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32歳、ラグビーを始める 1

32歳独身男性が、10年ぶりにラグビーを始めた日記です。


転勤


今年の4月に私は今住んでいるところへ転勤してきた。
大学を卒業してから働いて10年、初めての転勤の辞令は青天の霹靂だった。
「最初3ヶ月は仕事第一に頑張る」というのが私が引っ越す前に考えていたことだったが、3ヶ月たっても仕事の余裕が生まれず、うまくいかないことばかり。それを試練と捉えられるほど、強くはなかった。

きっかけは上司の電話


そんな時に前の部署の上司(Aさん)が電話してきてくれた。
一緒に働いていた時は感じなかったけど、この時ばかりはAさんの優しさがとても心に染みた。嬉しかった。
Aさんと私は学生時代にラグビーをやっていたという共通点があり、雑談はもっぱら今年のラグビーについて(トップリーグの新外国人事情とか、大学ラグビーの動向とか)だった。
そして、Aさんは「知り合いがラグビーチームをやっているので、お前も行ってみたらどうだ」と言ってくれた。上司自身も昔はそのラグビーチームに入っていたこともあったらしい。
私は「ありがとうございます。落ち着いたら行ってみますね。」と答えた。
せっかく誘ってくれたので無下にに断れないと思い、その場しのぎのYESの回答をしたつもりだった。
ラグビーをやっていたのは10年以上も前だし、社会人になってからは運動らしい運動をしてきたこともない。筋肉が衰え、デスクワークで肩こり、腰痛が酷くなってきたこの頃である。ラグビーなどできるはずないと思っていた。

翌日、会社のメールで「Aさんから連絡先聞きましたKです。ラグビーチーム入ってくれるみたいで、ありがとうございます!日曜日にXX公園で練習していますので来てください!」という連絡が来た。
いつの時代も、どんな世代でも、ラグビー部は人が集まらない、少しでも入ってくれそうな人がいたら熱心な勧誘をするという状況は変わらないみたいだ。
私は「連絡ありがとうございます。引っ越したばかりでバタバタしているので落ち着いたら行きますね」とまたもその場しのぎな回答をしてしまった。

決心!


それからKさんは何度か「そろそろ落ち着きましたかね?練習来れそうですか?」と連絡を送ってきてくれた。
私の状況といえば、まず土日にやることがない。というか、引っ越してから3ヶ月、新しい仕事に慣れるのに必死で土日を楽しむ精神的な余裕も無かった。
32歳独身、独身なので身近に家族はいない。身近に友達はおろか知り合いもいない。会社の同僚くらいが普段話す人のみだった。そろそろ仕事以外で人と話すことが恋しくなってきたころだった。
そして、土日も仕事のことが頭から離れず、精神的におかしくなりそうな状況だった。
このままじゃまずい、何か会社外の世界と繋がりをつくらねば。
私は意を決してKさんに「明日日曜日の練習行きますね!」と連絡した。
毎週土曜日はだらだらyoutubeを見ながらビールとハイボールを飲んで、酔っ払ってきたら寝落ちしているというのが私のルーティンだった。だけど初めての練習の前日は体調を整えるためにお酒は控えた。不安とドキドキで全然眠れなかった。この感じは久しぶりの感覚だった。

(続く)



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