「結婚する前は、両目をよーくひらいてじっくり相手を見なさい。けれど、結婚したら片目はつぶるのよ」

社会人になってしばらく経った頃、母からこんなことを言われた。母も祖母から言われたという。

この人と本当に結婚しても大丈夫か、結婚前はしっかり相手のことをみなさい。いざ結婚したら、ちょっとやそっとのすれ違い、よくないところは目をつぶって、おおめにみなさい、とのこと。

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私の場合よーく見すぎてるんじゃ？という声はさておき、それ以来、彼とケンカをしたり違和感のある発言があるときに「ここは片目つぶったらOKのとこか」を考えるようになった。

“相性がいい”と一言で行っても、それにはいろんなフェーズがある。性格が一緒だと、楽しい時にどこまでも一緒に楽しめるけれど、つらい時は同じポイントで躓いて共倒れしてしまう。

この部分では相性いいけど、この時は相容れないことは、きっと頻繁にあるんじゃないかなぁと思う。

その時に、「この相容れないことは優先度としてどのくらいなのか。自分にとって大切にしている価値観には支障ないか」で、将来片目をつぶれるのか、両目でしっかり見なさい、と。そして決めたら、相手に干渉しすぎず仲良くやっていきなさいということなんだろうな。

母は父のこと、そんな風に考えたのだろうか。「片目はちゃんとつぶってる」とだけ言われて会話を終えた。