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掌編小説・元カレMくんの話(前編)

第一章

アタシは中学3年生のT子。
1年生の時に吹奏楽部に入って、クラリネットを頑張ってきたの。
アタシの家は昔から音楽一家だったから、小学校の時も音楽クラブに入ってたんだ。
でも小学校の時の音楽クラブは、金管楽器だけのバンドだったから、アタシが吹きたかったクラリネットはなかったの。だから仕方なくトランペットを吹いてた。

中学校の吹奏楽部に入ってクラリネットが吹けた時は、とても嬉しかったな♪

実はアタシ、小学5年生の時に、アタシのことを好きだって言ってくれた男の子がいて、その男の子と一応付き合ってたことがあるんだ。
でも小学生で付き合うって、何なのかよく分からなくて、結局彼が私立中学校へ行くことになって、自然消滅したの。
一応バレンタインにチョコレートは上げたけど、ホワイトデーにお返しはなかったし。

だから中学校に入ったら、ちゃんと男の子のことを好きになって、ちゃんとした異性とのお付き合いをしたいな、それが夢だったんだ。

でも1年生の時はクラスにタイプの男の子がいなくて、恋に恋する状態だったかなぁ。
吹奏楽部にいた唯一の男の子も、ちょっとアタシの好みとは違ってて…

でもね、2年生になった時に、バリトンサックスを吹く男の子が、途中入部してきたんだ。
そう言えばこの男の子、ミエハルってあだ名で有名な男の子じゃなかったかな?
結構スリムだし、毎日一生懸命練習を頑張ってるから、楽器はまだこれからだけど、ちょっと気になるかも♫

クラスはアタシの隣の4組らしいから、アタシの3組と合同でやる体育の時とかで、彼の授業中の姿を見れるかもね。

彼の名前は、Mくん。

本名もMだし、あだ名のミエハルくんでもMになる❗
親友のKちゃんとの暗号にしようかな(笑)

こんな感じで、楽しく吹奏楽部で活動出来ていたのに、2年生の2学期のある日、ちょっとした事件があってね。
部長のN先輩はアタシのことが嫌いだったのかな…。

アタシが気にしてる天然パーマを、ある日の部活でからかわれちゃったんだ😥
凄いショックで、泣くつもりなんて無かったのに不意に涙が溢れちゃって、そしたらN部長もゴメンと言いながら音楽室から逃げたけど…。

その直後に、なんとMくんが音楽室に来ちゃったの❗

アタシ、泣いてる姿なんかMくんに見られたくないから、Mくんは心配してアタシに声を掛けてくれたけど、大丈夫とだけ言って、音楽室から逃げちゃった。

Mくんのことはちょっと意識してたけど、あんなアタシの姿を見られたら、アタシを意識してくれる訳、無いよね。
アタシこの日は、悲しくて寂しくて、部活も早退しちゃって、でもお母さんにはバレたくないから、部活は中止になったって言って、出来るだけ家では普通に振る舞ってたんだ。

その日の夜に親友のKちゃんが、心配して電話をくれたけど、部活に行けるかどうかは分からないって言っちゃって。
でも学校には行くから、心配しないで、って言ったんだけどね。

結局この事は先生も巻き込んだ大事になっちゃって、N部長に先生立ち会いの下で謝られちゃった。
だからアタシはその日から吹奏楽部に復帰したし、Kちゃんにもちゃんと経緯を話したんだけど、気になるのはMくんなの。

元々そんなにお話しとかはしてなかったけど、アタシが泣きながら音楽室を飛び出した後も、全然話なんてしてないから、アタシのこと、誤解してたと思うの。
せめて同じクラスだったら良かったんだけどね。

第二章

そしてMくんとは、特に話も出来ないまま、3年生になったんだ。
あ、Mくんって凄いんだよ❗
2年生からの途中入部なのに、先生とN部長の推薦で、部長になっちゃったの♫

途中入部の癖に部長になるなんて…みたいな同期の女子もいたけど、アタシはMくんを応援したいな❤
だってね、3年生になって、同じクラスになったんだよ♪

まだまだ、ほんのちょっと意識してるだけだから、Mくんとは普通に話すつもりだけど、もしかしたらもしかするのかな、なーんて。


吹奏楽部では、Mくんが部長としてかなり悪戦苦闘してるのは分かったけど、声に出して応援したら、アイツらデキてるとか言われるから、アタシは心の中で祈ってた。

『Mくん、頑張ってね。応援してるからね』

そうこうしてる内に、3年生のビッグイベントが発表されたの。
7月に、近くの山へ日帰り林間学校に行くんだって。
6月には、その為の班編成会議が開かれて、Mくんも班長に指名されてたから、会議に出てたみたい。

どんな班になるのかな…

と思ってたら、アタシ、Mくんと同じ班になってたの❗

ビックリ‼️

男子3名、女子4名の、合計7名の班になったんだけどね、これってMくんがアタシを同じ班にって指名してくれたのかな?

