これからは自分の足で(ローファー)
お気に入りだったローファーの靴底が、とうとう剥がれた。
ジェフリーキャンベルのパールヒールローファー。
甲と踵にパールがずらっと並んでいて、両足の合計でなんと“20個もあるの”(cv アリエル)。
うっかりイヤリングや指輪にパールのあるものを合わせてつけてしまった日には、全身パールだらけになってしまう。でも私のスタイルは「宝石よりパール」なので、自分を象徴するものとしても気に入っていた。
この靴の存在を知ったのは、私の師匠(勝手にそう呼んでいる)がよく履いていたから。素直に師匠の真似をしたのだ。当時大学生だった私は、バイトでの稼ぎ(月5万弱)の大半をファッションに注ぎ込む度胸もなく、これによく似たデザインのもっと安いローファーを探して買った。それは甲にだけパールがついていて、踵はいたって普通のものだったけど、履いたときに足元を見るとパールが目に入って嬉しくなったものだ。
社会人になってすぐ、(やっぱりメルカリで安く買ったのだけど)正規品のパールヒールを手に入れることができて、ことあるごとに履いていた。一般的にパールは柔らかく上品な印象を与えるけど、なんせ20個も揃えているので力強さをかなり感じられる。そこがこの靴の最大の魅力。生地がレザーではなくエナメルなのも、クラシカルになりすぎないポイント。
合皮のエナメルだからといって雨の日でもガシガシ履いてしまっていたせいか、つい最近、愛用歴5年目にして靴底がぱっくり剥がれてしまった。
もうこれでは流石に外を歩けない。
もっと大事に履いておくべきだったと思いつつも、個人的に人生の節目であるいま壊れたことに、偶然だとしても何らかの結びつきを感じざるを得ない。今までは師匠の後を追い続けていたけど、これからは自分の足で歩いていけというお告げなのかも。
いまとなっては正規品の新品が(安くもないけど)迷いなく買える値段に感じるほどには成長したが、買い直すことは検討していない。これを機に、これまでお世話になったこの靴に最大級の感謝をして、次のステップに進もうと思う。
……まあ、また履きたくなった日が来れば、新しく買い直しているに違いないだろうけどね。
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