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父と娘の珍介護道中(日記的エッセイ2010〜2022) 時々、母のこと、故郷のこと、自分のこと EP14

エピソード14
封印していたことを眺め、感謝し、新しい自分と出会う

2013-05-06

GWの3日は、東名回避のため延々246で父のご機嫌伺い。
町田あたりまでは渋滞だったけど、2時間で到着したのはまぁいい方だろう。
ようやく暖かくなったので、父も元気。ケアハウスがよく催してくれるイベントや小旅行(というか遠足かな)の写真が上がってきてたので、それを見ながら、そのときの話を聞かせてもらう。
曽我の梅林の写真がとてもきれいで、参加されたみなさんの笑顔も素敵だった。

詩吟専用の卓上キーボードを弾きながら(弾き語りです)の元気な歌声も聴き、「早く帰ってたまにはゆっくりしなさいよ」とうながされて帰途につく。
そういえば母もよく「お母さんはよくなる一方だから、早く帰りなさい」と言ってたっけ。

来週は母の日。
今年で5年になるけど、どうもこのところ母が恋しくてしかたない。
ふと思い出し、あのとき私の知らないところでどんなことを思っていたんだろう? と考えたりすると、知らずにいてごめんねという気持ちも湧いてきて、
どうしようもなく涙が止まらないときがある。
たいていそれは、母が幸せそうに家族や知り合いを思っているイメージ。
きっと、私の希望的観測も含まれているんだろうけど、そんなふうに母はいつもいつも誰かに対して献身的に思いを寄せていてくれた。
書いていたら、また恋しくて泣けてきた。お墓参りに行かなくちゃ。

2013-05-11

先日書いたように、最近母恋しさが募っていたので、
昨日は東名ぶっ飛ばしーので父を見舞いに行くついでに、
母が眠る大磯の善福寺さんへお墓参り。ゆっくり母と対話してきた。

父にその報告をすると、「一緒に行けばよかったなぁ」と残念そう。
一緒に行くとなると、思い立ってすぐというわけにはいかないので、
今回は無理だったけど、そっか、父もやっぱり母への思いが募っていたのかと、
気づかなかったことにちょっと申し訳ない気持ちになった。

今まではそんな発想が湧く余裕もないくらい足腰の痛みに悩まされていた父だけど、今はそれだけ調子もいいってことだろう。
また今度、私にも余裕のあるお天気のいい日に連れていってあげよう。

2013-06-06

偉そうなことは何一つ言えないけど、経済も含めて、今、いろんなものが変化し、うごめき、閉塞感から抜け出ようともがいている時期な気がする。
私もそうだ。この半年間ほど、本当に激動の時間を送っていた気がする。
消えていってしまうもの、はがされていってしまうもの、
はたまた自分から見切りをつけるもの、いろいろある中で、
自分が求めているもの、やるべきことを見いだそうと、ずっともがき続けていた。今もそうだ。いや、今に始まったことじゃない。
実はずっとそうだった気もする。
その時々で、どこかで突破口が見つけ出せるはずだと信じてずっとやってきた。
だから、きっとこれからもそうなんだと自分を信じようと思う。

昔を知る人、知らなかったけど実はつながりのあった人たちと会う機会もたくさんあり、温かい時間の中で、
今、どう生きるかということを、ゆっくり、普段の生活の中で味わい、考えることの大切さに気づかされている。
生きてきた時間で自分がやってきたこと、しばらく封印していたことを眺め、感謝すると、それらは私が封印していたことになんの恨みもない子犬のような顔でまたついてきてくれることもわかった。

だから可愛がればいいのだ。続けていけばいいのだ。だって好きなんでしょ。
人間好きなことってそう変わらないよ。だよね~。
と、シンプルな気持ちになれた。
また始まる。そんないい予感が心の中で響き始めた。

そんなスタートの記念になにかしたくなって、ダイビングのライセンスを取ることにした。
上記トピックの自分のやりたいこととはなんら関係ないことなんだけど、
海は好きなことのひとつ。
なんというか、自分の誕生日に自分で花を買って帰るみたいな感覚かな。
ウフッ、わけわかんないよね(笑)。ま、いいの、いいの。

海育ちで、シュノーケリングが大好きで、
これまでいろんなきれいな海に行っては、ドルフィン・スイミングをやったり、お魚の写真を撮ってきたりしてたけど、
ダイビングは、お金もかかるし、ちょっと怖いっていうのもあって無理と決めつけてきた。
でも、そろそろその先に進んでもいいのかなという気に急になった。
機材購入を押し付けない、ポリシーを持ったダイビング・ショップ(たまプラーザのルパン)と出会ったことも大きいんだけどね。
とにかく、なんか、脈絡はあまりないんだけど、突破口が開く気がした。

思い立ったが吉日、というわけで、昨日はOpen Water講習で江の浦に行ってきた。もちろん事前にちゃんと勉強もしたよ。
体験ダイビングでも、潜る前にちょこっとした練習をするけど、
機材の役割や取り扱い上起こる危険性や対処などを頭で理解してやってないから、ただインストラクターの真似をして、できないと焦って、呼吸がうまくできない気がして恐怖心が増す、みたいなことになってた。
でも、今回は、なぜその練習をするのか、どうやったら焦らずできるのかということが頭に入っていたから、あとは落ち着いてやればいいだけ。

昨日は平日だったので、ルパンの斎藤さんとマンツーマンだった。
最初から数メートル潜って、レギュレーターがあやまってハズレれたときの回復練習や、水中マスクの脱着練習。全部落ち着いてクリアすることができた。
それだけでもうれしい。
耳抜きがなかなかうまくできないのだけど、でも、それも焦らずゆっくりと時間をかけてるうちに徐々にできてきた。
瀬つきのデッカい石鯛(10年近くそこにいて地元のダイバーに名前もつけられているのだとか)クンが、私が耳抜きをしている間、心配するみたいにずっとそばにいてくれて、とっても心が和んだ。
瞳がまんまるで可愛かった!

1本目でパニックも起こさず、問題なく課題をクリアできたというお墨付きをいただき、2本目は15.4mまで。
なんと、ラッキーなことに、アオリイカの産卵を見ることができた。
地元の人が産卵用にと沈めた木(見たときはでっかい海藻だと思ってた)には、ミルク色の卵のふさがいっぱい。
昨日は30パイくらいがやってきてたらしい。
私が目撃できたのは3ばいくらい。透明だからなかなか目視できないんだけどね。

その場でじっと静かに気配を消していたら(そうしないと逃げてしまうそう)、
一組のつがいが目の前までやってきてくれた。
水中のなかでは2割増くらいデカく見えるけど、それを差し引いてもめっちゃデカい。特にメスはヒレがユラユラで下から眺めていると天女の舞を見ているよう。
神秘的で美しくて、本当にウットリ見とれた。
クマノミとその巣(きれいなイソギンチャク)も見られたし、タコに触ることもできた。いやー、伊豆の海も捨てたもんじゃないっす。

未知の世界、新しい自分に会えた日。それだけでも気分がいい。
意味や脈絡を考えずに、流れにまかせて何かに飛び込んでみるって大事かも。
水の中のように、いい予感が2割増になった気がする。単純(笑)。
よし、守りに入らず、攻めにいくぞ~。

母の日のお花。江の浦。ダイビング終わりの美味しいご飯。


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