいを意識した授業って?のお話

皆さん、お疲れ様です。三連休も本日で最終日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?画面越しではありますが、北京五輪で頑張られている全ての選手から力をいただいているHANABIです😊
本日は、早朝から「この雰囲気を楽しんできてなぁ~!!」と生徒に声をかけて、中学校の近くの駅からではありますが、受験校へ見送ることができました。「自信と緊張を織り交ぜたような背中」に、この1年間の成長を見たような気がしました。
また、明日2月14日は、ボクが勤める地域での県立高校の内定発表日です。生徒や保護者の方々はもちろんのこと,ボク自身も少し緊張してきました。本日は寝ることができるのでしょうか?(笑)

前回(Vol.8)に引き続き、今回も新年度に向けての「私自身の心の準備」を書いていきます。テーマは「中学校教師として、どんな授業をめざすの?」です。堅苦しいお話になってしまうかもしれませんが、お付き合いしていただけると嬉しいです😄

「どうして中学校でこんな勉強をするの?この勉強をやって、どんな意味があるの?」

こんな素晴らしい質問を生徒(または皆さんの子ども)にされたことはありませんか?
過去にはこんな魅力的な記事が出ていました!

特にお子さんをお持ちの皆さんに対しての投げかけになってしまいますが、今年度から中学校で完全実施された学習指導要領(言い換えれば、文部科学省が示す教育内容の指針)は、先程示した質問に答えるものになっているのをご存知でしょうか?タブレットを使うというような表側からは見えない、内側からの教育改革が起きています。
それでは、この質問を紐解くための大切な言葉について、「社会科」という教科を例にしながら紹介していきたいと思います!

「を」型と「で」型の授業とは?

まず始めに、「を」は、そもそも一体どんな目的があるときに使うのでしょうか?

「を」は名詞、名詞に準じる語に付き、動作・作用の目標・対象を表す。

出典:『広辞苑 第七版』岩波書店.

そうなると、「を」型の授業を一言で表すと「たくさんの用語などを覚えさせるような授業」ということになります。これでは、いつまで立っても「暗記科目」のレッテルは貼られたままですし、社会に旅立ったときに活用できる力を育てるところからはものすごく遠い位置にあります。しかし、これまでの学習指導要領下では、「知識・理解」が一つの評価規準であったため、「知識をどのくらい理解させるのか?」と単純化させてしまう教師が多かったように思います。知識にはいくつもの性質があるのにも関わらず…です。

そこで登場したのが「で」型の授業です。「を」と同じように「で」の意味も少し紹介しておきましょう。

「で」は名詞、名詞に準じる語に付き、動作・作用の手段・方法・材料などを表す。

出典:『広辞苑 第七版』岩波書店.

すなわち、「で」型の授業を一言で表すと「授業で出てきた用語などを使って考えさせるような授業」となります。これこそが、今年度から実施されている学習指導要領でトレンドとなっている「見方・考え方」の正体です(当然ながら社会科教育学的には社会的な見方・考え方については細かく定義されていますが、ものすごく簡略化するとこんな感じになるのかなと思います)。
従来の「知識・理解」から「知識・技能」へと評価の観点が変わり、そこで得た「知識・技能」を話し合ったりレポート作成・発表(近年ではパフォーマンス課題と言われることが増えました)をしたりする「思考・判断・表現」で活用していくことになります。

中学校で勉強をする意味はまさにここ。「知識・技能」を習得していくだけでは、学校内でしか使えない力。習得した(または習得しかけた)「知識・技能」を、授業内におけるいろんな場面で活用していく経験をさせることは、学校外で使えるようになるための力を育てることにつながります。
教師の皆さんであれば当たり前のことかもしれませんが、マンネリ化した授業をされていることも少なくありません(ボクを含めて)。
この点については、「社会のタネ」さんのHPにも掲載されていますので、詳しく知りたい方はどうぞ!

「で」型の授業にすると、どこまで授業が変わるのか?

この1年間、ボクは「で」型をめざして社会科の授業を展開してきました。当然「を」型の授業を経験してきたなかでの現在に行きつくわけですが、生徒の学びの質は格段に上がった気がします。そして、何よりもボク自身の授業観が一変しました。例えば、先週に実践した「明治時代の征韓論についての授業」はこんな感じです。ちなみに、ボクはタイトルにも一応こだわりを持っています(いわゆる「めあて」を兼ねているという意味で)。この授業は、何だかサッカー日本代表みたいな感じですが(笑)

「で」型授業

こうして考えてみると、ドリル形式のような用語の穴埋めの授業をしなくても、「見方・考え方」を使えそうな史資料にこだわれば、社会科が苦手な生徒でも積極的に授業に参加することができることが分かります。また、この授業については、学校に来れていない生徒のために、簡単に動画編集を行って配信したりもしています。「を」と「で」のちがいを意識するだけで、生徒が主役になれるかどうかが決まってくるように思うのです。

まとめると

ここまでの考察は、社会科教育の研究という視点ではつっこみどろ満載かもしれませんが、HANABIの主張の根拠を「実際の授業」という形で示すことにこだわってみました。

もう教師がしゃべりまくる授業の時代ではないことを肝に銘じないと、目の前にいる生徒には何の力も身に付けることができませんよ?

これがHANABIからのメッセージであり、全国にいる先生たちと共有したい事実です。

どうしてなのか、教師は話し出すと「いつになったら終わるの?」と思うくらい止まらないことが多いです(笑)しかし、それは朝の会や帰りの会といった学活の時間に、ぜひ披露して欲しいなと思います(生徒にとってタメになる話、という意味で)。

50分間1コマの授業は、生徒にとっては一生に1回しか学べない貴重な時間。いつの日か、「あのとき歴史で学んだことは、こんなところにも生かせることができるんだ!」と生徒が実感できるような力を身に付けさせたいものです。
歴史「を」教えるのか、歴史「で」教えるのか。
これは何も歴史に限ったことではなく、地理や公民の分野でも同じことが言えますし、他教科でも同様です。

「令和型教育」の成果が出てくるのは当分先の話ですが、HANABIはコツコツと授業実践を積み上げていきたいなと考えています。
この記事を書いているうちに、「皆さんと一緒に未来を担う若者を育てていこう」という気持ちが上がってきました!いろんな角度からアドバイスをいただきたいと考えております。こんなHANABIですが、どうぞよろしくお願いします!!

*最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事が参加している募集

振り返りnote

SDGsへの向き合い方

中学校社会科教師のHANABIです!学校教育の現状、中学校社会科の面白さ、自分の生徒・卒業生や全国にいる中学生へのメッセージ、時にはHANABIのプライベートまで、いろんな角度から掘り下げて綴っていきます!!SNS初心者ですが、よろしくお願いします(*^▽^*)