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あなたに振りむいてもらいたくて…激しすぎる片思いでラブレターを送り続けた笠郎女の物語が、美しい映像になりました!

いつの時代も、叶わない恋は苦しいもの。

1300年前にも、激しい片思いに身を焦がしていた女性がいました。

笠女郎(かさのいらつめ)。奈良時代のスーパーエリート、大伴家持に恋をした女性です。

万葉集には、彼女が大好きな家持にあてたラブレター、29首の和歌が収められています。

恋にもそ人は死にする 水無瀬川下ゆ我痩す 月に日に異に
(人間は、恋によって死んでしまうこともあるのです。地中を流れる水無瀬川の、表には見えない流れのように、私は人知れず痩せ細っていきます。月を重ね、日を重ねるごとに)

「あなたが好きで死んでしまいそう」と切ない思いを情熱的な歌にしたためていた笠女郎ですが、なかなか訪ねてきてくれない家持に愛想を尽かし、とうとうこんな歌を詠んで別れを告げます。

相思はぬ人を思ふは 大寺の餓鬼の後(しりへ)に額付(ぬかつ)くごとし
(思ってもくれない人を一方的に恋い慕うのは、格式が高いお寺に置かれている餓鬼像のお尻に向かって、額を床につけ礼を尽くして拝むようなバカバカしいことだったわ)

大寺の餓鬼とは、何とも痛烈な皮肉です。

いったいどうして、笠女郎がこんな歌を詠むことになったのか、二人の恋の顛末を和樂Webで記事に書きました。

そうしたら、朗読の活動をされている飯島晶子さんが、この記事を見つけて「朗読したい」と連絡をくださいました。

YouTubeでの公開前に動画を見せてもらって、驚きました!

広澤美術館というロケーション、万葉風の衣装、美しいアニメーション、情感豊かな素晴らしい朗読。

私の頭の中にだけ存在していた笠女郎の恋が、新しい命を吹き込まれて動き、話している…!

自分が書いた文章だということをすっかり忘れて、感動で胸が熱くなりました。

(映像はこちら↓から、無料で見ることができます)

活字から声、そして映像へ、万葉の言葉がたくさんの人に広がっていく景色を間近で見せてもらい、とても幸せな経験でした。

ひとりではこんなに高く飛ぶことはできなかったけれど、和樂Webの方々や、飯島さんや、映像制作チームの方々や、皆さんの力が集まると、いい風が吹いてふわりと高く舞い上がり、こんなに素敵な景色が見えるんだ!とドキドキ、ワクワクしました。

映像は1ヶ月間、公開されているそうなので、この機会にぜひ、万葉の世界へタイムスリップを経験していただけたらとても嬉しいです!

読んでいただきありがとうございます! ほっとひと息つけるお茶のような文章を目指しています。 よかったら、またお越しくださいね。