うーん、聞きたいけど聞けないよ〜。

そして、林間学校の班にクラスの机も並び直したんだけど、Mくんの様子を見てても、アタシと同じ班になったのはMくんの考えなのか、偶々なのか、読めない…。

って、気付いたら林間学校の前日になっちゃった。

Mくんが班長として、班のみんなに役割分担をしてたけど、アタシは女だからか、当日の調理器具を持ってくる役割になったの。

買い出しは他の女子に頼んでたみたいだけど、アタシだって買い出し出来るのに…。

男子は、当日重たい物を運んだり、力仕事をやるからってことで、前日準備は無しになったみたい。


そして、いよいよ当日になったよ❗

最初に山へ登ってから、お昼ごはんを作るんだけど、メニューはやっぱりこういう時は…って、女子で話しして、カレーライスにしたよ。

重たい鍋や材料は男子が運ぶって言ってたけど、本当に重そう…。

アタシが男だったら手伝って上げるんだけどな。


最初は登山なんだよ。
登山も班単位で動くように言われてたから、Mくんがリーダーシップを取って、アタシ達を引っ張ってくれてる。
テキパキとしててちょっとカッコいいかな?(笑)

でも登山の途中で、女子のYちゃんの靴が脱げて、そのままコロコロと落ちていっちゃって、Yちゃんは裸足で登山しなくちゃならなくなったの。

Yちゃんは大丈夫って言ってたけど、女の子に山道を裸足で歩かせる訳にはいかないって言って、なんとMくんが裸足になって、靴をYちゃんに貸して上げたんだよ❗

アタシ、なんだかジーンとしちゃった。

Mくんって、優しくて頼もしくて…やっぱりカッコいいかも💖

アタシ、Mくんのことが、ちょっと気になる存在じゃなくて、本当に気になり始めちゃった。


登山も終わって、お昼ご飯の時間。
アタシ達の腕の見せ所よ。
男子のみんなは、水を運んでくれたり、火を点けてくれたり、力仕事を頑張ってくれてる。
女子も美味しいカレーライスを作って、みんなで楽しく美味しく、お昼ご飯を食べたいね🎶


アタシ達の作ったカレーライス、大好評で完売になったの(^o^)
Mくんはお代わりしてくれたよ♪
こんなちょっとしたことが嬉しいな💖

後片付けはみんなでやるんだけど、近くの小川でお皿を洗ってた時に、なんとMくんとアタシの、二人だけの時間が訪れたの❗

もしかしたらMくん、アタシに告白したりして?なんて思ったけど、アタシの考えすぎだったみたい…。

「Tさん、洗ったお皿、持っていってあげるよ」

アタシの方が浮ついてたかもね。
っていうより、アタシから何か話しかければ良かったのかなぁ。

でもバスで学校まで帰った時に、Mくんは自分の荷物と班の荷物を2つっていう、大変な状態だったから、思わずアタシ、

「Mくんの荷物、貸して。持ってあげる」

って言っちゃった💦

Mくんはビックリしてたけど、でも嬉しそうにアタシに荷物を預けてくれて、照れながら
「ありがとう」
って言ってくれたの。

だってね、まだMくん、裸足のままだったんだよ❗

こんなこと出来ないよ、普通…。

アタシの中で、Mくんの存在がドンドン大きくなっていくのが分かる。

アタシ、Mくんのことが好きかも…。
いつから好きなの?って言われたら、今日からって言えちゃう。

Mくん、同じ班にしてくれてありがとう。

今日はとっても楽しかったよ。

それと普段は隠してるリーダーシップや優しさ、いざという時の対応とか、凄く格好良かったよ。

Mくんはアタシのこと、どう思ってるのかな?両思いになれたらいいな…💖


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私が良く書いている、中3の時の初めての彼女さんの話を、彼女さん側からの視線に置き換え、和解後に聞いた付き合ってた時に聞いた話とかも織り交ぜて、女子の一人語り風小説にして再現してみました。

Mという男子は、私です(笑)

なので、内容は殆どノンフィクションです(/ω\)

後編もお楽しみに(^^)/~~~

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