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日本・デザイナーズ家具探訪:イサムノグチ

デザイナーズ家具についてのあれこれをまとめていく連載。何気なく目にしている家具、座ったり触れたりしている家具だって、きちんとデザインされたもの。ちょっと知ると、ちょっと嬉しくなる。『あ!これ知ってる!』を一緒に探してみませんか? ※全ての情報がまとまるまでに時間がかかるので、wikipediaに倣い、少しずつ更新をかけて行こうかと思います。情報あれば教えて頂けたら嬉しいです。

日本人デザイナーの家具と言ったら、一番最初に思いつくデザイナーでしょうか。私もサイクロンテーブルを持っていて、今、まさにそのテーブルの上でnoteを書いています。イサムノグチの壮絶な人生について薄ら記憶にあるのは、『レオニー』という母:レオニー・ギルモアの半生を描いた映画を観たからかもしれない。ハーフであることでとても苦しみながらも、芸術家としての歩みを止めず、日米で精力的に活動した、まさに世界を股にかけて活躍した日本人デザイナーである。

イサムノグチがデザインした代表的家具

あかり 

ozeki 

これは誰もが見たことがあるであろう和紙の照明。なんと200種類以上もあるらしい。イサムノグチは様々な芸術活動をしていたが、やはり『彫刻家』としてのキャリアがメインで、この”あかり”は、室内に持ち込める『光の彫刻』だと考えていたそう。35年の年月をかけて作られた数々のあかりは、類をみない照明器具として世界中で愛されている。和紙からこぼれる優しい光、部屋全体を柔らかく包むような光は、海外のインテリアでもたびたび見かけるほど、日本人のみならず世界中の人を魅了している。


ノグチコーヒーテーブル

hermanmiller / vitra

ミッドセンチュリーの家具を探していると必ず見かけるこのテーブル。やはり彫刻家ということもあり、彫刻作品のような佇まいのテーブルである。1944年に"バイオモルフィック(生物形態的)なテーブル"としてデザインされ1947年にハーマンミラー社から『ノグチテーブル』として発表。当時、ハーマンミラーのデザインディレクターであったジョージ・ネルソンに依頼されて作ったもので、現在はアメリカではハーマンミラー社で製造販売をしているが、日本では2003年に販売権がヴィトラ社になりヴィトラで購入可能。


サイクロンテーブル

knoll / vitra

こちらのテーブルも彫刻家ならではの美しいフォルム。編み込まれたような支柱部分がアート作品を思わせる優美さを持つデザイン。”サイクロン”という名のとおり、ベースから天板まで竜巻をイメージしたかのような動きを感じられるテーブルでもあり、一見、和楽器の鼓を連想させるが、どんな空間にも合わせやすく、安定感のあるテーブルだ。天板のプライウッドの切断面も美しく、デザイナーズ家具ファンの心をくすぐる逸品。ノールでは、ダイニングテーブル、コーヒーテーブルの2サイズの展開だったが、現在は版権がヴィトラ社に移り、ダイニングテーブル(2サイズ)のみの展開の模様。


フリーフォームソファ 

vitra

ここまでくると、もう『彫刻家』『造園家』『デザイナー』など多くの才能を持ち合わせているイサムノグチの全ての感性が注がれていることを感じざるをえない。直線部分を一切持たず有機的なフォルムのみで、日本庭園に配置されている石のような、川辺の角の取れた小石のようなソファ。1946年デザイン。


プリズマティックテーブル

vitra

これまでどちらかというと曲線が多い印象のイサムノグチデザインが、ここにきて直線的なデザインという意外性に驚く。これは”折り紙”からインスピレーションを受けたと言われるサイドテーブル。イサムノグチらしく、和室でも洋室でもどちらでも合わせやすいのにデザイン性も高く、これがあるだけでも部屋にアートを感じる空間になりそう。1957年デザイン。


まずは、イサムノグチの代表作のみまとめてみました。こうやってみてみると、『自然』『日本』を感じる作品が多いと気づく。今もなお世界中で愛されているのは、和の雰囲気を感じさせながらも、どっぷり日本っぽくなく和洋折衷のバランスが絶妙であること、人工的なデザインではなく自然との融合で生み出されるデザインであることが、私たちを飽きさせないのかもしれない。デザインの世界ではよく『サステナブルデザイン』という表現を聞くが、まさに、イサムノグチのデザインは持続可能な永遠に愛されるデザインである。

次回は、ジョージナカシマにしようかな。まだまだ偉大な日本人デザイナーがたくさんいますね。

ではまた。

参照サイト:イサムノグチ庭園美術館 ozeki hermanmiller vitra


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