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上荒川少年剣道クラブ雄剣会 〜少女剣士の思い〜

伝統ある剣道場

今年四月に創部四十五周年を迎えた上荒川少年剣道クラブ雄剣会(以下、上荒川雄剣会)は、一九七七年(昭和五十二年)、当時の荒川郷長であった藤原栄之助氏(故人)が発起人となり、上荒川小学校健全育成会と有川警察署の協力を得て、青少年の健全育成を目的として創設されました。

現在、藤山大樹道場長を含む7名の指導者と、町内各地域から中学生(5名)、小学生(7名)、未就学児(5名)が集まり、剣道の稽古に励んでいます。

剣道といえば、道着・袴・防具を身につけた剣士が、厳しい稽古に取り組む姿や、礼儀作法を重んじた所作がとても印象的で、見ているだけでも伝わってくる緊張感に、思わず姿勢を正してしまうほど。

稽古に励む川村みのりさん

この道場に通う川村みのりさん(若松中学校一年)は、小学一年生の時にこの道場で稽古を見学し、「とてもかっこいい」と思ったことがきっかけで剣道を始めました。

稽古ができない時期を乗り越えて

昨年、新型コロナ禍の影響で、しばらく稽古が休止となり、再開の見通しが立たない日々が続きました。

「いつか稽古が再開した時のために」と、みのりさんは、同じく剣道を習う妹と自主的に素振りや稽古法に取り組む中で「早くみんなと稽古をしたい」と考るようになったそうです。

ようやく稽古が再開した時、厳しくきつい稽古も「仲間と一緒にがんばる剣道は楽しくもあり、晴れ晴れとした気持ちです」と、剣道ができることへの感謝を改めて感じました。

剣道を続けたい。思いを作文に

その後、町内の中学校には剣道部がなく、島内の高校の剣道部は休部が決まったということを知り、みのりさんは、島内で剣道を続けることが難しい状況に。そして小学生最後の夏休み、「自分ができることを考えて行動すること、きついことから逃げないという強い心を、剣道が私に教えてくれました」と、剣道への思いを作文に書きました。

その作文は、(財)全日本剣道道場連盟主催「日本剣道少年団研修会」の長崎県代表者選考会(小学生の部)で最優秀賞に選ばれ、長崎県代表として九州地区予選(小学生の部)では三位にあたる優良賞に選ばれました。

そして大人たちを動かした

みのりさんの作文は、新上五島町の剣道について、現状を知ってもらうきっかけとなり、長崎県の剣道協会の先生方の心を動かしました。

藤山道場長によると「島内の中学校に剣道部がないため、県の中体連に出場していないのは新上五島町だけ。島内で剣道をやりたいという子どもたちの先がなく、それをなんとかしたい」と、情報収集や関係者へ協力を仰ぐなど、行動されているそうです。

稽古場の荒川体育館

みのりさんに、作文を書いたことでの変化をたずねたところ「中学校でも、部活として剣道ができるようになりました」と笑顔で答えてくれました。

現在、若松中学校の理解と協力を得て、ボランティア部に所属しながら、地域活動で剣道の部活に取り組むという新たな試みが進んでいます。

奇しくも、今年六月初旬からスポーツ庁による「公立中学校の運動部活動を地域に移行する改革(部活地域移行)」について議論が始まりました。

上荒川少年剣道クラブ雄剣会の子どもたち

「いろいろな方々の協力や理解があって、今、剣道が続けられていることに感謝を忘れず、これからも頑張ります」と、みのりさん。剣道の稽古で培ってきた強い心と感謝の気持ちで、困難な状況の中でも道を一つ切り拓き、この夏、上荒川雄剣会の仲間とともに第五十六回 全国道場少年剣道大会に出場しました。

後日、結果報告を伺いました

大会に出場した小学生(3名)と中学生(3名)。どちらも対戦相手は各県のベスト8チームだったにも関わらず、臆することなく試合に挑みました。中学生は代表まで進むも惜敗。残念ながら初戦で負けてしまいましたが、本当に頑張りました!日本武道館の大舞台で色々なことを感じ、経験したことをこれからの稽古に生かして、次の目標に向かって頑張ってほしいです!
みなさん、応援ありがとうございました!

今回、取材をさせていただいた川村みのりさんをはじめ、日々、稽古に取り組む上荒川雄剣会の子どもたちの、これからの活躍に期待が高まります!

写真・文 中嶋 芽久美


ーー 川村みのりさんの作文です ーーーー

大好きな剣道を続けたい

上荒川雄剣会 
新上五島町立若松東小学校六年  川村みのり
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【インフォメーション】

上荒川少年剣道クラブ雄剣会
新上五島町荒川郷143-2
お問い合わせ:090-8419-9301(川村)



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