20時間かけてでもまた行きたい国、マルタ(2)気さくでユーモラスな人々
前回はマルタのおいしかった食べ物について書いた。
そのほかにも、まだまだ魅力はある。
気さく、あたたかい、ユーモラス
海外の人、特に店員さんはぶっきらぼうで愛想がないというイメージだった。5日間の滞在なのでそこまで多くはないが、触れ合ったマルタの人はみな気さくでやさしかった。
特に印象的だったのはホテルの朝食バイキングでのできごとだった。
新婚旅行だしホテルはいいところに泊まろうか、ということでちょっと贅沢をして私たちは5つ星のリゾートホテルに泊まった。
そんな優雅なホテルで、あろうことか私はぼやを起こしかけてしまった。
朝食ビュッフェでパンを選び、近くにあったトースターで焼こうと思ったのだけど、そのトースターは日本では見たことがない形をしていた。
トースターは二段重ねのベルトコンベアのようになっており、上の段の手前からパンを入れる。
パンはベルトにのって上の段の奥のほうに向かって流れていく。パンが流れている間に、トースターの上部にあるヒーターで焼かれ、焼きあがったものが下の段に落ちてくる仕組みになっている。
しかしトースターの上の段は高さが5cmくらいしかなかった。つまり、食パンのようにスライスされたパンしか焼けない。
なのに私は「これ焼いたらおいしそうだな」と思ってころんと丸いパン(写真右上、野球ボールくらいはある)をとり、トースターに入れてしまった。入口の段階で少しきついかも?と思ったけれど、軽く押し込んだら入ったのでそのまま焼くことにした。
ベルトの上を流れていくパンを眺めていると、熱せられたパンが次第に赤くなってきた。
あれ、もしかしてやばいかも…と思ったのもつかの間、パンがみるみるうちに燃え始めてしまった。どんどんと燃え盛り火の塊となったパンはトースターの奥へと流れていく。
やばい、どうしよう…!火事になっちゃうかも…!!
周りを見渡してもスタッフが見当たらなかったため近くにいた夫を呼び、彼がひとまずトースターの電源を落としてくれた。それから少し離れた場所にいたホール担当の女性スタッフを呼んで対処してもらった。
その女性スタッフはMarisaといい、朝食会場の入り口で受付を担当していた。Marisaは宿泊客では数少ないアジア人かつ若年層の私たちのことを初めからよく気にかけてくれていた。
彼女は状況をみるなり「まあ、なんてこと!クレイジーだわ!」と驚きながらも、手早く鎮火活動とトースターの復旧作業を行ってくれた。
私が「すみません、本当にごめんなさい」と恐縮しきっていると、彼女はどっしりと構え「いいのよ、あなたが初めてじゃないから」とフォローしてくれた。さらには近くを通りかかったシェフと思しき男性スタッフまで「この黒焦げになったパン、せっかくだから記念に半分に切って食べるかい?」とジョークを飛ばしてくれた。これには感動した。
さすが一流ホテルのスタッフとはいえ、あたたかい人たちだな、と感じた。
ホテルだけでなく、ローカルのレストランやふらっと立ち寄ったカフェでも「どこから来たの?」「なんでマルタに来たの?」と声をかけてもらうことがたびたびあった。彼らは私たちが日本人だとわかると「アリガトウ」とか「オハヨウ」とか、知っている限りの日本語を話してくれた。
お土産屋さんでも帰り際には「enjoy」「have fun」と声をかけてくれた。買い忘れがあって同じお土産屋さんにもう一度行ったときには「また来てくれたのね」とにっこり笑顔でレジを打ってくれた。
「海外の人はこう」と勝手に決めつけていた部分も大きいかもしれない。けれど、予想以上にあたたかいコミュニケーションがそこにはあった。
マルタの人のやさしさとフレンドリーさに心が満たされた。
マルタ日記、まだまだつづきます。
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