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30歳で目覚めた散歩の魅力

在宅ワークの最中、法定休憩と自分に言い聞かせ散歩をする。
田んぼの横を通る道で、春の透き通った青空が心地よい。

田舎道で日中でも、誰一人歩いていなく、遠くの方の国道と交わるところで左折待ちしている、軽トラの乾いたエンジン音が聞こえる。ぼぼぼっという低い音がこの景色には合う気がするのだけど、聞こえたのはラジエーターの少し高めな情けない機械音だった。
世界に私だけが取り残されたというシーンを想像したが、そこから想像は続かず、陳腐なことを考えた自分を悔やむ。

道の横は排水溝になっている。よく歩く道なのに、意識して排水溝に目を向けたのは初めてな気がする。排水溝は、自分の進行方向に対抗した向きで水が流れていた。路上でいらない水分を流すという排水溝本来の用途に反して、冷たそうで透き通った水が流れていた。

イヤホンからはtokyo fmが流れている。昨日発表のグラミー賞特集だ。
テイラースイフトが歌っていた。テラスハウスのオープニング曲くらいしか聞いたことがなかったが、流れた曲はアダルトでジャジーな曲だ。
テイラースイフトを通学のバスで聞いていた少女も、今では歌舞伎町のホステスなのだろうか。時代の流れは尊い。
「いつかのテレビ小僧もでっかいスピーカーの前で本物のRawを知り一人前になる」とpunpeeが歌ったが、一人前になれなかった私はどこに身を置けば良いのだろうか。

家へ帰り仕事に戻る。気分が乗らないので、またtokyo fmを流す。この時間は新進のラジオDJとして評判が良い、山崎怜奈の「誰かに話したくなること」が流れている。誰かが働いている姿を見ると、今日という時間の不可逆性を感じる。


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